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第三十九話
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「立てるかい、マルク君?」
「ありがとうございます、ギルベインさん……」
ギルベインさんが身体を支えてくれた。
『全く無茶をしおって。毒液を撒き散らすヒュドラに正面から向かっていったときには、もう終わったかと思ったぞ!』
ネロが興奮気味に、ブンブンと尾を振っていた。
『ギルベインよ。精霊の化身である我は、契約者のマルクが弱っているときには十全に力を発揮することができん。マルクを背負ってくれるか?』
「あ、ああ、わかったよ。えっと……ネロ君?」
『なっ、馴れ馴れしく呼ぶでない! その名で呼んでいいのはマルクだけである! 我のことはネロディアスと呼べ!』
ネロが触手で、ぺしぺしとギルベインさんを叩く。
僕はちらりと、横目でヨハンを見た。
まだぐったりと気を失っている。
頭目である彼を捕縛すれば、〈真理の番人〉もお終いだ。
ようやくこの事件の片が付いたのだ。
「フン、お前も生き残ったか」
タルマン侯爵様がティアナ様へと近づき、そう口にした。
「……父様」
相変わらず、タルマン侯爵様は冷たい目をしていた。
先程まで敵に捕らえられていた、自分の娘に向けるものとは思えなかった。
タルマン侯爵様は、侯爵家ではティアナ様の力は持て余す、この辺りで死んでもらった方がいいと……そう口にしていた。
二人が顔を合わせていることに、僕は不安があった。
ティアナ様は……今後、どうなるのだろうか?
ゼータは力のある者は利用されるか、迫害されるか、二つに一つだと口にしていた。
僕はそれだけではないはずだと、ゼータの言葉を否定した。
でも、タルマン侯爵様やティアナ様を見ていると、僕は自分の言葉に自信が持てなくなってくる。
少なくともこの王国に、そうした風潮があることは事実なのだ。
ヨハンやゼータは、きっとこの世界の地獄を見た末に、〈真理の番人〉へと行きついたのだろう。
そのとき、館全体が大きく揺れ始めた。
「なっ! なな、なんだ!?」
ギルベインさんが慌てふためき、周囲へ目を走らせる。
『……ゼータとの戦いに続き、大精霊ヒュドラと、散々暴れておったからな。崩落した建物が、自身の重さを支えられなくなっておるのだ。早く脱出するぞ!』
頭上から大きな音がした。
僕が顔を上げると、ティアナ様へと瓦礫の塊が落ちていくのが目に見えた。
「ティアナ様……!」
駆け出そうとするが、ヒュドラとの戦いでのダメージで、身体が思うように動かない……。
「ティアナッ!」
タルマン侯爵様が、ティアナ様を突き飛ばした。
落石がタルマン侯爵様の背と頭部に当たる。
鈍い音が響き、タルマン侯爵様は床へと崩れ落ちた。
頭からは夥しい量の血が流れている。
「侯爵様、侯爵様っ!?」
ギルベインさんが顔を真っ蒼にして、タルマン侯爵様へと駆け寄る。
「と、父様……どうして……?」
何があっても無表情だったティアナ様の顔が、今は困惑に歪んでいた。
「……ああ、また、やってしまった……か。貴族は、領地を守ることこそが全て……。情で判断を曇らせるようなことがあっては、ならんというのに。跡継ぎにもなれん娘を庇って命を落とすなど、貴族として失格……。それともこれが……半端な情でタルナート侯爵家を引っ掻き回してきた、吾輩に相応しい最期だというのか」
「すすっ、すぐに、侯爵様をお連れして外へ……! 大丈夫ですよ、侯爵様! きっと負傷者の治療のために、既に教会魔術師が近くまで来ているはず! すぐに治療してもらえば……!」
ギルベインさんが動転した様子でタルマン侯爵様へとそう話す。
タルマン侯爵様は、ギルベインさんを見て、ふっと笑った。
憑き物が落ちたような、優しげな顔だった。
