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第113話 戦力外通知
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そんなこんなで、サバシロお兄さんに薬草の見分け方と薬の作り方を教えることになった。
このあたりには白詰草と紫詰草と酢漿草がたくさん生えているので、手始めにこの3つから教えよう。
「これがシロツメクサで、それがムラサキツメクサで、あれがカタバミミャ。シロツメクサとムラサキツメクサは食べられるけど、カタバミは食べられないミャ」
「う~ん、どれも同じに見えるにゃ~……」
この3つは一見同じに見えるけど、良く見ると全然違う。
シロツメクサの葉は丸くて、葉の真ん中には白い横線が1本入っている。
ムラサキツメクサの葉はちょっと尖った楕円形で、白い▽の模様が入っている。
カタバミの葉は♡型をしていて、白い線は入っていない。
一番見分けやすいのは、花かな。
シロツメクサとムラサキツメクサの開花時季は、5月~8月。
シロツメクサは、猫の爪みたいなちっちゃい花弁が集まってボールみたいにまんまるくなった白い花が咲く。
ムラサキツメクサは、シロツメクサと同じ形で色が違うだけ。
カタバミは3月~11月の間、5枚の花弁の黄色い花が咲く。
特徴さえ覚えれば、簡単に見分けられるようになるよ。
カタバミには、水溶性シュウ酸塩が含まれる。
同じ水溶性シュウ酸塩が含まれる有名な野菜は、ほうれんそう。
人間は食べられるけど、猫には毒。
人間も食べすぎるとおなかを壊したり、尿路結石症になったりしちゃうから要注意。
シロツメクサは猫も食べられる薬草で、傷薬や風邪薬になる。
ムラサキツメクサは、レッドクローバーハーブティーとして有名。
肌荒れ、痒み止めなどの抗炎症作用がある。
咳や喉の痛みなど、呼吸器系の感染症にも効果がある。
女性ホルモンと似た働きをするisoflavoneという物質が含まれるので、女性特有の病気に効果がある。
もちろん、花も食べられる。
さっそく、シロツメクサとムラサキツメクサの葉でフレッシュハーブティーを淹れてみた。
草原にいるような爽やかな香りで、とても美味しい。
集落の猫たちにも、ハーブティーを飲ませた。
呼吸器系の感染症である、猫ウイルス性鼻気管炎にも効く。
ハーブティーはカフェインが入っていないし、リラックス効果もあるから良く眠れるよ。
ハーブティーを毎日飲むと、健康も維持される。
美味しくて元気になれるハーブティーって、最高だよね。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
サバシロお兄さんはいくら教えても、ちっとも薬草を覚えられなかった。
人間でも、薬草と毒草を見分けるのはとても難しいからね。
素人判断で山菜採りをして食中毒になった事件は、ニュースで何度も見たことがある。
猫の記憶力は、人間よりも優れている。
しかし、興味のないことは覚える気がないしすぐ忘れてしまう。
サバシロお兄さんは、そもそも覚える気がない。
覚える気がないものは、仕方がないと諦めよう。
他にもお手伝いが必要なことはたくさんあるから、そっちで頑張ってくれればいい。
薬作りは、薬草を石で叩いて潰すだけだから誰でも出来る。
火を起こしてかまどを作ったり、水汲みをしたり、病気の猫たちに薬を配ったりするお手伝いもある。
誰だって、得意なことや苦手なことがあるのは当たり前。
サバシロお兄さんにだってきっと、何か得意なことがあるはずなんだ。
やってみないと分からないし、やってみたら楽しいと思うかもしれない。
まずはいろんなことを試してもらって、サバシロお兄さんの得意なことを見つけるところから始めよう。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
結論から言うと、サバシロお兄さんは何も出来なかった。
サバシロお兄さんは、とっても面倒くさがり屋さんだったんだ。
猫は基本的に、気分屋さんで面倒くさがり屋さん。
猫が面倒くさがり屋さんなのは、体力を温存する生存本能といわれている。
