アニンバイツ

飲杉田楽

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第1章 メリュジーヌ本部脱出編

7.臨戦態勢

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『行くぞ!  急げ!』
勝呂は神奈を急かし、エレベーターへの部屋の扉を開ける。
神奈は少し残念そうに指をくわえ 
ダガーナイフをしまった。

『先輩~だっこ~  してー』
『ふざけんな  非常階段から落とすぞ』
『ひどい~』
圧倒的な力をもった勝呂鞍馬。  

そんな彼も冗談が言えるまでの人間性を
取り戻していた。
復讐する事しか頭になかった男が
人として、 勝呂鞍馬として
今ここにいるということ。
神奈はそれが嬉しかった。

二人は非常用エレベーターに
乗り脱出を試みる。


エレベーターは  
ガタガタを金属音を立てながら  
猛スピードで垂直落下していく。
落下するためのみに造られた棺桶に乗ってる気分だ…と、言えば  
すごくわかりやすいかもしれないと勝呂は  妄想を膨らませていた
しかし、 一方  神奈は  
また泣きそうになっていた。
彼女自身   あざとい   と同業者の間では
有名なのだが、彼女が泣くことはあまり無く
これまでも   嘘泣きはあったものの、
本泣きするのは、
いつも勝呂の目の前のみである 
鼻水を服に付けられ 困っていたこともあったなと、 懐かしい思い出に浸っていたが

勝呂は気になっていた。
先程の覆面の男  の服の文様である。

まず、あの格好からしてテンペストではないことは明らかだった。


テンペストはもはや、人間ではない
それはまるで  開物の様な形相をしており
眼球が飛び出し  鼻と唇は削ぎ落とされており
グロテスク極まりない装飾を体に施している
極め付けは  生肉のような  体色だ。


彼らもまた、  改造人間として  人体実体を受けた  傭兵の生き残り達だろう。
その中には  勝呂の  腸を削ぎ落とし勝呂鞍馬を、一度死へ追いやった アニンバイツ、


亜種族触手吐出型禁接人種
『腕無し』もいるわけだが…


覆面の男…彼は確かに、
皇国の  紋様を背負っていた
のだが、   爪でその紋様を抉り取ったようなワッペンをジャケットに付けていた。


その  爪痕が気になっていた。
皇国の  国民たちはみな、  皇国の王に
絶対的忠誠を誓っており、  
王が掲げる国の紋様を  高く崇拝している。

そんな国の民、  いくらテロリスト同様の集団と言えど  そこまで  反政府派として 
紋様を傷つけるハズがない。

そんなことをすれば、  
皇国王は黙ってはいないだろう。
なら何故…   



勝呂は  猛スピードで落下していく
エレベーターの中  それのみを考えていた。

そのため、  異常事態を想定出来たのだろうがしていなかった。

揺れが収まり  急激な振動と共に  
電子音が鳴り  一階でございます  と
機械的なアナウンスが聞こえた

扉が開く  涙を拭きながら  神奈は 
扉の外へ出た…  
勝呂もその後へ続いた
勿論  警戒は怠っていなかった  が、
さすがに   その光を  目視する暇が  無かった


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