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第6章:再起動する世界(リブーテッド・ホライゾン)
第27話:都市再生編 光を見た者たち
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朝の光が、都市の輪郭をやわらかく照らしていた。
ひび割れた舗道。静まり返った大通り。
一晩前まで、世界は“止まっていた”――はずだった。
だが今、風が吹いている。
ビルの隙間を抜ける微かな風音が、まるで「時の息吹」を告げているようだった。
高梨誠はカメラを構えたまま、レンズ越しにアークライン・タワーを見上げた。
かつて最先端の時間研究施設として名を馳せた塔。
崩壊したというニュースが流れたのは昨日。
それなのに――。
「……建ってる。……なんで、元通りに……?」
塔は、まるで何事もなかったかのように、再び夜空を突き刺していた。
外壁は黒い光沢を取り戻し、頂部には淡い青のラインが灯っている。
だが、周囲の空気にはどこか違和感があった。
音が、少し遅れて届く。
影の伸び方が、わずかに“ずれている”。
「磁場異常による建造物の瞬間収縮現象――政府の発表、ね。」
高梨は苦笑した。
「……ふざけるな。こんなもん、誰が信じるかよ。」
彼はリュックからノート端末を取り出し、昨夜の映像データを再生する。
画面の中で、街の夜空に巨大な光柱が立ち上っていた。
まるで都市全体を貫く“白い心臓”のように。
だが、録画タイムラインには――6秒間の欠落があった。
(時間が……消えてる?)
その空白の6秒。
誰もが気づかないまま、“世界”は一度止まり、そして――再び動いたのだ。
「悠……。お前、本当に何を見たんだよ。」
風が吹き抜ける。
塔の上空で、陽光が雲を裂く。
まるで“誰かの帰還”を告げるように、金色の光が街を包み込んでいく。
高梨はレンズを覗き込む。
ファインダーの中央――塔の最上階のガラス越しに、三つの影が立っていた。
「……まさか。」
ピントを合わせようとした瞬間、カメラが一瞬だけノイズを発した。
画面が白く焼け、データが飛ぶ。
だが、高梨は確かに見たのだ。
あの姿を。
悠、九条、そして――奏。
彼らが、光の中で静かに立っていたことを。
数秒後、風がやみ、塔の影が沈黙に戻る。
残ったのは、壊れた時計の音のような、遠い鐘の響き。
――ゴォォォン。
高梨はレンズを下ろし、空を見上げた。
白い雲がゆっくりと動いている。
ほんの数日前まで、空は“止まっていた”というのに。
「……動いてる。
やっぱり、お前が“時間を動かした”んだな、悠。」
彼はカメラを胸に抱き、静かに微笑んだ。
まるで、旧友に礼を言うように。
人々はやがてこの出来事を忘れていく。
塔が崩れたことも、空が止まったことも、25時が存在したことも。
ニュースにはならない。記録にも残らない。
けれど――。
「あの光を見た人間は、確かに生きている。」
風が再び吹き抜け、街の端で一本の草が揺れた。
誰も気づかぬその“動き”こそが、世界の再生の証だった。
――25時は終わった。
だが、人の時間はこれからだ。
高梨はカメラを肩にかけ、歩き出した。
どこか遠くで、子供たちの笑い声が響く。
それは、静止していた街が“生き返った”音だった。
ひび割れた舗道。静まり返った大通り。
一晩前まで、世界は“止まっていた”――はずだった。
だが今、風が吹いている。
ビルの隙間を抜ける微かな風音が、まるで「時の息吹」を告げているようだった。
高梨誠はカメラを構えたまま、レンズ越しにアークライン・タワーを見上げた。
かつて最先端の時間研究施設として名を馳せた塔。
崩壊したというニュースが流れたのは昨日。
それなのに――。
「……建ってる。……なんで、元通りに……?」
塔は、まるで何事もなかったかのように、再び夜空を突き刺していた。
外壁は黒い光沢を取り戻し、頂部には淡い青のラインが灯っている。
だが、周囲の空気にはどこか違和感があった。
音が、少し遅れて届く。
影の伸び方が、わずかに“ずれている”。
「磁場異常による建造物の瞬間収縮現象――政府の発表、ね。」
高梨は苦笑した。
「……ふざけるな。こんなもん、誰が信じるかよ。」
彼はリュックからノート端末を取り出し、昨夜の映像データを再生する。
画面の中で、街の夜空に巨大な光柱が立ち上っていた。
まるで都市全体を貫く“白い心臓”のように。
だが、録画タイムラインには――6秒間の欠落があった。
(時間が……消えてる?)
その空白の6秒。
誰もが気づかないまま、“世界”は一度止まり、そして――再び動いたのだ。
「悠……。お前、本当に何を見たんだよ。」
風が吹き抜ける。
塔の上空で、陽光が雲を裂く。
まるで“誰かの帰還”を告げるように、金色の光が街を包み込んでいく。
高梨はレンズを覗き込む。
ファインダーの中央――塔の最上階のガラス越しに、三つの影が立っていた。
「……まさか。」
ピントを合わせようとした瞬間、カメラが一瞬だけノイズを発した。
画面が白く焼け、データが飛ぶ。
だが、高梨は確かに見たのだ。
あの姿を。
悠、九条、そして――奏。
彼らが、光の中で静かに立っていたことを。
数秒後、風がやみ、塔の影が沈黙に戻る。
残ったのは、壊れた時計の音のような、遠い鐘の響き。
――ゴォォォン。
高梨はレンズを下ろし、空を見上げた。
白い雲がゆっくりと動いている。
ほんの数日前まで、空は“止まっていた”というのに。
「……動いてる。
やっぱり、お前が“時間を動かした”んだな、悠。」
彼はカメラを胸に抱き、静かに微笑んだ。
まるで、旧友に礼を言うように。
人々はやがてこの出来事を忘れていく。
塔が崩れたことも、空が止まったことも、25時が存在したことも。
ニュースにはならない。記録にも残らない。
けれど――。
「あの光を見た人間は、確かに生きている。」
風が再び吹き抜け、街の端で一本の草が揺れた。
誰も気づかぬその“動き”こそが、世界の再生の証だった。
――25時は終わった。
だが、人の時間はこれからだ。
高梨はカメラを肩にかけ、歩き出した。
どこか遠くで、子供たちの笑い声が響く。
それは、静止していた街が“生き返った”音だった。
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