ある日突然、知らないおじいちゃんから莫大な遺産を相続させられて、全裸の執事と地獄がもれなくセットでついてきた

橋元 宏平

文字の大きさ
14 / 68

第14話 イングリッシュブレックファースト②

しおりを挟む
 コーンフレークを食べ始めると、また田中が問い掛けてくる。

「ホットディッシュは、いかがなさいますか? ボイルド、フライド、ポーチド、オムレット、スクランブルのどれに致しましょう?」
「え? は? なんて?」

 ズラズラ横文字を並べられて、半分も理解出来なかった。
 きっと、語尾ごびに全部「eggエッグ(玉子)」が付くんだと思う。
 たぶん、玉子の調理方法を聞いてるんだ。

 玉子料理なら、俺はゆでたまごと玉子焼きが好き。
 玉子焼きは、甘いのも、だし巻き玉子も、どっちも好き。
 ぶっちゃけ、玉子料理で嫌いなものはひとつもない。
 だって、どれも美味しいじゃん。

 ちなみに「たまご」は、「卵」と「玉子」の二パターンがある。
「卵」は、「たまご」全般を指す。
「玉子」は、鶏卵けいらんを調理したものを指すことが多い。

 それはさておき、少し悩んで、「ボイルド」を頼んだ。
boiledボイルド」は「ゆでる」って意味だったはずだから、「ゆでたまご」が出てくるだろう。

「ミートは、いかがしましょう? ハム、ベーコン、ソーセージからお選び下さい」

 ハム、ベーコン、ソーセージか、どれも捨てがたい。

「その中なら、ソーセージかな」
「かしこまりました。少々お待ち下さいませ」

 綺麗にお辞儀をすると、田中が食堂を出て行った。

 いや、ちょっと待って。
 お前、全裸で調理すんの?
 全裸で火ぃ使うって、危なくね?
 っつぅか、全裸って、衛生的えいせいてきにどうなの?

「イングリッシュなんとかって、なんだか小難しそうな名前だったけど、出てくる物は意外と普通なんだな」

 壁に沿って立っている椿つばきに、素直な感想を言うと、「でしょ?」とウィンクされた。
 全裸の男に見られながら食事をするって、スゲェイヤなんですけど。
 どうにかならないんですかね、全裸。

 あ、しまった。
 なんで俺、ゆで卵とソーセージなんて頼んじまったんだろう。
 ふとした拍子に椿の股間が目に入って、大後悔した。
 イヤでも目に入っちゃうんだよなぁ、それ。

 しばらくすると、料理を乗せたカートを押しながら、田中が戻ってくる。

「大変お待たせ致しました、『ボイルドエッグとソーセージのホットディッシュ』でございます」

 綺麗に盛り付けられたゆで卵と、焼き目が付いた大きなソーセージ。
 トマトとレタスとアスパラが、白い皿の上で綺麗に乗っていた。
 調味料は、塩、胡椒こしょう、トマトケチャップ、ソース、しょうゆ、マヨネーズ、ドレッシング。

「トーストでございます」

 こんがりきつね色に焼けたトーストが一枚乗った皿と、バターとジャムの小鉢が並ぶ。
 たぶん、めっちゃ高級な玉子だと思うから、味付けしたらもったいない気がする。
 食べてみたら思った通り、黄身きみ濃厚のうこうで、いかにも「高級卵です」って味がした。

 ソーセージは皮が厚くて、あらびき肉の食べ応えが、いかにも肉って感じだ。
 野菜もりたてみたいに新鮮で、甘くてジューシーで歯ごたえも良い。

 トーストも高級食パンらしくて、甘くてサクサクで香ばしい。
 いつもならバターとかジャムとか、ドバドバつけちゃう俺だけど。
 何もつけなくても、充分旨じゅうぶんうまい。
 ってか、つけたら、もったいない気がする。
 つい庶民しょみんの感覚で、「高級なものは、そのまま食べないと、もったいない」って、思っちゃうんだよな。

 最後に出たデザートも、高級果実専門店でしか出ないようなフルーツ盛り合わせだった。
 こんな超高級で超贅沢ちょうぜいたくな朝食を食べたのは、生まれて初めてだ。
 これ、お店で食べたら、いくら取られるんだろうとか考えてしまう。
 大喜びでむさぼる俺を見て、田中と椿が微笑ましそうに笑っている。

 全裸で。

 うん、全裸じゃなかったら、最高だったんだけどな……食事中は特に。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

泣き虫だったはずの幼なじみが再会したら僕を守るために完璧超人になっていた話。

ネギマ
BL
気弱で泣き虫な高校生、日比野千明は、昔からいじめられっ子体質だった。 高校生になればマシになるかと期待したが状況は変わらず、クラスメイトから雑用を押し付けられる毎日を送っていた。 そんなある日、いつものように雑用を押し付けられそうになっている千明を助けたのは、学校中が恐れる“完璧超人”の男子生徒、山吹史郎だった。 文武両道、眉目秀麗、近寄りがたい雰囲気を纏う一匹狼の生徒だったが、実は二人は、幼い頃に離れ離れになった幼なじみだった――。

処理中です...