4 / 37
4☆
「でもどうしましょう……」
挨拶回りを終えたフェアリスはお手洗いに逃げ込むと、手を洗いながら鏡の中の自分を見つめた。
しかし自分は何も教えてくれるわけもなく……特にいい案も浮かばないまま、フェアリスはお手洗いから出る。
「はぁ……」
フェアリスがため息をつきながら会場に入ると、一人の男性が「お一人ですか?」と話しかけてきたので、フェアリスはコクリと頷く。
確かに今は一人ぼっちだ。
少し心細さを感じたその時、男性がフェアリスにグラスを差し出してきた。「僕も一人でして……よかったら一杯付き合っていただけませんか?」と
「とても美味しいですね」
フェアリスは初めてのアルコールに少し熱くなった頰を冷やすように手を当てる。グラスに入った水色のお酒は、甘くてとても飲みやすい。
(でもグイグイいってはいけないのよね……)
フェアリスは自分に助言されたことを思い出していた。
――――飲みやすいお酒は酔いやすいです。この前それで令嬢が泥酔してらして――――
「口に合いましたか?よかった」
男性はそういうとフェアリスに飲み進めるように促す。
「……お名前をお伺いしても?」
「そんなそんな、無礼講ではありませんか」男性は飄々とそう言ったけれど……
フェアリスは「私が公爵夫人だったとしてもですか?」と彼の目を真っ直ぐに見た。
男性は少し瞳を揺らし「え?……そ、それは少しまずいですね」とヘラヘラ笑いながら「あ、すみません。連れが」と誤魔化してその場からいなくなった。
(…………怖かった……)
フェアリスはホッと肩の力を抜く。
酔わせて不埒を働く男性もいるから注意しなさい、と自分に言われていた。フェアリスは少しふらつく頭を冷まそうとバルコニーに行くことにした。
(一口しか飲んでいないのに……やっぱり飲みやすいお酒は酔いやすいみたい……)
フラフラと人波を掻き分けていると、腕を引かれたので驚いて顔を上げた。
先ほどの男性なら……場合によっては逃げなければいけない。
しかしフェアリスの予想に反し、そこには心底嫌なものを見るような目で自分を見るバルギアスがいた。
フェアリスはさりげなく腕を振り払い「あ、すみません……少し酔ってしまったみたいで」と彼に告げる。
するとバルギアスはため息をついた後、フェアリスを休憩室へと連れて行った。
「……アルコールに弱いなら控えるべきだ」
腕を組んでそっぽを向くバルギアスにそう言われ、フェアリスは申し訳なくなって俯いた。
まさか自分がこんなにアルコールに弱いとは……
自分を恥じていると、バルギアスがドアノブに手を掛けた。フェアリスはなんだかこれが……彼と二人きりになる最後のチャンスに感じられた。
出ていかれては困る。
アルコールにフワフワした頭が『今しかない』とフェアリスを搔き立てた。
「あの、ま、待ってください」
咄嗟に彼を引き止める言葉が口から飛び出してしまった。
「…………」バルギアスはうっとうしそうに顔を歪めてフェアリスを見た。
フェアリスは自分の浅はかさを少し後悔したけれど……もう交渉は始まってしまったのだ。
「あ、あの……ご相談が」
「……なんですか?」バルギアスは、はあ……とため息をつく。
「私、子どもが欲しくて……あの、抱いていただけませんか?対価として、えっと……旦那様が望むことをなんでもいたします!離縁でも、お掃除でも、何か……えっと旦那様の得になることを!」
「…………」
「旦那様も世継ぎは必要ですよね?どうかこの一度だけ耐えていただけないでしょうか?」
フェアリスは顔の前で手を組むとバルギアスに懇願する。今、この交渉が失敗に終わったら……もうチャンスはないだろう。
「…………」
「お願いします。私……自分の子どもを持つのが夢だったんです!どうか先っぽだけでも!」
フェアリスはその場で土下座を繰り出した。
「…………わかった」
しばらくの沈黙の後、バルギアスはうんざりした様子でそう答える。フェアリスは「ありがとうございます!ありがとうございます!」とベッドに額を擦り付けた。
フェアリスはバルギアスの気が変わらないうちに、とスカートに手を入れると下着を脱いだ。
先ほどまで彼女の秘部を包んでいた小さな布が……パサリと床に落ちる。
――――チャンスはいつあるかわかりませんから!――――
