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第19話 知力と武力
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俺の声に、二人は振り向いた。
叫んでは見たもののどうするかは考えてはいなかった。
「長坂くん? ……電話の先は彼なのかな?」
スマートフォンの表示を見て言ったのだろう。光の当たらない俺の場所。彼にはまだ姿は見えてはいない様子だ。
「勝手にスマホを取り上げるとか、よくないんじゃねーの?」
そう言って俺は、明かりの入る場所まで歩く。姿が見えた彼は、意外にも驚く様子は無かった。
「やっぱり君か……」
「あれ? 意外にも予想されていたのか?」
俺がそう言うと、何かを探す様に周りを見渡している。まさか千佳の事にも気付いているのか?
「君、あのゴリラはどこだ?」
「ゴリラ?」
「とぼけないでくれ、一緒に来ているの分かっているんだ……」
千佳の事にも気付いているのか? だが、暴力的ではあるが客観的に見てもかわいい本だと思うのだけど……。
「なんだよゴリラって……」
とりあえずとぼけたフリをして、千佳の事は悟られない様にする。
「なんだ、今日はいないのか……」
「別に飼育員じゃないし、ゴリラなんか連れ歩いてないのだが?」
そう言うと、彼は少し落ち着きを取り戻した様に話し始めた。
「なに? 助けに来たつもり?」
「まぁ……そうだな」
清水さんに目をやると、不安そうに俺を見ているのが分かる。俺はスマートフォンを取り返す事と、彼女をなるべく離そうと考え動けるように、さりげなく膝を曲げる。
「はぁ……もういいや……」
そう言った瞬間。俺はスマートフォンを奪った。
「痛っ……」
「一応、コイツのなんで」
そのまま俺は清水さんの手を握り3歩程離れた。
「長坂くん……」
「何? もうそう言う感じ? はぁ……シラける」
余程怖かったのだろうか、握った手から彼女が震えているのが分かる。この子の普段の言動はやっぱり強がっていたのだろうと思った。
少し強めに握ると、彼女は体を寄せる様に俺に引っ付いてきた。それを見たのか彼は──。
「ああっっ……そんな奴もう要らない!」
「は? 要らないってなんだよ!」
「要らない物は要らない」
まるで駄々をこねるように喚く。
「私だって要らない……」
「お前もかよ」
そう言うと、彼はそのまま帰えろうとし始める。まだ、俺たちの目的は果たしていない。
「後悔しても知らないからな……」
「ちょっと待てよ……」
追いかけようとする俺の手を清水さんは離さなかった。
「追いかけないと!」
「……もういい……もういいよ」
「清水さん……」
彼女は俯き、泣いている様にも見えた。そんな中、エスカレーターを上がる彼の姿がみえる。このままじゃ、曖昧なまま終わってしまう。
すると、見えなくなった途端にガラの悪い男が3人の男が駐車場から降りて来ていた。そいつらはわざと俺たちに肩をぶつける様に当たりに来る。
「痛っ……」
「えっ、すみません……」
すると色が黒くガタイのいい男が立ち止まる。そもそもぶつかって来たのはそっちだろうと、少しムッとした。
「すみませんじゃねーぞ」
「いや、でも……」
ジャラジャラとしたネックレス。白いピッタリとしたTシャツが目立つ。なんでこのタイミングで……。
「あれ? 兄ちゃんかわいい娘連れてるねぇ?」
執拗に絡んでくると、頭の中で確信に近い疑惑が過ぎる。まさかアイツが……。
黒い男は清水さんの腕を掴む。
「ちょっと、やめて下さい」
「彼氏が怒っちゃったけど、別にいいよな?」
「嫌です」
清水さんははっきりと言った。引っ張られるのが嫌なのか、それとも俺を彼氏と言われたのが嫌なのか……出来れば前者であって欲しい。
だが男たちは笑っている。
得体の知れない強さと、人数の圧力がある。喧嘩になれば間違いなく負けるだろう。
先に警察呼んでおけばよかったな……。
そんな後悔をしても遅い。千佳が何処かから見ていて呼んでてくれる事を祈る。
「カズアキなんかに雇われて悲しくないの?」
俺が思っていた事を清水さんは言った。
それも、のしを付けて煽る様に言った。
「は? なにいってんだ?」
「金でしょ? カズアキ金あるもんね……」
ちょっと煽り過ぎじゃないかなぁ……。
「うっせーな、絡むだけで10万貰えんだから美味しいだろーが」
清水さん、まさか……録音?