体力の限界まで働き続けてしまうぼくの方が、猫らしくないんだ。
猫が気分が乗らない時は、明らかに面倒くさそうな態度を取る。
しっぽで返事をしたり、耳だけこっちに向けたり、あくびをしたり、寝ころんだまま無視したりする。
面倒くさがっている猫は、放っておくに限る。
無理にかまおうとすると、ウザがられて嫌われちゃうぞ。
働かないサバシロお兄さんを見て、お父さんとお母さんは怒っている。
「サバシロくんは、本当に何もしないニャーッ!」
「サバシロくんは、ここに置いて行きましょうニャッ!」
ぼくもこれ以上、サバシロお兄さんを旅へ連れていくことは出来ないと思っている。
だって、サバシロお兄さんがいるとみんなギクシャクしてしまうから。
お父さんとお母さんはピリピリしているし、グレイさんにも気を遣わせてしまう。
そんな状況だから、ぼくも気を遣いすぎて気疲れしている。
全員が、ストレスを溜めている状況は良くない。
サバシロお兄さんがこの集落に馴染めそうだったら、申し訳ないけどここに置いて行こうと思う。
とはいえ、ぼくが勝手に決めて良い問題ではない。
しっかり話し合って、サバシロお兄さんがどうしたいか確認しないと。
「サバシロお兄さん、大切なお話しがありますミャ」
寝ころんでいるサバシロお兄さんに声を掛けると、耳がこちらを向いてしっぽの先がパタパタと動いた。
これは「はいはい、ちゃんと聞こえていますよ」という、猫なりの返事。
聞こえているなら、話を続けよう。
「サバシロお兄さんを、この集落に置いて行きますミャ」
「にゃんだってっ? このおれを置いて行くって、どういうことにゃっ?」
サバシロお兄さんは勢いよく起き上がり、ぼくに詰め寄った。
動揺しているサバシロお兄さんに、確認する。
「サバシロお兄さんは、この集落は好きですミャ?」
「そうだにゃ、ここの猫たちは優しくて居心地がいいにゃ」
「でしたら、このままここに棲めばいいですミャ。無理して、ぼくたちについて来る必要はないですミャ。ぼくたちと旅をするより、ずっと安全ですミャ」
「それもそうだにゃ。本当は、旅なんてしたくなかったにゃ。あの集落さえ出られれば、なんでも良かったにゃ。トマークトゥスのグレイも、お前も大嫌いにゃ。おれは、ここに棲むにゃ」
サバシロお兄さんは開き直ったように、本音をぶちまけた。
面倒くさいって態度に出ていたから、そんなことだろうと思っていた。
分かっていても、面と向かってハッキリ「大嫌い」と言われるととても悲しい。
「そうですかミャ……。短い間ですが、今までありがとうございましたミャ」
悲しみをこらえながらお別れを言うと、サバシロお兄さんはまた面倒くさそうにしっぽだけで返事をした。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
「大嫌い」と言われた日から、サバシロお兄さんとは話していない。
サバシロお兄さんにはもう、何も期待しない。
サバシロお兄さんは無視して、猫ウイルス性鼻気管炎に罹った猫たちの看病を続けた。
2週間くらい経つ頃には、猫たちはすっかり快復した。
元気になった猫たちに、薬草の見分け方とハーブティーの作り方を教えた。
やることを終えたぼくは、集落の長のフジにお別れの挨拶をする。
「ぼくとお父さんとお母さんは、そろそろ旅立ちますミャ。今までありがとうございましたミャ」
「いえいえ、こちらこそ大変お世話になりまして、ありがとうございましたニィ~」
「サバシロお兄さんはこの集落が気に入ったらしいので、残るそうですミャ」
「それは、とってもありがたいですニィ~。お医者さんがいて下されば、この集落も安心ですニィ~」
フジは嬉しそうに、ニコニコと笑った。
サバシロお兄さんは、お医者さんじゃない。
そのうちバレるだろうけど、ぼくは知らないからね。
「ところで、この集落の名前はなんていうんですミャ?」
「カタバミですニィ~」
春から秋まで、次々と黄色い花を咲かせ続けるカタバミ。
これから、カタバミを見るたびにサバシロお兄さんを思い出すだろう。
猫たちに見送られて、カタバミの集落を旅立つ。
サバシロお兄さんはぼくをじ~っと見つめながら、しっぽを力強く振って地面に叩き付けていた。
猫がしっぽを地面に叩き付けて時は、イライラしている。