「構わん。吾輩も貴族……魔法には詳しいつもりだ。この怪我では助かるまい。それよりも……早く、この館から脱出せよ。じきに完全に崩れ落ちる。そこの少年も、ろくに動ける状態ではないのだろう。どうせ死ぬ者を連れて行く余裕はあるまい」
タルマン侯爵様は僕を見てそう口にした後、ティアナ様へと目をやった。
「ティアナ、お前の不幸は全て吾輩の責である。しかし、お前に謝るつもりはない。恨むなら恨むがいい。だが、一つだけ……死ぬ前に解いておかねばならん誤解がある。下手に口外すれば、タルナート侯爵家を破滅へ追い込みかねん問題……必ず胸に秘め、誰にも話すな」
ティアナ様はその場で屈み、タルマン侯爵様へと顔を近づけた。
「お前の母……吾輩の三人目の妻、タリア。吾輩はあいつに一目惚れして、強引に娶ったわけではない。知り合ったのも、恋に落ちたのも、吾輩らが幼少の頃だった」
「え……」
ティアナ様が呆気にとられたように口を開く。
ティアナ様の母親のことは、以前に彼女から聞いたことがあった。
美貌に目を付けたタルマン侯爵様に半ば強引に娶られ、下級貴族の出であったため館の中に居場所がなく、その果てに侯爵家の陰謀に巻き込まれてタルマン侯爵様から見殺しにされたのだ……と。
「吾輩の立場上……下級貴族の出の女を、第一夫人にすることはできんかったのだ。先に二人妻を娶ること……それが、吾輩がタリアとの婚姻のため、先代当主より課された条件だった。半ば諦めさせるための方便だったのだろうが……吾輩はタリアに執着し、盲目になっておった。無論、このことは他の妻は疎か……下手に家臣に悟られるわけにもいかん。このような歪な婚姻……少し考えれば、あいつを不幸にするだけだと、すぐにわかったはずであるのにな」
タルマン侯爵様は、震える声でティアナ様へとそう語った。
「結局、吾輩の恋情などというくだらんもので、侯爵家を無為に引っ掻き回すことになった。その混乱を広げて騒ぎ立て、吾輩を次期当主の座から引き降ろそうとしたのが、吾輩の弟であり……トーマスの父である、ダイモスだ。ダイモスは散々悪事を働いた末にこのままでは勝算がないと悟り、タリアを人質に取ることで吾輩に対して優位に立とうとした。タリアは他の妻からの陰湿な嫌がらせで塞ぎ込んでおり……家督争いの引き金にされたことを気に病んでおった。これ以上、吾輩に迷惑を掛けられないと……自ら命を絶ったのだ」
「そんな……」
「全ては貴族の身で情にかまけた、吾輩が引き起こしたこと……。吾輩はその埋め合わせをすべく、政務に全てを捧げ、専念してきた……つもりだったのだがな……。結局吾輩は、最期まで中途半端であった。こうして死を目前にして、何の力も持てなくなって……ようやく本心を話せる。吾輩が言える身でないことはわかっておるが、ティアナ、幸せになりなさい……タリアの分まで」
そう口にすると、タルマン侯爵様は目を閉じた。
ティアナ様は、タルマン侯爵様の手を取って沈黙していた。
ギルベインさんは僕を背負うと、ティアナ様へと近づく。
「ティアナ嬢……その、侯爵様のことは残念だけれど、早く行きましょう。侯爵様の言葉通り、ここはいつ崩落してもおかしくない」
ギルベインさんが、気まずげにそう口にした。
……契約者である僕が弱っているため、ネロも人を運べるだけの力が今はない。
人を運べるのはギルベインさんだけだ。
と……そのとき、ティアナ様がタルマン侯爵を背負った。
ギルベインさんはぽかんと口を開け、目を丸くして彼女を見る。
「……ごめんなさい。助かる見込みがなくても、父様をここには残しておけない。私が、背負っていく……。遅くなると思うから……あなた達は、先に行って」
ティアナ様は苦しげに、ふらつきながらそう口にした。
ギルベインさんはじっとティアナ様の顔を見ていたけれど、すぐに口許を押さえて相好を崩した。
「じゃあ……ティアナ嬢は、マルク君を頼めるかな? 侯爵様は私が運び出そう。その方がいいだろう?」
「あっ……は、はい。で、では、お願いします……」
動転していて、そこに気が回らなかったのだろう。
