【R18】前世が良くないもので

mokumoku

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「気持ちが悪いか、俺は独占欲の塊だ。君を……誰にも渡したくない」ヴェルナーの言葉を追うように、空に花火が上がる。
ちょうど言い伝えでは闇を光が包んだ時間だ。
ゴーン、ゴーンと祝福の鐘が鳴る。

「…………気持ち悪くなんか……」リベルナがヴェルナーの目を見つめる。いつも見上げていたけれど……目線を合わせるように膝をついた彼の瞳は、深く優しいまなざしだ。
「……どうした?」ヴェルナーはリベルナの顔を覗き込みながら言う。
「……あの……すみません。聖食って……?」
リベルナは少し恥ずかしそうに尋ねる、常識のない自分が恥ずかしい……
ヴェルナーはそんな彼女の頬に手を添えると「かわいいなぁ……♡」と下の口が言った。
「お、お、おお……ゴホゴホ、聖食と言うのはオリビア様が俺の剥がれ落ちた人格を食べることだ」
「え?」
「オリビア様はそれを食べなければ子どものように身が縮み……俺は人格が破綻する。すまん……アテナはオリビア様だ。嫌だよな、そんな年頃の女性を実は同居させていたなんて……」
ヴェルナーはリベルナを見つめながら言う。
彼はなんだか申し訳なさそうに瞳を揺らす。
リベルナはそれを聞いて……全てを理解することが出来たような気がした。(旦那様は……私を裏切ったりはしていなかったのだわ)
「オリビア様は怖い!出来れば聖食なんかしたくないんだよなぁ。ああ……やめたい……」下の口が本音を漏らす。それを聞いてヴェルナーは気まずそうに笑った。
「愛してる妻……君はずっと俺だけのものだ。例え……世界が変わっても」懇願するような声色に、リベルナは答える代わりに左手をヴェルナーに差し出す。
ヴェルナーはその指に、先ほどのリングをゆっくり通しながら言った。
「旦那様……」
リベルナの顔をヴェルナーが両手で包み込むように触れた。リベルナはハッとしたように彼と目線を合わせる。
「俺は君を幸せにする」
ヴェルナーは自分の左手をリベルナに差し出し、リングを彼女に握らせた。
「……旦那様……私もあなたに尽くします」ヴェルナーの真っ直ぐな眼差しに応えたくて……リベルナはそう言いながら彼の指にリングを通す。
「君は今までと同じでいい」ヴェルナーは顔を傾けるとリベルナの唇に自身の唇を寄せながら言う。
とめどなく上がる花火のせいか、まるで昼間のような明るさに包まれた夜、ヴェルナーはリベルナに優しく触れるだけのキスをした。
光の粒が二人に降り注ぐ。
実際は花火の火花がパラパラと落ちてきたに過ぎないのかもしれないが、それはまるで身分の違う二人の恋を空が祝福しているかのようだった。



「でも……困りましたね」
馬車の中でリベルナはヴェルナーの胸についた唇をプニプニと指で押しながら言った。
隙あらば舐めようと舌を伸ばしてくるので、かわす。
「なんだ……いつもと違う方法で自身を押し戻した弊害だろうか……」ヴェルナーは頭を抱えているが、お口は呑気だ。
「妻の指は美しいなぁ」
「ふふ……ちゃんと歯列も配置も同じですね。あーんしてみてくださいな?」「あーん」リベルナはお口のお口の中を興味深く眺めた。
想像通り自分と同様に喉の奥があるように見える……

「このままではまずい……」ヴェルナーは本当に困った様子でそう言った。一方リベルナは正直なお口を少しありがたく感じていた。
「でも私はそのお陰で旦那様とお近づきになれました」
「へへへ……妻、かわいいことを」
「ふふ……旦那様ったら♡」リベルナはお口の周辺の皮膚をツンツンと指でつつく。筋肉質な身体つきのヴェルナーだが、脱力しているからか意外と柔らかい感触が伝わる。
「待て待て!妻よ……下の口とばかり会話をするな」ヴェルナーはリベルナを抱き上げるように持ち上げると、彼女の唇にキスをした。
「下のお口も旦那様でございますでしょう?」
「……まあそうだが……」ヴェルナーはリベルナの口に舌を割り入れると彼女の舌に絡める。ゾクゾクと心地よい痺れがリベルナの背中をかけていく。
それを知ってか知らずか……ヴェルナーはギュッとリベルナの背を抱いた。

「嫉妬をしているなんて情けない!く……独り占めしたい妻を!俺にも指でツンツンしてくれ」
ヴェルナーの胸に押しつぶされたリベルナの胸の先を、衣類越しにお口が本音を話しながら食んでくる。
いつもは優しく探るような舌使いなのに……少し強めに舌を動かして胸の先を探るような動きに、リベルナは布越しなのにも関わらず胸の先を硬くした。

リベルナは一度口を離すと舌先から唾液の糸を伝わせながら「私……旦那様だけのものでございます」とヴェルナーの頬を指でツン……と押した。
ヴェルナーの耳先がドンドン赤くなっていく。
「……俺も君だけだ。生涯……いや、どの世になっても」ヴェルナーは口を開けながら顔を傾けて、リベルナの舌に自分の舌で触れた。それと同時にリベルナのシャツの前が開かれて、ぷる……っと胸が飛び出す。

お口がそれを待ち構えたいたかのようにやって来て、ヴェルナーが脇からすくい上げるように揉む胸の先をチュッ……と吸った。
「ふ……ぅん……ッ」
リベルナはヴェルナーに絡められた舌から与えられる快感と、お口が舌先で与える乳頭への刺激に耐えられず声を漏らす。
「キスは気持ちがいいか……妻よ」
「……あ、は……はいっ」
ヴェルナーが口を離してリベルナの顔を観察するように眺め、掠れた声を出した。リベルナはなんとなく……お口が胸の先を刺激していることは、ヴェルナーにバレない方がいいような気がして敢えて言わないでおくことにした。
お口が胸の先を愛撫しているとは知らないヴェルナーは、いつもよりうっとりとした様子でキスを受けるリベルナを見て、なんだか満足そうだ。
その間もリベルナは胸の先をお口に舐め回されて子宮がキュンキュンとヴェルナーを受け入れる準備を始めている心地に、陰部をヒクヒクと震わせていた。
「妻……愛してる」
「あぁ……私もでございますぅ旦那様ぁ……」
「おれもらよリベルナはん」
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