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いちわ
しおりを挟む虚無という言葉が似合うその廃工場地帯。
不思議なことに生きることをやめた工場達は稼働していない筈だというのに、黒く濁った煙を吐き出していた
楽しそうにゴウゴウと泣くその煙突の先端は真っ黒に焦げていて
火の粉がゴロゴロとこぼれ落ちてはその工場の周りに火の海を築き上げていく。
しかしながら工場そのものは消し炭になることはないらしく、
その火の海はただひたすらに燃え上がることなくその場に立ち尽くしているだけなのだ。
ーーーーーーーーーーーーー
繰り返されるその銃撃のパレード、音階が滅裂なそのパレードは
逃げ惑う人々に牙を剥いた。
ガラス片やコンクリートの破片達がたちまちあたりに散らばったかと思うととんでもなく大きなガレキ達が負傷して身動きが取れなくなった人々を押しつぶしては楽しそうに笑っていく。
『厄介な事件現場だ。』
スニーカーの踵部分から青い煙を上げるその男は青い舌をだして乾燥してひび割れて真っ赤に染まった唇を舐め回した。
男のリップクリームは使い物にならないほどボロボロ。
そのリップクリームはどういうわけか黒く焦げているようにも見える。
『今回も深夜上がりですかね先輩』
眉をひそめてめんどくさそうに
言葉を吐く少年が、乾燥した唇を舐め回しては痛そうな顔をする男の後ろにそびえ立つビルから出てきた。
『うるせえわ。知ったような口聞くんじゃあねえよクソガキ。
まだお前と仕事して3日だってのに、毎度の事ながら…みてえなこと言ってんじゃあぁぁぁねえよ』
少年は男がイラついているのを見てケラケラと笑った。
『さあて いくぞ 煙マンとスプラッタ少年よ』
そんな2人の後ろから現れた男が1人。
2つの大きなダガーナイフを交差した両腕に忍ばせ、
ニヤリと気持ちの悪い笑みを浮かばせるその男こそ、
今回の主人公…
殺し屋、
フランクリン=ヴランクリン
である
ちなみに彼は先程、乾燥昆布を大量に口に頬張ったことによって唇を切って 泣いてる。
これから始まるお話はそんな
ヴランクリンの奇妙で滑稽なオハナシ。
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