【R18】9番目の捨て駒姫

mokumoku

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「それでは失礼いたします」
私がネックレスを手にその場を去ろうとすると、王様が「ちょ、ちょっと待て…」と声を掛けてきた。私は少々煩わしく感じたので少しいじわるな気分になり(ちょっといじわるな事でも言ってみようかしら?)と口を開こうとしたその時…キラリと何かが輝いた気がしてよく見ると王は腰に剣を携えている…


な、なんでいつも剣を持っているのかしら!!
「は…はい、なんでございましょう…」
「そ、その!なんだ!!礼をしてもらうかな!!…ははははは!そ、その…ネックレスの…お、お前も言っていたではないか…は、ははははは!身体でお礼を。と!はははははははははははははははは!」王様は豪快に笑うと恐ろしいことをおっしゃいました!!え!!あなたの言うお礼とはなんなんでしょう!!わ、私の耳とか…小指とか…乳首とかを切り取ってコレクションするわけではありませんよね!?

「お、お…おおおおお礼でございますか…?」顎がガクガクして上手く話せない!!「お、おおおおおおお…お…お、お、お礼だ…と、当然だろ…してもらったんだから…お、お礼は…当然だ…そ、そうだよな…」
ああ…恐ろしい…
な、何を要求されるのかしら…
「あ、あの…一応…あの、ご要望をお伺いしても…」私は緊張のあまり喉がカサカサ…ゴクリと飲み込む生唾さえないのでございます…
ま、万が一何か部位を要求されたら…つ、爪位なら…
それで妥協してもらおう…
ドクドク…
ドクドク…
「せ…せ…」
「せ…?」背中の皮とか…
「せっ…せ…せ…」
「せっ…せ…せ…?」東洋のなにか…遊びかしら…ああ!学がないからわからないわ。



「せ…接吻など…」王はポツリとそう言いました。
「…え?」そ、そんなことでいいの…?そんなのいくらでも…減るもんじゃありませんし…そんなことでこのネックレスが手に入るのですか?そんな何も価値のないことで?私の?
「………」
「………」
「な、なんてな!!じょ、冗談だ!冗談!!そ、そんなわけないだろ!はははははははは!お、驚いたか!!ははははははははは!いかん!いかんな!接吻はやりすぎだな!!ま、まだな!!そんな!はははははははははははははははは!頬に接吻なんてなあ!そんな…はははははははは!」
キャー!や…やはりそんなわけないですよね!!接吻だなんてそんな下らないことを私に要求するわけがないのよ!しかも今頬に、とおっしゃらなかった?そんなもの…!なんの意味もないわ!皮膚に唇を当てるだけではありませんか!

「ふ…ふふふ…お、お戯れを…ふふふ…」
「はははははは!はは、ははは!戯れたな!戯れた!接吻はいかんよな…こんなネックレスごときで接吻はいかんな!!はははははは!」
「ふ…ふふふ…」そ、そうよねぇ…こんなに高価な物をいただいてしまっては…わ、私は何でお返しすればいいのかしら!!何も考えずに物をいただくのは良くないわ!何事もギブアンドテイク…

「じゃ、じゃあ…あの…その、な、なんだ…あの…手…手を…」
「手を…?」
「手を…」
「手を…」手を何!?手を斬り落とすの!?その剣は新しいの!?斬れ味を試したいの!?「手をに…「あ!あの…お、王様…わ、私にはこのようなネックレス勿体なくございます…!」私は耐えきれずネックレスを王にお返しする。
「…え…しかし…」
「あ、あの…私にはこのような逸品もお色も似合いません…ほ、本当に申し訳ございませんでした!!」私は深々と頭を上げ王様にネックレスを返却することにした。

だって…
ネックレス一つで手がなくなってはたまらないわ…
手がなければネックレスの金具を留めることができないじゃない!ねえ…そうでしょう?











ゴツゴツゴツゴツ…
軍靴の音がする。

それは幸せを運んだり、悲しみを運んだりする。
私の護衛が鳴らす靴音は私を地獄に突き落としたり、救ったりするのだ。


「ふー…疲れた…」
「姫様、大丈夫でございますか?何かお飲み物でも…」
「ふふ…平気」
私は第9王女なので予算が少ない。
護衛をつけると使用人をつける予算はない。
私の商品価値である処女を護るためにも護衛は必須なのだ。だから私には使用人はいない。

私は立ち上がると棚から茶葉を取り出した。
「ああ…姫様…私が取りますのに…」椅子に登る私を見てセドリックが慌てている。
「ううん、セドリック…あなたは今私のお客さんよ!これからお茶会だから…おもてなしをしたいわ」私がそう笑って言うと、セドリックは少し困ったように眉を下げて笑った。
では、私は手土産を持ってまいりましょう。と部屋を出ていく。

セドリックは私より10程年が上だ。
落ち着いていて…大人の男性。

「ふふ…セドリックったら」私は彼が出て行った扉を見つめる。
先ほど昼食とともに置かれたお湯は少し冷めてしまっていて温くなっている。
「…でもお茶は温いお湯で淹れるのがいいのよ…」私は本当かどうかわからない知識を呟いてお茶の香りに包まれた。


トントンとノックの音がしてセドリックが戻ってくる。

「おかえり!セドリック!」












「……セドリック…」
私は暗闇の中目が覚めた。とても懐かしい夢をみた…そう、元々住んでいた国で私は一人ではなかった。セドリックがいつも側にいてくれた。


身体を起こすと豪華なベッドフレームが私を囲んでいる。
……


「セドリック…」

私は膝を抱えた。








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