嫁は美しき元王女!だが、俺の平穏は嫁のせいでぶっ壊れました

モンジ・コタロウ

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第5話 街で大事件!サイコロ強奪計画の恐るべき結末

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《【緊急事態】薬草不足で街へ緊急出動!引きこもり生活に終止符》

薬草との共生生活を始めて2か月。俺の引きこもりライフに異変が起きた。

「やばい...塩が切れた」

保存食作りに夢中になりすぎて、基本的な調味料を使い切ってしまったのだ。塩、砂糖、油。これらがないと、せっかくの薬草も美味しく調理できない。

「村まで買い物に行くか...」

しかし、歩いて村まで行くのは面倒だ。80キロの道のりを往復するのは辛い。

「そうだ、飛行船を使えばいいじゃん」

久しぶりにプラチナ製サイコロを使うことにした。前回の失敗を踏まえ、今度は計画的に行動する。

サイコロを振る。「6」と「4」。合計10。

航続距離100キロの飛行船が現れた。これなら往復しても余裕がある。

「よし、久しぶりの外出だ」

《【独占レポート】2か月ぶりの街は大変貌!しかし住民の視線が冷たい理由は...》

飛行船で街に到着すると、以前とは雰囲気が変わっていた。

街の入り口に「危険人物注意」という張り紙が貼ってある。そこには、俺によく似た男の似顔絵が描かれていた。

「あれ?これ俺じゃないか?」

よく見ると、「神聖帝国の金貨を持つ謎の男。関わった者が次々と死亡している。見かけても近づかないこと」と書かれている。

「うわあ...完全に危険人物扱いされてる」

これまでの山賊や盗賊との遭遇が、街にも知れ渡っていたのだ。俺は自分では正当防衛のつもりだったが、街の人々からすれば「死神」のような存在なのかもしれない。

「まあ、買い物だけして帰ろう」

俺は頭巾を深くかぶり、人目を避けて商店街に向かった。

塩、砂糖、油を購入し、ついでに新しい調理器具も買った。金貨の威力で、店主は快く売ってくれる。金の前では、危険人物の噂など関係ないらしい。

「これで当分は大丈夫だな」

買い物を終えて街の外れまで来た時、背後から声をかけられた。

「おい、そこの太った野郎」

振り返ると、20人ほどの武装集団が俺を囲んでいた。これまでの山賊や盗賊とは違い、装備が本格的だ。

「やっと見つけたぞ、死神野郎」

リーダー格の男が俺を睨みつけた。

《【衝撃の真実】実は傭兵団だった!プロの盗賊集団がサイコロを狙う理由》

「俺たちは『鉄血傭兵団』だ」

リーダーが名乗った。傭兵団。これまでの山賊とはレベルが違う。

「お前が持ってる革袋の中身を渡してもらおう」

「何のことですか?」

「とぼけるな。神聖帝国の金貨を無限に生み出すアイテムがあるんだろう?」

俺は内心驚いた。サイコロの能力がバレている。

「そんなものは...」

「嘘をつくな!お前が金貨を使うたびに、必ず人が死んでいる。普通じゃない」

傭兵たちは俺の行動パターンを詳しく調査していたのだ。プロの仕事だった。

「その革袋の中身を調べさせてもらう」

傭兵の一人が俺に近づいてきた。逃げ場はない。20人相手では、ゴーレムを呼んでも厳しいかもしれない。

「分かりました...これです」

俺は革袋から銅製のサイコロを一つ取り出し、傭兵に差し出した。

「サイコロか?こんなものが...」

傭兵がサイコロを掴んだ瞬間、いつものことが起こった。

体が震え、泡を吹いて倒れる。

「なっ...何が起こった!?」

他の傭兵たちが動揺する。

「これは呪いのアイテムだ!」

別の傭兵が叫んだ。しかし、もう一人がサイコロを拾い上げた。

「俺が調べる」

そして、同じように死んでしまう。

《【戦慄の連鎖】次々と死亡する傭兵たち!サイコロの呪いが明らかに》

傭兵たちはパニックに陥った。

「これは罠だ!」

「そのサイコロを誰も触るな!」

しかし、好奇心に負けた傭兵が次々とサイコロに手を伸ばす。

「本当に呪われてるのか?」

「試してみよう」

「俺なら大丈夫だ」

一人、また一人と、サイコロを触って死んでいく。