目を合わせると、ほのかに笑った。
「逃げるぞ!」
そう言って走り出す。正直俺たちは勝ったと思っていた……だけど。
「清水さん、追いつかれるよ!」
「わかってるわよ、足遅いんだから仕方ないでしょ……」
「……仕方ないなぁ……それじゃ、警察呼んどいて!」
そう言って、清水さんの手を離す。
ここからは時間稼ぎだ。
俺は後ろを向いて手を広げた。
「はいストップー!」
「は? 逃げたのはお前だろ?」
心臓がバクバクするのを抑え、時間稼ぎをするためにハッタリをかます。5分も稼げば清水さんが呼んでくれた警察が来るはずだ。
「明るい場所じゃ、本気を出せないからな」
「は? なにいってんだ?」
「女が居たら戦えないだろ?」
そう言うと、どう見ても頭に"はてなマーク"が出ている様な顔をする。
「もし、カズアキ? を売るなら見逃してやってもいいぜ?」
「……」
おかしい、反応がない。
「あの……?」
「よくわかんねーけど、要はお前はタイマンなら負けねーっていいたいんだろ?」
「あ、ああ」
「いいぜ? 元々ゴリラをボコるって話だったからな、思ったより拍子抜けだが自信あるならおもしれー」
うーん。なんか違うけど。
それだけ喧嘩に自信があるって事なのか?
まぁ、警察到着まであと、3分くらいだろう……それなりにボコられてやりますか!
黒い男が前に出て構えた。
俺も合わせて構えた瞬間、正面に拳が見える。
どうにか腕で防いだ瞬間、息ができなくなる。
腹……。
俺はその場に倒れ込む。
「いやいや、早すぎでしょ!」
息を止め、痛みを堪える。
立ち上がると脚にローキックを入れられ、顔面を数発殴られる。
重い……。
痛い……。
修平なんかとは比べものにならない……。
YouTubeで格闘家に殴られてる奴の凄さを思い知った。
意識が遠のきそうになった時、微かに声がする。
聞いた事のある声。
そういや、いつも助けられて……ダメだ、千佳が来ても仕方がない!
「千佳、来るな……逃げろ!」
「はぁ……間に合わなかったかぁ」
千佳は俺の目の前に仁王立ちする。
その位置は……パンツが見えるんだけど。
「優、ゴメンね?」
「何がだよ……」
「ちょっと痛めつけたかったからさぁー」
「なんの自信があるのか分からないけど、流石に無理だって……」
千佳は3人を見る。あの時の様に睨みつけているのだろうか。
「姉ちゃん、やめときな?」
「気にしないで?」
「怪我しても知らないぜ?」
「怪我……ね。じゃあそれくらいにしといてあげる」
このバカは何を言っているんだ?
ひょっとしてこのお人好しも俺と同じく時間稼ぎ作戦なのか?
だとしたら……俺が、助けないと。
痛む体を起こし立ち上がろつとすると、意外と立ち上がれそうな気がする。
だが、時すでに遅く千佳と黒い男が立ち会ってしまっていた。
男が殴りかかった瞬間千佳が外側に避ける……気がつくと男は倒され、そのままのながれで千佳の落とした膝が股間にめり込んだのが見えた。
えっ……嘘だろ?
「えっと……大丈夫か? 死んでない?」
叫んでは見たもののどうするかは考えてはいなかった。
「長坂くん? ……電話の先は彼なのかな?」
スマートフォンの表示を見て言ったのだろう。光の当たらない俺の場所。彼にはまだ姿は見えてはいない様子だ。
「勝手にスマホを取り上げるとか、よくないんじゃねーの?」
そう言って俺は、明かりの入る場所まで歩く。姿が見えた彼は、意外にも驚く様子は無かった。
「やっぱり君か……」
「あれ? 意外にも予想されていたのか?」
俺がそう言うと、何かを探す様に周りを見渡している。まさか千佳の事にも気付いているのか?
「君、あのゴリラはどこだ?」
「ゴリラ?」
「とぼけないでくれ、一緒に来ているの分かっているんだ……」
千佳の事にも気付いているのか? だが、暴力的ではあるが客観的に見てもかわいい本だと思うのだけど……。
「なんだよゴリラって……」
とりあえずとぼけたフリをして、千佳の事は悟られない様にする。
「なんだ、今日はいないのか……」
「別に飼育員じゃないし、ゴリラなんか連れ歩いてないのだが?」
そう言うと、彼は少し落ち着きを取り戻した様に話し始めた。
「なに? 助けに来たつもり?」
「まぁ……そうだな」
清水さんに目をやると、不安そうに俺を見ているのが分かる。俺はスマートフォンを取り返す事と、彼女をなるべく離そうと考え動けるように、さりげなく膝を曲げる。
「はぁ……もういいや……」
そう言った瞬間。俺はスマートフォンを奪った。
「痛っ……」
「一応、コイツのなんで」
そのまま俺は清水さんの手を握り3歩程離れた。
「長坂くん……」
「何? もうそう言う感じ? はぁ……シラける」
余程怖かったのだろうか、握った手から彼女が震えているのが分かる。この子の普段の言動はやっぱり強がっていたのだろうと思った。
少し強めに握ると、彼女は体を寄せる様に俺に引っ付いてきた。それを見たのか彼は──。
「ああっっ……そんな奴もう要らない!」
「は? 要らないってなんだよ!」
「要らない物は要らない」
まるで駄々をこねるように喚く。
「私だって要らない……」
「お前もかよ」