大嫌いなぼくに、早く立ち去って欲しいんだ。
言われなくても、もう行くよ。
さようなら、サバシロお兄さん。
このあたりには白詰草と紫詰草と酢漿草がたくさん生えているので、手始めにこの3つから教えよう。
「これがシロツメクサで、それがムラサキツメクサで、あれがカタバミミャ。シロツメクサとムラサキツメクサは食べられるけど、カタバミは食べられないミャ」
「う~ん、どれも同じに見えるにゃ~……」
この3つは一見同じに見えるけど、良く見ると全然違う。
シロツメクサの葉は丸くて、葉の真ん中には白い横線が1本入っている。
ムラサキツメクサの葉はちょっと尖った楕円形で、白い▽の模様が入っている。
カタバミの葉は♡型をしていて、白い線は入っていない。
一番見分けやすいのは、花かな。
シロツメクサとムラサキツメクサの開花時季は、5月~8月。
シロツメクサは、猫の爪みたいなちっちゃい花弁が集まってボールみたいにまんまるくなった白い花が咲く。
ムラサキツメクサは、シロツメクサと同じ形で色が違うだけ。
カタバミは3月~11月の間、5枚の花弁の黄色い花が咲く。
特徴さえ覚えれば、簡単に見分けられるようになるよ。
カタバミには、水溶性シュウ酸塩が含まれる。
同じ水溶性シュウ酸塩が含まれる有名な野菜は、ほうれんそう。
人間は食べられるけど、猫には毒。
人間も食べすぎるとおなかを壊したり、尿路結石症になったりしちゃうから要注意。
シロツメクサは猫も食べられる薬草で、傷薬や風邪薬になる。
ムラサキツメクサは、レッドクローバーハーブティーとして有名。
肌荒れ、痒み止めなどの抗炎症作用がある。
咳や喉の痛みなど、呼吸器系の感染症にも効果がある。
女性ホルモンと似た働きをするisoflavoneという物質が含まれるので、女性特有の病気に効果がある。
もちろん、花も食べられる。
さっそく、シロツメクサとムラサキツメクサの葉でフレッシュハーブティーを淹れてみた。
草原にいるような爽やかな香りで、とても美味しい。
集落の猫たちにも、ハーブティーを飲ませた。
呼吸器系の感染症である、猫ウイルス性鼻気管炎にも効く。
ハーブティーはカフェインが入っていないし、リラックス効果もあるから良く眠れるよ。
ハーブティーを毎日飲むと、健康も維持される。
美味しくて元気になれるハーブティーって、最高だよね。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
サバシロお兄さんはいくら教えても、ちっとも薬草を覚えられなかった。
人間でも、薬草と毒草を見分けるのはとても難しいからね。
素人判断で山菜採りをして食中毒になった事件は、ニュースで何度も見たことがある。
猫の記憶力は、人間よりも優れている。
しかし、興味のないことは覚える気がないしすぐ忘れてしまう。
サバシロお兄さんは、そもそも覚える気がない。
覚える気がないものは、仕方がないと諦めよう。
他にもお手伝いが必要なことはたくさんあるから、そっちで頑張ってくれればいい。
薬作りは、薬草を石で叩いて潰すだけだから誰でも出来る。
火を起こしてかまどを作ったり、水汲みをしたり、病気の猫たちに薬を配ったりするお手伝いもある。
誰だって、得意なことや苦手なことがあるのは当たり前。
サバシロお兄さんにだってきっと、何か得意なことがあるはずなんだ。
やってみないと分からないし、やってみたら楽しいと思うかもしれない。
まずはいろんなことを試してもらって、サバシロお兄さんの得意なことを見つけるところから始めよう。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
結論から言うと、サバシロお兄さんは何も出来なかった。
サバシロお兄さんは、とっても面倒くさがり屋さんだったんだ。
猫は基本的に、気分屋さんで面倒くさがり屋さん。
猫が面倒くさがり屋さんなのは、体力を温存する生存本能といわれている。
体力の限界まで働き続けてしまうぼくの方が、猫らしくないんだ。
猫が気分が乗らない時は、明らかに面倒くさそうな態度を取る。
しっぽで返事をしたり、耳だけこっちに向けたり、あくびをしたり、寝ころんだまま無視したりする。
面倒くさがっている猫は、放っておくに限る。
