メデューサの災難

燦閑詩厭

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軽口の美女

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結論から言うとメデューサは死んでいなかった。
首から下のない人ましてや怪物に生死の概念が適用されるのかは、甚だ疑問だが、二階級特進がどうのこうのと抱腹絶倒する首に祈ってやれる冥福はないだろう。
あまつさえ、脈絡が読みにくい展開が続き申し訳ない限りであるのだが、切断されたメデューサの首から天馬ペガサスが誕生した。

そしてそのペガサスに跨がりメデューサの首を手土産に復路についている。


「僕思うんですよ。敢えて困難な道を選択することで精神的にも肉体的にも成長できると思うって言うか。
やらずに後悔するならやって後悔するべきですよね。」


得意げに内容の薄いことをベラベラ喋るペガサス。

「俺、こいつのこと嫌いやわ。」

「私も。」


ぼそりとメデューサに引き続きペルセウスが呟く。
しかし二人の声などどこ吹く風で、
そんな二人を尻目にペガサスはさらに続ける。

「要するに常に向上心を持って自分が上に立つ時のことを今から考えるべきじゃないですか。
要するに常に受け身の人間って結局、社会じゃ埋もれていくって言うか。
要するに…」
「「黙れ!! 小僧!!」」


二人の怒号が一匹の自惚れの喜色を断絶する。

「お前の言葉は、すべて教科書にでも書いてある! 
お前から学ぶことは何もない!!」
「意識と力量が見合っていません。
これ以上、自身の立場を悪くしたくないのなら口は慎まれるべきです。」

「見たか。ペル!これがゆとり教育や! !
社会の厳しさから目を背け、生暖かく半端な綺麗事に縋り付いた社会が生み出した産物や!
俺なんかより、よっぽど化け物やで。
とりたてて特徴のない者には、とりあえず「やれば出来る子」と通信簿に書いてきた教師の怠惰とそれを真に受けた子供が最悪のコラボレーションを果たしたんや!!!」
「ペルって呼ばないで!
基本的にこのサイトのユーザーの年齢層はゆとり世代なので、もう少しオブラートに包んで主張して!!」

「オブラートに包んできたものが今になって破口したんや!!
苦っがい汁が滴り落ちとんわ!!!」
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