ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話

橋元 宏平

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第126話 蚊遣火

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 そうだ、を寄せ付けない白花虫除菊シロバナムシヨケギクがあったはずだ。
 あれで、蚊取かと線香せんこうを作ってみようかな。
 蚊を追い払う方法って、他にもあるの? 『走査そうさ

蚊遣火かやりび概要がいよう:ヨモギ、カヤ、スギ、マツの青葉あおばを火にべていぶした煙で蚊を追い払う』

 へぇ~、薬草を燃やした煙に蚊を追い払う効果があるのか。

『イヌハッカにふくまれるnepetalactoneネペタラクトンは、忌避剤きひざい(虫よけ)になる』

 ネペタラクトンは、猫がぐとゴロニャンになる有機化合物ゆうきかごうぶっしつ
 猫はネペタラクトンを体にこすり付けることで、虫から身を守っているらしい。
 イヌハッカやシロバナムシヨケギクなどで首輪を作ったら、虫除むしよけになるかもしれないね。

 さっそく蚊遣火をいて、虫除け首輪を作ってみよう。
 まずは、材料を集めなきゃ。
 ただ火を燃やすだけはつまらないから、肉やキノコも一緒に焼こう。
 クマザサもって来たし、包み焼きにしてもいいかな。

 やることがいっぱいで、忙しくなるぞ。
 狩りは、グレイさんにお願いしよう。

「グレイさん、狩りに行ってきて欲しいミャ」
『いいぞ。何が食べたい?』
「グレイさんが狩れるものなら、なんでも良いミャ」
『そうか。では、近くで見つけたものを狩ってこよう。行ってきます』
「いってらっしゃ~いミャ」

 グレイさんを見送ったあと、ぼくも蚊遣火と首輪の材料を探す。
 ちょうどシロバナヨケギクが咲いていたので、首輪用にんだ。
 このあたりにイヌハッカは生えていないけど、代わりにキャットタイムが生えているので摘んでいく。
 カヤの木って、どれ?

『対象:イチイ科カヤ属カヤ

薬効やっこう夜尿症やにょうしょう頻尿ひんにょう駆虫くちゅう

位置情報いちじょうほう:直進60m』

 今回はまきが欲しいから、細い小枝や木の皮をもらっていくね。
 他にもマツやスギの葉っぱ、木の根元に生えているキノコなども集めていく。
 よし、これで材料がそろったぞ。

 巣穴すあなに戻るとグレイさんが先に帰っていて、Phoberomysフォベロミスpattersoniパッテルソニ(体長約3m、体重約700kgの巨大ネズミ)がドーンと置いてあった。
 ぼくを見ると、「めて褒めて」とばかりに笑顔でしっぽを振っている。

『シロちゃん、おかえり! 大きなネズミを見つけたから、狩って来たぞ』
「グレイさんも、おかえりなさいミャ。いつも、ありがとうミャ」

 ぼくはグレイさんに駆け寄って、スリスリして褒めた。
 こんなクマみたいに大きなネズミもひとりで狩っちゃうなんて、グレイさんはスゴいなぁ。
 でも、これを解体かいたいするのは大変だぞ。

「みんな、新鮮なうちに食べるミャ」
「いただきますニャー!」
「フォベロミス・パッテルソニを食べるのは、久し振りニャ」
『生も美味しいが、シロちゃんの手作り料理が食べたいな』
「だったら、解体のお手伝いをして欲しいミャ。解体しないと、料理が出来ないミャ」
『そういうことなら、喜んでお手伝いしよう』 
「お父さんも、お手伝いするニャー」
「私もやるニャ」

 みんなで頑張って肉を引きちぎって、フォベロミス・パッテルソニを解体した。 
 巣穴の入り口でカヤの枝や樹皮じゅひ、ヨモギとマツとスギの青葉を重ねて火を付ける。
 マツは油脂あぶらが多いから、煙がたくさん出るし火のいきおいが強い。
 この煙が、虫除けに効くのかな?
 一気に燃えきてしまわないように、薪をしたりくずしたりして火加減ひかげんを調節する。

 続いて解体したフォベロミス・パッテルソニを、石のナイフで食べやすい大きさに切り分ける。
 クマザサの上に肉を置いて、セージやバジルの粉をふりかける。
 手でいたキノコを肉の上に乗せて、クマザサで何重にも包む。
 フォベロミス・パッテルソニは大きいから、クマザサの包みがたくさん出来た。
 あとは焚火たきびの中へ入れて、時々ひっくり返しながら弱火でじっくり焼くだけ。

 包み焼きを焼いている間に、虫除け首輪も作ろう。
 お父さんとお母さんとグレイさんの首の太さを、それぞれはかる。
 シロバナヨケギクとキャットタイムとニガヨモギで、首輪をんでいく。

