聖女の冒険 ~聖獣と歩む不浄の地、使命を終えた先に願う安住の伴侶〜

雨宮 未亜

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18.料理は苦手です。

「ただいまー」


 _シーン……。

 ま、返事が返ってこないのは当たり前なんだけどさ。それでも1人だったら寂しいって思ってただろうな。

 しゃがんで凪の首に手を回し抱きしめた。


「凪がいてくれて良かった。 オクタヴィアンさんに感謝だよ」

「一度断った奴がよく言うな」


あれ?凪ってば実は根に持ってる?


「本当は喉から手が出る程魅力的な提案だったよ? 『いいんですか!?』って言っちゃいたいくらい。 でもね、凪を無視して話を進めたって私たちの仲が上手くいくとは思えなかったからさ」


 体を離し、床に両膝をつけたまま凪と向き合った。


「俺自身と向き合おうとしてくれる姿勢を気に入ったんだ」


 美しく、そして凛々しくかっこいい凪は、サイズが変わろうと変わらなかった。


「改めて……これから宜しくね」

「あぁ、宜しくな」

「よし! ご飯食べよう! 凪は何でも食べれるの?」

「俺は食べられるものなら何でも食べる」


 好き嫌いがないって素晴らしい。私はどうしても玉ねぎが苦手で、大人になっても克服できなかった。調理方法によるんだけどね。生は絶対無理。

 あれ?犬って玉ねぎダメなんじゃなかったっけ?って、そっか、今は大型犬にしか見えないけど、凪は狼だった。


「凪は適当に寛いでてね」


 凪は暖炉前のマットの上でのんびりし始めた。

 今は半袖でちょうどいいから、暖炉は使う必要がない。寒い時期になる前に暖炉の使い方を覚えよう。

 広々としたアイランドキッチンの周りには、見慣れた家電製品が並べられていた。冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、ポット、トースター、そしてオーブンまである。

 食料用意してるって……まさかね……。

 冷蔵庫を開けると文字が現れた。

 【冷蔵庫の中は時間の経過がありません】

 それってすごくない?買ったものを腐らせる心配がないって事でしょ?経済的にも大助かり!

 冷蔵庫の中には食材がたくさん入っていた。そしてやっぱり思った通り、出来合いの物はひとっつもなかった。

 私料理苦手なんだよね……いい思い出もないし……。

 _グゥゥゥ~。

 そんなこと言ってる場合じゃないか。お腹空きすぎてやばい。それにこんだけお腹すいてるんだったら何食べても美味しいはず。
 食料はオッケー。調味料とかキッチン用品はどこだろ。
 棚や引き出しを開けたら、調味料、キッチン用品、食器類全て揃っていた。品揃えも豊富で、もう1人の女の子はちゃんと料理する子なんだろうなと思った。だって圧力鍋まである。私は使い方がさっぱり分からないので、それは最初から選択肢から外れてる。

 料理できない人の定番といえばこれでしょ。ってことでフライパンを出した。
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