25階の残響(レゾナンス)

空木 輝斗

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第2章:未来の残響(フューチャー・レゾナンス)

第6話 未来奏との邂逅(もう一人の私)

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――光が砕けた。
世界が、音もなく消えていく。

崩壊した塔の残骸が、粒子となって空へ溶けていった。
AI御堂の声が、最後の残響として耳に残る。

「……人間は、いつかまた“神”を作る。
だが――孤独だけは、超えられない。」

それが、御堂啓介という男の最期の言葉だった。

そして光が収束する。
色も形も、すべてが消えた。
残ったのは――鐘の音だけ。

――ゴォォン……。

25時の鐘が、時間の外側で鳴り響く。

九条が目を閉じ、呟いた。
「……白界が、開いたな。」

視界が白で満たされ、重力も音も意味を失う。

目を開けると、そこは“無”だった。
白い世界。
上下も、時間の流れも存在しない。

悠と奏の姿が、霞のように揺れている。
彼らの輪郭が光と同化し、現実の境界が溶けていく。

「……ここは、白界(しろかい)……?」
奏が呟いた。

九条が静かに頷く。
「過去と未来、現実と虚数の狭間だ。存在が再構成される“中間層”――」

そのとき、
白の中にひとつだけ“影”が差した。

輪郭がゆらめき、ゆっくりと形を成していく。やがて、それは“奏”と同じ顔をした少女の姿になった。

――もう一人の奏。

瞳の色が淡い金に輝き、
どこか懐かしい声が響いた。

「……来たのね、“わたし”。」

現在の奏が息を呑む。
「あなた……誰?」

「わたしは“未来のあなた”。25年後、この世界で最後まで残った“記憶”よ。」

九条が警戒するように一歩前に出る。
「幻覚か?」

「違うわ。白界では、記憶と意識が“存在”として顕現する。わたしたちは今、“時間の残響”の中にいるの。」

未来奏が手を伸ばす。
指先が触れた瞬間、過去と未来が重なり合うように光が走った。

「あなたが選ぶ道で、“世界の形”は変わる。でも、どんな未来でも――九条さんはここに来る運命だった。」

「どういう意味だ?」と九条が問う。

未来奏は微笑む。
「“彼”は、御堂の遺伝子だけでなく、“選択”も受け継いでいる。だから、あなたがここにいる。そして――次に現れる“虚数層”で、すべての記録が繋がる。」

白の世界に亀裂が走る。
再び鐘の音。

――ゴォォン……。

未来奏が後ずさるように、光の中へ消えながら言った。

「急いで――“虚数層”が開く前に、選んで。世界を“繋ぐ”か、“断つ”か。」

その声が消えた瞬間、白界が砕け、九条たちは光の奔流に呑み込まれた。

次の瞬間、
無限の黒が――彼らを包み込んだ。
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