 シロバナヨケギクの花は、白くて綺麗きれい
 キャットタイムの花は、ピンクで可憐かれん
 ニガヨモギの花は、黄色くて可愛い。
 緑の葉っぱとバランスも良く、綺麗な花輪が出来た。

「みんな、首輪が出来たからあげるミャ」
「ありがとうニャー」
「とっても綺麗で、良い匂いがするニャ」
『シロちゃんがくれるものなら、オレはなんでも嬉しいぞ』
「これは虫除けの首輪だから、ぼくが外すまでけていて欲しいミャ」
『分かった。なくさないように、ずっと着けておこう』

 首輪を着けてあげると、グレイさんは嬉しそうに笑った。
 これで、虫除け対策たいさくはバッチリだ。
 4匹分の首輪を作り終えたところで、焚火からクマザサの包み焼きを取り出した。
 さっき生肉を食べたばかりから、今はみんなおなかいっぱい。
 だから、これは明日以降に食べる保存用。
 ちゃんと中までしっかり火を通したし、クマザサとセージには防腐ぼうふ作用があるからすぐにはくさらないはず。

 あとは、蚊アレルギーだけど。
 蚊アレルギーは、どれくらいで治るの?

蚊刺咬性過敏症ぶんしかっせいかびんしょう治療期間ちりょうきかん:1~2週間』

 だったらしばらくは、アオジソとクマザサのハーブティーを飲み続けないといけないね。

 🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾

 翌日。
 保存用として作っておいたクマザサの包み焼きを、みんなで食べた。
 セージとバジルが食欲をそそるスパイシーな味と香りで、とっても美味しい。
 みんなも、大喜びで食べている。

「美味しいニャー」
「いつも美味しいものを食べさせてくれて、ありがとうニャ」
『やっぱりシロちゃんが作るものは、なんでも美味しいな。また作ってくれ』
「グレイさんが狩ってきてくれたフォベロミス・パッテルソニがとっても大きかったから、まだたくさんあるミャ」
『たくさんあるなら、おかわりをくれっ!』 

 グレイさんはしっぽをブンブン振って、おかわりを欲しがった。
 本当に、グレイさんは食いしん坊さんだなぁ。

 虫除け首輪のおかげか、蚊にまれなくなった。
 生の草花くさばなを使っているから、数日でれてちゃうんだけどね。
 ハーブは乾燥したら、ハーブティーにする。
 だけど、ニガヨモギとシロバナヨケギクとキャットタイムはハーブティーには向かない。 
 でも叩いて粉にすれば、駆虫薬くちゅうやくとして使えるからとっておく。

 4匹分の首輪を作るのは大変だけど、みんなの健康を考えたら安いものだ。
 何度も作っているうちに、作るのがだんだん早くなってきた気がする。
 新しい首輪を作っていると、お父さんとお母さんが笑顔でぼくの横に座った。

「シロちゃん、お父さんにも首輪の作り方を教えて欲しいニャー」
「私も、首輪を作ってみたいニャ。出来た首輪は、シロちゃんにあげるニャ」
「お父さん、お母さん、ありがとうミャ」

 ひとりで黙々もくもくと作るよりも、みんなで作った方が楽しいもんね。
 こうしてぼくは、お父さんとお母さんに首輪の作り方を教えることになった。
 グレイさんも混ざりたそうな顔をしていたけど、ぼくたちを静かに見守っていた。
 グレイさんは、細かい作業が苦手だからね。

 ぼくだって細かい作業は得意ではないけど、自分に出来ることを精一杯《せいいっぱい》頑張がんばっているつもり。
 苦手なことは、みんなでおぎなって支え合えたら良いね。
 ぼくは出来たばかりの首輪を、グレイさんに差し出す。

「はい、新しい首輪が出来たミャ」
『ありがとう。着けてくれるか?』
「グレイさん、とっても似合っているミャ」
『それはきっと、シロちゃんがオレの為に愛情を込めて作ってくれたからだろう』

 首輪を着けると、グレイさんは得意げに胸を張って笑った。
 するとお母さんが近付いてきて、ぼくの首に首輪を着けてくれた。

「シロちゃんも、似合っていてとっても可愛いニャ」
「お母さん、ありがとうミャ。じゃあ、ぼくもお母さんの首輪を作るミャ」

 そう言った時、お父さんが作っていた首輪も完成したらしい。

「お父さんも出来たニャー。これは、大好きなお母さんにあげるニャー」

 お父さんは自分が作った首輪を、お母さんに差し出した。

「お父さんが、私の分を作ってくれたのニャ? 嬉しいニャ、ありがとうニャ」
「どういたしましてニャー」

 ふたりは嬉しそうに、スリスリゴロゴロとじゃれ合っている。
 猫がじゃれ合う光景って、めちゃくちゃ可愛くていやされるよね。
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