ティアナ様は頬を微かに赤らめると、こそこそとギルベインさんへ頭を下げた。
「ありがとうございます、ギルベインさん……」
ギルベインさんが身体を支えてくれた。
『全く無茶をしおって。毒液を撒き散らすヒュドラに正面から向かっていったときには、もう終わったかと思ったぞ!』
ネロが興奮気味に、ブンブンと尾を振っていた。
『ギルベインよ。精霊の化身である我は、契約者のマルクが弱っているときには十全に力を発揮することができん。マルクを背負ってくれるか?』
「あ、ああ、わかったよ。えっと……ネロ君?」
『なっ、馴れ馴れしく呼ぶでない! その名で呼んでいいのはマルクだけである! 我のことはネロディアスと呼べ!』
ネロが触手で、ぺしぺしとギルベインさんを叩く。
僕はちらりと、横目でヨハンを見た。
まだぐったりと気を失っている。
頭目である彼を捕縛すれば、〈真理の番人〉もお終いだ。
ようやくこの事件の片が付いたのだ。
「フン、お前も生き残ったか」
タルマン侯爵様がティアナ様へと近づき、そう口にした。
「……父様」
相変わらず、タルマン侯爵様は冷たい目をしていた。
先程まで敵に捕らえられていた、自分の娘に向けるものとは思えなかった。
タルマン侯爵様は、侯爵家ではティアナ様の力は持て余す、この辺りで死んでもらった方がいいと……そう口にしていた。
二人が顔を合わせていることに、僕は不安があった。
ティアナ様は……今後、どうなるのだろうか?
ゼータは力のある者は利用されるか、迫害されるか、二つに一つだと口にしていた。
僕はそれだけではないはずだと、ゼータの言葉を否定した。
でも、タルマン侯爵様やティアナ様を見ていると、僕は自分の言葉に自信が持てなくなってくる。
少なくともこの王国に、そうした風潮があることは事実なのだ。
ヨハンやゼータは、きっとこの世界の地獄を見た末に、〈真理の番人〉へと行きついたのだろう。
そのとき、館全体が大きく揺れ始めた。
「なっ! なな、なんだ!?」
ギルベインさんが慌てふためき、周囲へ目を走らせる。
『……ゼータとの戦いに続き、大精霊ヒュドラと、散々暴れておったからな。崩落した建物が、自身の重さを支えられなくなっておるのだ。早く脱出するぞ!』
頭上から大きな音がした。
僕が顔を上げると、ティアナ様へと瓦礫の塊が落ちていくのが目に見えた。
「ティアナ様……!」
駆け出そうとするが、ヒュドラとの戦いでのダメージで、身体が思うように動かない……。
「ティアナッ!」
タルマン侯爵様が、ティアナ様を突き飛ばした。
落石がタルマン侯爵様の背と頭部に当たる。
鈍い音が響き、タルマン侯爵様は床へと崩れ落ちた。
頭からは夥しい量の血が流れている。
「侯爵様、侯爵様っ!?」
ギルベインさんが顔を真っ蒼にして、タルマン侯爵様へと駆け寄る。
「と、父様……どうして……?」
何があっても無表情だったティアナ様の顔が、今は困惑に歪んでいた。
「……ああ、また、やってしまった……か。貴族は、領地を守ることこそが全て……。情で判断を曇らせるようなことがあっては、ならんというのに。跡継ぎにもなれん娘を庇って命を落とすなど、貴族として失格……。それともこれが……半端な情でタルナート侯爵家を引っ掻き回してきた、吾輩に相応しい最期だというのか」
「すすっ、すぐに、侯爵様をお連れして外へ……! 大丈夫ですよ、侯爵様! きっと負傷者の治療のために、既に教会魔術師が近くまで来ているはず! すぐに治療してもらえば……!」
ギルベインさんが動転した様子でタルマン侯爵様へとそう話す。
タルマン侯爵様は、ギルベインさんを見て、ふっと笑った。
憑き物が落ちたような、優しげな顔だった。
「構わん。吾輩も貴族……魔法には詳しいつもりだ。この怪我では助かるまい。それよりも……早く、この館から脱出せよ。じきに完全に崩れ落ちる。そこの少年も、ろくに動ける状態ではないのだろう。どうせ死ぬ者を連れて行く余裕はあるまい」
