ある日突然、知らないおじいちゃんから莫大な遺産を相続させられて、全裸の執事と地獄がもれなくセットでついてきた

橋元 宏平

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第31話 チンポジは悠久の戦い

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 上か下か右か左か……。
 チンチンポジションチンポジとはチンチンが股間そこにある限り、安息あんそくの地を探し続ける……。
 男にとってチンポジは、悠久ゆうきゅうの戦いである。

「いやいや、自分で着替えられるからっ! それに、桔梗ききょう! お前、なんでパンツまで脱がしたよっ?」

 しゃがみ込んで、俺の脱ぎたてパンツを握り締めている桔梗に怒声どせいを張った。
 桔梗は下からのアングルで、おずおずと俺を見上げる。
 視界の先に自分の股間が見えて、ちょっと目をらした。

「え? だって、お召し替えになられるんですよね?」
「いやいや! 着替えるにしても、普通パンツは穿いとくよねっ?」

 俺が顔を引きつらせつつ苦笑すると、桜庭さくらばがすり寄ってくる。

「でしたら、新しい下着を着ければ良いではありませんか」
「桜庭! やめろ、くっ付くんじゃねぇっ!」

 背筋がぞぞぞっと寒くなり、一気に全身に鳥肌が立った。 
 執事たちは何故かいちいち距離が近いし、ベタベタ触ってくる。
 執事って、そういうもんなの?
 他に執事という人に会ったことがないから、比べようがない。

「こういうものです」って言われたら、それまでなんだけどさ。
 どうも、この近すぎる距離感にれないんだよなぁ。

「いつもたくさんお召し上がりになられるのに、よく体型を維持続いじしつづけていらっしゃいますね」
「俺、力仕事やってっし、あちこち動き回ってるからな。飲み食いしても、代謝たいしゃされんのよ」

 これは、ちょっとした自慢だ。
 大喰おおぐらい(いっぱい食べる)なのに、全然太らないんだよね。

 出来れば、筋肉も付きやすい体質だったら良かったのに。
 なんでか、上半身と下半身で、筋肉の付き方がアンバランスでさ。
 腕とか腹とかには筋肉が付いてんだけど、下半身はヒョロヒョロ。
 きたかたが悪いのかなぁ。

「ご主人様は背も高くていらっしゃるし、うらやましい限りです」

 桔梗が、俺の足からパンツを抜き取ったパンツを、握り締めながらニコニコ笑った。
 人の脱ぎたてパンツを握り締めて微笑む、美少女のように可愛い美少年って、どうよ?
 一歩間違えば変態だぞ、今のお前。

 いや、どうあがいても変態。
 いくら美少年でも許されんよ、それは。
 コイツも大概たいがい、残念だよなぁ。

「ご主人様の下着は、ぼくが全て丁寧ていねいにアイロンを掛けておきました。どうぞ、お穿き下さい」 
「え? パンツに、アイロン掛けたの?」
「はいっ」

 俺が聞き返すと、桔梗は笑顔で大きくうなづいた。
 いや、パンツにアイロンは掛けねぇだろ、普通。
 だって、ズボン穿いたら、見えなくなっちゃうじゃん。
 ぶっちゃけ、どんなパンツ穿いてたって、関係ないと思うんだけど。
 ややドン引きしつつ、桔梗の手からパンツを抜き取る。

「あ、ありがとな。でも、パンツくらいは自分で穿けるし、ほら、その、チンポジも……な?」 
「でしたら、ぼく、ご主人様のチンポジも覚えますっ!」

 真剣に訴えてこられても、困るんだけど、チンポジ。
 覚えられてもイヤだよ、チンポジ。

 女性には永遠に理解してもらえないだろうけど、チンポジは男にとって、生きるか死ぬかぐらいの大事な問題なんだ。
 チンチンは、人によって長さや形や大きさがバラバラだから、収まりの良い位置はみんなことなる。
 しかし、チンポジは、時と状況によってズレてしまう。
 チンポジがズレると、モノスゴく気持ちが悪い。

 ズレてしまったら、なるべく周囲に気付かれないように、こっそりと位置を微調整びちょうせつする。
 男はつねに、収まりの良い安定の場所を探し続けているのだっ!

「ご主人様、今、チンポジがズレました」って、人様ひとさま指摘してきされて直される俺の気持ちも考えろよっ?

「アンタたちー、起きてるーっ? って、ワァォッ❤」

 そこへ勢いよく扉を開けた椿つばきが現れて、全裸の俺を見て何故か歓声かんせいを上げた。
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