そう言うと、彼はそのまま帰えろうとし始める。まだ、俺たちの目的は果たしていない。
「後悔しても知らないからな……」
「ちょっと待てよ……」
追いかけようとする俺の手を清水さんは離さなかった。
「追いかけないと!」
「……もういい……もういいよ」
「清水さん……」
彼女は俯き、泣いている様にも見えた。そんな中、エスカレーターを上がる彼の姿がみえる。このままじゃ、曖昧なまま終わってしまう。
すると、見えなくなった途端にガラの悪い男が3人の男が駐車場から降りて来ていた。そいつらはわざと俺たちに肩をぶつける様に当たりに来る。
「痛っ……」
「えっ、すみません……」
すると色が黒くガタイのいい男が立ち止まる。そもそもぶつかって来たのはそっちだろうと、少しムッとした。
「すみませんじゃねーぞ」
「いや、でも……」
ジャラジャラとしたネックレス。白いピッタリとしたTシャツが目立つ。なんでこのタイミングで……。
「あれ? 兄ちゃんかわいい娘連れてるねぇ?」
執拗に絡んでくると、頭の中で確信に近い疑惑が過ぎる。まさかアイツが……。
黒い男は清水さんの腕を掴む。
「ちょっと、やめて下さい」
「彼氏が怒っちゃったけど、別にいいよな?」
「嫌です」
清水さんははっきりと言った。引っ張られるのが嫌なのか、それとも俺を彼氏と言われたのが嫌なのか……出来れば前者であって欲しい。
だが男たちは笑っている。
得体の知れない強さと、人数の圧力がある。喧嘩になれば間違いなく負けるだろう。
先に警察呼んでおけばよかったな……。
そんな後悔をしても遅い。千佳が何処かから見ていて呼んでてくれる事を祈る。
「カズアキなんかに雇われて悲しくないの?」
俺が思っていた事を清水さんは言った。
それも、のしを付けて煽る様に言った。
「は? なにいってんだ?」
「金でしょ? カズアキ金あるもんね……」
ちょっと煽り過ぎじゃないかなぁ……。
「うっせーな、絡むだけで10万貰えんだから美味しいだろーが」
清水さん、まさか……録音?
目を合わせると、ほのかに笑った。
「逃げるぞ!」
そう言って走り出す。正直俺たちは勝ったと思っていた……だけど。
「清水さん、追いつかれるよ!」
「わかってるわよ、足遅いんだから仕方ないでしょ……」
「……仕方ないなぁ……それじゃ、警察呼んどいて!」
そう言って、清水さんの手を離す。
ここからは時間稼ぎだ。
俺は後ろを向いて手を広げた。
「はいストップー!」
「は? 逃げたのはお前だろ?」
心臓がバクバクするのを抑え、時間稼ぎをするためにハッタリをかます。5分も稼げば清水さんが呼んでくれた警察が来るはずだ。
「明るい場所じゃ、本気を出せないからな」
「は? なにいってんだ?」
「女が居たら戦えないだろ?」
そう言うと、どう見ても頭に"はてなマーク"が出ている様な顔をする。
「もし、カズアキ? を売るなら見逃してやってもいいぜ?」
「……」
おかしい、反応がない。
「あの……?」
「よくわかんねーけど、要はお前はタイマンなら負けねーっていいたいんだろ?」
「あ、ああ」
「いいぜ? 元々ゴリラをボコるって話だったからな、思ったより拍子抜けだが自信あるならおもしれー」
うーん。なんか違うけど。
それだけ喧嘩に自信があるって事なのか?
まぁ、警察到着まであと、3分くらいだろう……それなりにボコられてやりますか!
黒い男が前に出て構えた。
俺も合わせて構えた瞬間、正面に拳が見える。
どうにか腕で防いだ瞬間、息ができなくなる。
腹……。
俺はその場に倒れ込む。
「いやいや、早すぎでしょ!」
息を止め、痛みを堪える。
立ち上がると脚にローキックを入れられ、顔面を数発殴られる。
重い……。
痛い……。
修平なんかとは比べものにならない……。
YouTubeで格闘家に殴られてる奴の凄さを思い知った。
意識が遠のきそうになった時、微かに声がする。
聞いた事のある声。
そういや、いつも助けられて……ダメだ、千佳が来ても仕方がない!
「千佳、来るな……逃げろ!」
「はぁ……間に合わなかったかぁ」
千佳は俺の目の前に仁王立ちする。
その位置は……パンツが見えるんだけど。
「優、ゴメンね?」
「何がだよ……」
「ちょっと痛めつけたかったからさぁー」
「なんの自信があるのか分からないけど、流石に無理だって……」
千佳は3人を見る。あの時の様に睨みつけているのだろうか。
「姉ちゃん、やめときな?」
「気にしないで?」
「怪我しても知らないぜ?」
「怪我……ね。じゃあそれくらいにしといてあげる」
このバカは何を言っているんだ?
ひょっとしてこのお人好しも俺と同じく時間稼ぎ作戦なのか?
だとしたら……俺が、助けないと。
痛む体を起こし立ち上がろつとすると、意外と立ち上がれそうな気がする。
だが、時すでに遅く千佳と黒い男が立ち会ってしまっていた。
男が殴りかかった瞬間千佳が外側に避ける……気がつくと男は倒され、そのままのながれで千佳の落とした膝が股間にめり込んだのが見えた。
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