無理にかまおうとすると、ウザがられて嫌われちゃうぞ。
働かないサバシロお兄さんを見て、お父さんとお母さんは怒っている。
「サバシロくんは、本当に何もしないニャーッ!」
「サバシロくんは、ここに置いて行きましょうニャッ!」
ぼくもこれ以上、サバシロお兄さんを旅へ連れていくことは出来ないと思っている。
だって、サバシロお兄さんがいるとみんなギクシャクしてしまうから。
お父さんとお母さんはピリピリしているし、グレイさんにも気を遣わせてしまう。
そんな状況だから、ぼくも気を遣いすぎて気疲れしている。
全員が、ストレスを溜めている状況は良くない。
サバシロお兄さんがこの集落に馴染めそうだったら、申し訳ないけどここに置いて行こうと思う。
とはいえ、ぼくが勝手に決めて良い問題ではない。
しっかり話し合って、サバシロお兄さんがどうしたいか確認しないと。
「サバシロお兄さん、大切なお話しがありますミャ」
寝ころんでいるサバシロお兄さんに声を掛けると、耳がこちらを向いてしっぽの先がパタパタと動いた。
これは「はいはい、ちゃんと聞こえていますよ」という、猫なりの返事。
聞こえているなら、話を続けよう。
「サバシロお兄さんを、この集落に置いて行きますミャ」
「にゃんだってっ? このおれを置いて行くって、どういうことにゃっ?」
サバシロお兄さんは勢いよく起き上がり、ぼくに詰め寄った。
動揺しているサバシロお兄さんに、確認する。
「サバシロお兄さんは、この集落は好きですミャ?」
「そうだにゃ、ここの猫たちは優しくて居心地がいいにゃ」
「でしたら、このままここに棲めばいいですミャ。無理して、ぼくたちについて来る必要はないですミャ。ぼくたちと旅をするより、ずっと安全ですミャ」
「それもそうだにゃ。本当は、旅なんてしたくなかったにゃ。あの集落さえ出られれば、なんでも良かったにゃ。トマークトゥスのグレイも、お前も大嫌いにゃ。おれは、ここに棲むにゃ」
サバシロお兄さんは開き直ったように、本音をぶちまけた。
面倒くさいって態度に出ていたから、そんなことだろうと思っていた。
分かっていても、面と向かってハッキリ「大嫌い」と言われるととても悲しい。
「そうですかミャ……。短い間ですが、今までありがとうございましたミャ」
悲しみをこらえながらお別れを言うと、サバシロお兄さんはまた面倒くさそうにしっぽだけで返事をした。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
「大嫌い」と言われた日から、サバシロお兄さんとは話していない。
サバシロお兄さんにはもう、何も期待しない。
サバシロお兄さんは無視して、猫ウイルス性鼻気管炎に罹った猫たちの看病を続けた。
2週間くらい経つ頃には、猫たちはすっかり快復した。
元気になった猫たちに、薬草の見分け方とハーブティーの作り方を教えた。
やることを終えたぼくは、集落の長のフジにお別れの挨拶をする。
「ぼくとお父さんとお母さんは、そろそろ旅立ちますミャ。今までありがとうございましたミャ」
「いえいえ、こちらこそ大変お世話になりまして、ありがとうございましたニィ~」
「サバシロお兄さんはこの集落が気に入ったらしいので、残るそうですミャ」
「それは、とってもありがたいですニィ~。お医者さんがいて下されば、この集落も安心ですニィ~」
フジは嬉しそうに、ニコニコと笑った。
サバシロお兄さんは、お医者さんじゃない。
そのうちバレるだろうけど、ぼくは知らないからね。
「ところで、この集落の名前はなんていうんですミャ?」
「カタバミですニィ~」
春から秋まで、次々と黄色い花を咲かせ続けるカタバミ。
これから、カタバミを見るたびにサバシロお兄さんを思い出すだろう。
猫たちに見送られて、カタバミの集落を旅立つ。
サバシロお兄さんはぼくをじ~っと見つめながら、しっぽを力強く振って地面に叩き付けていた。
猫がしっぽを地面に叩き付けて時は、イライラしている。
大嫌いなぼくに、早く立ち去って欲しいんだ。
言われなくても、もう行くよ。
さようなら、サバシロお兄さん。
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