タルマン侯爵様は僕を見てそう口にした後、ティアナ様へと目をやった。
「ティアナ、お前の不幸は全て吾輩の責である。しかし、お前に謝るつもりはない。恨むなら恨むがいい。だが、一つだけ……死ぬ前に解いておかねばならん誤解がある。下手に口外すれば、タルナート侯爵家を破滅へ追い込みかねん問題……必ず胸に秘め、誰にも話すな」
ティアナ様はその場で屈み、タルマン侯爵様へと顔を近づけた。
「お前の母……吾輩の三人目の妻、タリア。吾輩はあいつに一目惚れして、強引に娶ったわけではない。知り合ったのも、恋に落ちたのも、吾輩らが幼少の頃だった」
「え……」
ティアナ様が呆気にとられたように口を開く。
ティアナ様の母親のことは、以前に彼女から聞いたことがあった。
美貌に目を付けたタルマン侯爵様に半ば強引に娶られ、下級貴族の出であったため館の中に居場所がなく、その果てに侯爵家の陰謀に巻き込まれてタルマン侯爵様から見殺しにされたのだ……と。
「吾輩の立場上……下級貴族の出の女を、第一夫人にすることはできんかったのだ。先に二人妻を娶ること……それが、吾輩がタリアとの婚姻のため、先代当主より課された条件だった。半ば諦めさせるための方便だったのだろうが……吾輩はタリアに執着し、盲目になっておった。無論、このことは他の妻は疎か……下手に家臣に悟られるわけにもいかん。このような歪な婚姻……少し考えれば、あいつを不幸にするだけだと、すぐにわかったはずであるのにな」
タルマン侯爵様は、震える声でティアナ様へとそう語った。
「結局、吾輩の恋情などというくだらんもので、侯爵家を無為に引っ掻き回すことになった。その混乱を広げて騒ぎ立て、吾輩を次期当主の座から引き降ろそうとしたのが、吾輩の弟であり……トーマスの父である、ダイモスだ。ダイモスは散々悪事を働いた末にこのままでは勝算がないと悟り、タリアを人質に取ることで吾輩に対して優位に立とうとした。タリアは他の妻からの陰湿な嫌がらせで塞ぎ込んでおり……家督争いの引き金にされたことを気に病んでおった。これ以上、吾輩に迷惑を掛けられないと……自ら命を絶ったのだ」
「そんな……」
「全ては貴族の身で情にかまけた、吾輩が引き起こしたこと……。吾輩はその埋め合わせをすべく、政務に全てを捧げ、専念してきた……つもりだったのだがな……。結局吾輩は、最期まで中途半端であった。こうして死を目前にして、何の力も持てなくなって……ようやく本心を話せる。吾輩が言える身でないことはわかっておるが、ティアナ、幸せになりなさい……タリアの分まで」
そう口にすると、タルマン侯爵様は目を閉じた。
ティアナ様は、タルマン侯爵様の手を取って沈黙していた。
ギルベインさんは僕を背負うと、ティアナ様へと近づく。
「ティアナ嬢……その、侯爵様のことは残念だけれど、早く行きましょう。侯爵様の言葉通り、ここはいつ崩落してもおかしくない」
ギルベインさんが、気まずげにそう口にした。
……契約者である僕が弱っているため、ネロも人を運べるだけの力が今はない。
人を運べるのはギルベインさんだけだ。
と……そのとき、ティアナ様がタルマン侯爵を背負った。
ギルベインさんはぽかんと口を開け、目を丸くして彼女を見る。
「……ごめんなさい。助かる見込みがなくても、父様をここには残しておけない。私が、背負っていく……。遅くなると思うから……あなた達は、先に行って」
ティアナ様は苦しげに、ふらつきながらそう口にした。
ギルベインさんはじっとティアナ様の顔を見ていたけれど、すぐに口許を押さえて相好を崩した。
「じゃあ……ティアナ嬢は、マルク君を頼めるかな? 侯爵様は私が運び出そう。その方がいいだろう?」
「あっ……は、はい。で、では、お願いします……」
動転していて、そこに気が回らなかったのだろう。
ティアナ様は頬を微かに赤らめると、こそこそとギルベインさんへ頭を下げた。
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