そう言って自分に渡された香油を陰部にたっぷり塗ると、フェアリスは振り返りバルギアスのズボンに手をかける。
(男性は準備が必要なようだから……)
彼がその気になれなければ、この行為はどう足掻いても失敗だ。しかしフェアリスの心配に反して、そこから飛び出してきたのは準備万端ボッキボキの男性器だった。
フェアリスが初めて見る男性器に目を丸くしていると「いや……こ、これは……」とバルギアスが何やら言い出したので、気を削がれては困る!とフェアリスは慌てる。
「男性っていつもこうですよね」
フェアリスは知ったかぶりをして、平静を装うとベッドに仰向けになる。
「あの……旦那様のタイミングでよろしくお願いします」
挨拶回りを終えたフェアリスはお手洗いに逃げ込むと、手を洗いながら鏡の中の自分を見つめた。
しかし自分は何も教えてくれるわけもなく……特にいい案も浮かばないまま、フェアリスはお手洗いから出る。
「はぁ……」
フェアリスがため息をつきながら会場に入ると、一人の男性が「お一人ですか?」と話しかけてきたので、フェアリスはコクリと頷く。
確かに今は一人ぼっちだ。
少し心細さを感じたその時、男性がフェアリスにグラスを差し出してきた。「僕も一人でして……よかったら一杯付き合っていただけませんか?」と
「とても美味しいですね」
フェアリスは初めてのアルコールに少し熱くなった頰を冷やすように手を当てる。グラスに入った水色のお酒は、甘くてとても飲みやすい。
(でもグイグイいってはいけないのよね……)
フェアリスは自分に助言されたことを思い出していた。
――――飲みやすいお酒は酔いやすいです。この前それで令嬢が泥酔してらして――――
「口に合いましたか?よかった」
男性はそういうとフェアリスに飲み進めるように促す。
「……お名前をお伺いしても?」
「そんなそんな、無礼講ではありませんか」男性は飄々とそう言ったけれど……
フェアリスは「私が公爵夫人だったとしてもですか?」と彼の目を真っ直ぐに見た。
男性は少し瞳を揺らし「え?……そ、それは少しまずいですね」とヘラヘラ笑いながら「あ、すみません。連れが」と誤魔化してその場からいなくなった。
(…………怖かった……)
フェアリスはホッと肩の力を抜く。
酔わせて不埒を働く男性もいるから注意しなさい、と自分に言われていた。フェアリスは少しふらつく頭を冷まそうとバルコニーに行くことにした。
(一口しか飲んでいないのに……やっぱり飲みやすいお酒は酔いやすいみたい……)
フラフラと人波を掻き分けていると、腕を引かれたので驚いて顔を上げた。
先ほどの男性なら……場合によっては逃げなければいけない。
しかしフェアリスの予想に反し、そこには心底嫌なものを見るような目で自分を見るバルギアスがいた。
フェアリスはさりげなく腕を振り払い「あ、すみません……少し酔ってしまったみたいで」と彼に告げる。
するとバルギアスはため息をついた後、フェアリスを休憩室へと連れて行った。
「……アルコールに弱いなら控えるべきだ」
腕を組んでそっぽを向くバルギアスにそう言われ、フェアリスは申し訳なくなって俯いた。
まさか自分がこんなにアルコールに弱いとは……
自分を恥じていると、バルギアスがドアノブに手を掛けた。フェアリスはなんだかこれが……彼と二人きりになる最後のチャンスに感じられた。
出ていかれては困る。
アルコールにフワフワした頭が『今しかない』とフェアリスを搔き立てた。
「あの、ま、待ってください」
咄嗟に彼を引き止める言葉が口から飛び出してしまった。
「…………」バルギアスはうっとうしそうに顔を歪めてフェアリスを見た。
フェアリスは自分の浅はかさを少し後悔したけれど……もう交渉は始まってしまったのだ。
「あ、あの……ご相談が」
「……なんですか?」バルギアスは、はあ……とため息をつく。
「私、子どもが欲しくて……あの、抱いていただけませんか?対価として、えっと……旦那様が望むことをなんでもいたします!離縁でも、お掃除でも、何か……えっと旦那様の得になることを!」
「…………」
「旦那様も世継ぎは必要ですよね?どうかこの一度だけ耐えていただけないでしょうか?」
フェアリスは顔の前で手を組むとバルギアスに懇願する。今、この交渉が失敗に終わったら……もうチャンスはないだろう。
「…………」
「お願いします。私……自分の子どもを持つのが夢だったんです!どうか先っぽだけでも!」
