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第8話 どうあがいても絶望
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もしも相続を断った場合、謎の犯罪組織「Great Old Ones」に寄贈することになる。
偉大なる古きものが、何を企んでいるかは、分からない。
だが、それだけの活動資金を得たら、何をしでかすか。
もはや、この国の命運は、俺に掛かっていると言っても過言ではない。
もしかすると、相続することによって、Great Old Onesに命を狙われるかもしれない。
「お前が辞退さえすれば、全て我らのものだったのにっ!」とか何とか、逆恨みされるかもしれない。
相続しても地獄。
しなくても地獄。
どうあがいても、絶望。
なんだかだんだん、頭が痛くなってきた。
「大丈夫ですか? お顔の色が優れませんが……」
心配そうな顔の桜庭に顔を覗き込まれて、俺は考えを中断させられた。
だから、顔が近いって。
なんで、そんなに顔を近付ける必要があんの?
ミッチェルに、そうするように言われてたの?
全裸だし。
もう疲れた。
ぐったり仰向けに横たわり、目を閉じる。
「……急に色々ありすぎて、ちょっと頭痛が……」
「頭痛っ? すぐにも医者を――」
慌てふためく桜庭の腕を、俺はすかさず掴んで止める。
「大丈夫! 医者呼ぶほど、大げさなもんじゃないですからっ!」
「ですが……っ!」
「寝てりゃ治りますから、そっとしといて下さいっ」
俺が必死に訴えると、桜庭は渋々と答える。
「分かりました。では、少しでも何かありましたら、すぐおっしゃって下さい」
「はい、そうします」
そう答えると、桜庭は安心したようににっこりと綺麗に笑った。
ややあって、加藤先生が事務的に話し掛けてくる。
「川崎さんの体調がよろしくないようですので、今日のところはこれで失礼致します。それでは」
一礼すると、加藤先生は扉へ向かう。
橘が優雅に移動して、ベッドルームの扉を開ける。
「では、私と桔梗君とで、加藤氏をお見送り致しましょう。桔梗君」
「はい、橘さん」
声を掛けられた桔梗が、橘の後に続いた。
「桜庭君達は、ご主人様のお側に。なるべく、すぐ戻る」
「はい、かしこまりました」
ベッドルームに残った3人の執事達に、橘は簡単に告げて部屋を出て行った。
加藤先生が立ち去ると、張り詰めていた空気が緩んだ気がした。
その後すぐ、安堵したのと柔らかなベッドの誘惑に負けて、眠ってしまった。
その日の夜。
ムキムキマッチョな全裸の男達に、「おしくらまんじゅう」される悪夢を見た。
しかも何故か、四方八方から複数の狙撃手に命を狙われている。
あまりにヒドイ悪夢に、もがいて悲鳴を上げる。
「ぎゃぁあああっ! 熱いっ! キモいっ! むさ苦しいっ! ってか、何この状況っ? 色んな意味で怖いっ!」
偉大なる古きものが、何を企んでいるかは、分からない。
だが、それだけの活動資金を得たら、何をしでかすか。
もはや、この国の命運は、俺に掛かっていると言っても過言ではない。
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相続しても地獄。
しなくても地獄。
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だから、顔が近いって。
なんで、そんなに顔を近付ける必要があんの?
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もう疲れた。
ぐったり仰向けに横たわり、目を閉じる。
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「頭痛っ? すぐにも医者を――」
慌てふためく桜庭の腕を、俺はすかさず掴んで止める。
「大丈夫! 医者呼ぶほど、大げさなもんじゃないですからっ!」
「ですが……っ!」
「寝てりゃ治りますから、そっとしといて下さいっ」
俺が必死に訴えると、桜庭は渋々と答える。
「分かりました。では、少しでも何かありましたら、すぐおっしゃって下さい」
「はい、そうします」
そう答えると、桜庭は安心したようににっこりと綺麗に笑った。
ややあって、加藤先生が事務的に話し掛けてくる。
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一礼すると、加藤先生は扉へ向かう。
橘が優雅に移動して、ベッドルームの扉を開ける。
「では、私と桔梗君とで、加藤氏をお見送り致しましょう。桔梗君」
「はい、橘さん」
声を掛けられた桔梗が、橘の後に続いた。
「桜庭君達は、ご主人様のお側に。なるべく、すぐ戻る」
「はい、かしこまりました」
ベッドルームに残った3人の執事達に、橘は簡単に告げて部屋を出て行った。
加藤先生が立ち去ると、張り詰めていた空気が緩んだ気がした。
その後すぐ、安堵したのと柔らかなベッドの誘惑に負けて、眠ってしまった。
その日の夜。
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しかも何故か、四方八方から複数の狙撃手に命を狙われている。
あまりにヒドイ悪夢に、もがいて悲鳴を上げる。
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