「やめろ!もう触るな!」

リーダーが叫んだが、時すでに遅し。20人中15人が死んでしまった。

「こ、これは一体何なんだ...」

生き残った5人の傭兵は、俺を見つめて震えていた。

「俺にも分からない...神様からもらったんだ」

俺は正直に答えた。この状況では、嘘をついても意味がない。

「神様?まさか...お前は神の使いなのか?」

「いや、ただのコンビニバイトだったんだけど...」

傭兵たちは俺の言葉を信じられずにいた。

「とにかく、そのサイコロは危険すぎる。封印するべきだ」

リーダーが提案したが、俺は首を振った。

「これは俺の命綱なんだ。渡すわけにはいかない」

「ならば...」

傭兵たちは武器を構えた。しかし、俺には切り札がある。

純銀製のサイコロを取り出し、振った。「5」と「6」。合計11。

11体のゴーレムが出現した。

《【絶望の結末】ゴーレム軍団vs傭兵団!街外れで繰り広げられた壮絶な戦い》

「ひいいい!また化け物が!」

傭兵たちは恐怖に駆られたが、プロとしての意地を見せた。

「逃げるな!こいつを倒さなければ、街に危険が及ぶ!」

リーダーの檄が飛んだ。傭兵たちは恐怖を押し殺し、ゴーレムに立ち向かった。

しかし、結果は見えていた。

ゴーレムの圧倒的な力の前に、傭兵たちは次々と倒されていく。魔法の武器や特殊な戦術を使ったが、石の巨人には通用しない。

「くそ...こんなはずでは...」

リーダーが最後に呟いた言葉だった。

10分後、傭兵団は全滅していた。

「また...全員殺してしまった」

俺は呆然と戦場を見つめていた。20人の死体が散乱している。今度は前回までとは違う。相手はプロの戦闘集団だった。

「死体の処理をいたしますか?」

ゴーレムが尋ねてきた。

「頼む...」

ゴーレムたちは手際よく死体を埋めた。そして消えていった。

俺は一人、血の匂いが残る現場に立っていた。

《【独白】20人殺害後のおじさんの心境「もう後戻りはできない」》

その夜、俺は飛行船で山奥に帰った。

小屋に着くと、川魚たちが俺を迎えてくれた。この純粋な生き物たちだけが、俺の心を癒してくれる。

「今日は20人も殺してしまった...」

俺は池の前に座り込んだ。これまでで最大の犠牲者数だった。

しかし、今回は以前ほど罪悪感を感じなかった。

「向こうから襲ってきた。正当防衛だ」

そう自分に言い聞かせることができるようになった。

「それに...俺は神様から力をもらったんだ。使って何が悪い」

俺の中で、何かが変わってしまった。人の命の重みが軽くなった。

「もう後戻りはできない」

俺は薄暗い小屋の中で、革袋を握りしめた。この中のサイコロが、俺を化け物に変えたのか。それとも、元々俺の中にあった本性なのか。

答えは分からなかった。

ただ、一つだけ確実なことがある。

「これで俺を狙う連中はいなくなるだろう」

鉄血傭兵団の全滅は、きっと街にも知れ渡る。俺はもう完全に「触れてはいけない存在」になった。

「これで平穏に暮らせる」

皮肉なことに、多くの人を殺すことで、俺は望んでいた平穏を手に入れたのかもしれない。

川魚たちが俺の指に寄ってくる。この子たちだけは、俺がどんな化け物になろうと、変わらずに接してくれる。

「お前たちが俺の家族だ」

俺は静かに魚たちを見つめた。山奥の夜は更けていく。

明日も、変わらない平穏な一日が始まるだろう。

*神界某所*

「よっしゃー!20人まとめて片付けたな!」

ロキは大興奮で水晶球を見つめていた。

「これで完全に人間社会から隔絶されたな」

フェンリルが心配そうに呟いた。

「親父...あのおじさん、もう完全に化け物ですね」

「そうだな。もう人間じゃねぇ」

ロキは満足そうに頷いた。

「でも、ここからが本番だ。次はいよいよアレを投入してやろう」

「アレって?」

「美女だよ。最高に面倒くさい美女をな。なかなか見つからなかったが、あいつの元に美女を誘導できた」

ロキの口元に、今まで以上に邪悪な笑みが浮かんだ。

「化け物と美女の出会い。これは最高のエンターテインメントになるぜ」
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