フェアリスはその場で土下座を繰り出した。
「…………わかった」
しばらくの沈黙の後、バルギアスはうんざりした様子でそう答える。フェアリスは「ありがとうございます!ありがとうございます!」とベッドに額を擦り付けた。
フェアリスはバルギアスの気が変わらないうちに、とスカートに手を入れると下着を脱いだ。
先ほどまで彼女の秘部を包んでいた小さな布が……パサリと床に落ちる。
――――チャンスはいつあるかわかりませんから!――――
そう言って自分に渡された香油を陰部にたっぷり塗ると、フェアリスは振り返りバルギアスのズボンに手をかける。
(男性は準備が必要なようだから……)
彼がその気になれなければ、この行為はどう足掻いても失敗だ。しかしフェアリスの心配に反して、そこから飛び出してきたのは準備万端ボッキボキの男性器だった。
フェアリスが初めて見る男性器に目を丸くしていると「いや……こ、これは……」とバルギアスが何やら言い出したので、気を削がれては困る!とフェアリスは慌てる。
「男性っていつもこうですよね」
フェアリスは知ったかぶりをして、平静を装うとベッドに仰向けになる。
「あの……旦那様のタイミングでよろしくお願いします」
あなたにおすすめの小説
死ぬまでに叶えたい十の願い
木風
恋愛
「あなたを妻として、愛することはない。おそらく、生涯抱くこともないだろう」
三年間の白い結婚——捨て置かれた王太子妃エリアーナに、側妃が『死の呪い』をかけ余命一年を宣告する。
離縁を願うも拒否され、代わりに「死ぬまでに十の願いを叶えて」と契約する——
二人きりの外出、星空、海…ささやかな願いが王太子の心をほどいていく。
愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください
無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――
三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで
狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。
一度目は信じた。
二度目は耐えた。
三度目は――すべてを失った。
そして私は、屋上から身を投げた。
……はずだった。
目を覚ますと、そこは過去。
すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。
――四度目の人生。
これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、
同じように裏切られ、すべてを失ってきた。
だから今度は、もう決めている。
「もう、陸翔はいらない」
愛していた。
けれど、もう疲れた。
今度こそ――
自分を守るために、家族を守るために、
私は、自分から手を放す。
これは、三度裏切られた女が、
四度目の人生で「選び直す」物語。
私だけが愛して1度も笑ったことの無い夫が、死んだはずの息子を連れてもどってきた
まつめ
恋愛
夫はただの一度も私に笑いかけたことは無く、穏やかに夫婦の時間をもったこともない。魔法騎士団の、騎士団長を務める彼は、23年間の結婚生活のほとんどを戦地で過ごしている。22歳の息子の戦死の知らせが届く。けれど夫は元気な息子を連れて私の元に戻って来てくれた。
あなたに嘘を一つ、つきました
小蝶
恋愛
ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…
最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ
【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】
【完結】愛する人はあの人の代わりに私を抱く
紬あおい
恋愛
年上の優しい婚約者は、叶わなかった過去の恋人の代わりに私を抱く。気付かない振りが我慢の限界を超えた時、私は………そして、愛する婚約者や家族達は………悔いのない人生を送れましたか?
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。