”その破片は君を貫いて僕に突き刺さった”

飲杉田楽

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2話 憎恋刀身編

1.午夜の待ち合わせ

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東 武仁 (ヒガシ タケヒト)はドトールの
ブレンドを飲みながら
偉そうに肘をついて
本のページをめくっていた。



店内は閉園前30分ということもあり、他の客はいなかった。平日ということも
相まっていたのかもしれない。

面白いと呼べるほどの話ではないなと
ため息をつきながらも続きはきになる
東はページをめくる手を早めた
その速さからして
一言一句丁寧に読んではいない。



正直、細かい部分はすっ飛ばしても
この物語は読解可能だろうと
おもったのだ。
しかし当の本人、はそんなこと
僅かにもおもってなどいなかった。
物語があと何ページで終わるのか、
数え始めていた。

『まだ、来ないのかあいつ』


制服姿の東が、この時間には不似合いなのか、店内一人というこの環境が
そうさせているのか、
間接照明に照らし出されてページをめくる動作しかしない東の姿は真向かいの鏡に
蝋人形のように映っていた。


そんな自分の姿をみて、
ようやく偉そうに足を組んでいることに、
驚いた東。普段足など組もうとも
思わないし、
長時間の足組みは血が
通わなくなり不利だ。


もしここで、刀使いや刀持ちが来たら…
東は少し冷や汗をかいた。
独特な雰囲気が店内を包む。
まさか、ここに来る前にあいつは…
東が唾を飲み、
そのあと、ブレンドコーヒーを啜った。
すっかりブレンドは冷めており、
ホットで頼んだはずなのに
アイスになっていた


それもキンキンに冷えていた。
その事実にむせ返る東。

コツ。


ハイヒールのような音がした。

そしてそのあとよく見知った声が耳に届く
『まさか2階にいるとは思わなかったわよ』

あいつ。

あいつのご登場だ。


紫香楽 宵音(シガラキ ヨイネ)
東と待ち合わせていた張本人であり、
東武仁と同じく、彼女も刀保有者だ。

しかし、彼女と東が異なる点は
ひとつだけ存在した。
それは、彼女は刀に融合された刀そのもので
東はその刀の断片が彼女を貫いて刺さったことによってその刀の力を得たという点だ。

つまり、東の刀は彼女の一部で、
二人で一つの刀ということだ。
そもそも刀がどうして彼女のを貫いたのに融合しているのか、その破片がどうして、東に刺さったのか

二人が何故そのような事件に遭ったのか、
何故無傷なのか、
それはまだ語るべきではないのだろう。


悲劇はこれから起きるのだから。

2話 憎恋刀身編 始動。
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