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第一章 日常ラブコメ編
第9話 バレた
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親にエロ本がバレた瞬間ってあるだろう? 机の奥とか、本棚の隅に隠していたのに。それが何故か、親(特に母親)の手元に置かれている。
彼らは俺達の部屋を掃除して、あるいは最初から「それ」を探す目的で、そのエロ本を探し出してしまうのだ。
何の前触れもなく……それこそ、海賊が秘宝を見つけ出すように。俺の秘宝は、もう言わなくても良いだろう? 油断があったのは認めるが、ほんの僅かなヒントの所為で、自分の母親に見つけられてしまった。
気持ちの悪い汗が流れる。
俺は「うううっ」と唸りながらも、真面目な顔で「これ」の言い訳を考えた。
「母ちゃん、あの」
「うん?」
の声がマジで怖い。鋭い剣が胸に突き刺さるが如く! 好奇心が怒りに勝った声は、どんな怒声よりも鋭く、そして、尖っていた。
母ちゃんは、今の状況を楽しんでいる。女と寝ていた息子が、どんな言い訳をするのか。それを心の底から楽しんでいた。
俺はその態度に苛立ったが、下手な嘘を付いても仕方ない。ここは本当の事を言って、「それ」を信じて貰うほかなかった。
隣の少女を起さぬよう、ベッドの上から静かに起き上がる。
俺は部屋の外に母ちゃんを連れだし、その耳元に「今まで起った事」を話した。
「実は」
母ちゃんは楽しげな顔で、その話に「うんうん」とうなずいた。
「買ってきたオモチャが、人間になった?」
「ああ」と、うなずく俺。「信じられないかも知れないけど」
俺は部屋の中に戻り、いまだ夢の中にいるラミアを指差した。
「人間が作りだす流行の力? ってヤツが集まって」
「それが擬人化したのね?」
「ああ」
俺はベッドの前に行き、彼女の身体を揺らした。
「ラミア、起きろ。朝だ」
「う、ううう」
彼女は俺の声に応えて、その瞼をゆっくりと開けた。
「時任、君?」
と言った瞬間、彼女の顔が変わった。たぶん、母ちゃんの姿を見つけて。
彼女は床の毛布を掴むと、(隠れるように)その毛布を被って、母ちゃんの目から逃げようとした。
だが、時すでにおそし。母ちゃんにその毛布を剥ぎ取られてしまった。
見つめ合う二人の女。
二人は互いの顔をしばらく見合うと、一方はその視線に脅えるように、もう一方は嬉しそうに「ニコッ」と笑った。
母ちゃんは、彼女に頭を下げた。
「初めまして、智の母です」
ラミアも、その挨拶に恐る恐る応えた。
「ラミアです。初めまして、お母さん」
母ちゃんの目が輝いた。母ちゃんは満面の笑みで、彼女の身体に抱きついた。
「可愛い! お人形さんみたい!」
「ふぇ?」と、驚いたのは俺。
俺は、母ちゃんの反応にポカンとした。
「あ、あの? 母ちゃん」
「ん?」と応えたものの、母ちゃんの視線は彼女に向けられたままだった。
母ちゃんは彼女の身体を放し、穏やかな顔で彼女に微笑んだ。
「智から、話は聞いたわ」
ラミアは、俺の顔をチラッと見た。
「お母さん」
「ん?」
「私は、人間です。彼のベッドで寝ていたのは」
「大丈夫よ」
「え?」
「あたし、『そう言う話』は大好きだから。無理に隠さなくても良い」
ラミアは母ちゃんの言葉に戸惑ったが、母ちゃんに「元の姿に戻ってみて?」と言われると、不安な顔で俺の顔を見つめてからすぐ、「分かりました」とうなずいた。
「見ても驚かないで下さい」
彼女は元の姿、キューブの形に戻った。
母ちゃんは、その現象に手を叩いて喜んだ。
「凄い! 凄い! 智、これは本当に凄いよ!」
「あ、ああ」と、応えるしかない俺。「本当に凄いな」
俺は母ちゃんの無邪気さに呆れつつ、これからの事に不安を抱きはじめた。
これから一体、どうなるのだろう?
彼女の事も母ちゃんにバレてしまったし、今までのように隠れて付き合うわけにはいかない。うーん。
俺は頭を悩ませたが、母ちゃんの方は至って冷静だった。
「そっか。ラミアちゃんって言うんだね?」
「はい」
「それで、擬人化した物の総称がモノフルと?」
「はい。擬人化に必要なのは、それと上手く関われる事。つまりは、タイミングです。流行の力が『それ』に注がれて。その意味では、彼は選ばれた人間です」
「へぇ」
母ちゃんは、俺の背中を叩いた。
「あんた、凄いじゃない! こんなに可愛い事を引き当てるなんて」
「あ、ああ、まあ。本当に偶然だけど」
俺は、自分の幸運に(ほんのちょっぴり)酔い痴れた。
母ちゃんは、彼女の前から離れた。
「さて、もう一人分の朝ごはんを作らなくちゃね」
「え?」
ラミアは、母ちゃんを呼び止めた。
「待って下さい」
「ん?」
「私の分は、大丈夫です」
母ちゃんは、その言葉に微笑んだ。
「ダメよ、ちゃんと食べなきゃ。食事は、心の栄養剤だからね」
「でも!」と拒んだラミアだったが、最後は「ありがとうございます」とうなずいた。
彼らは俺達の部屋を掃除して、あるいは最初から「それ」を探す目的で、そのエロ本を探し出してしまうのだ。
何の前触れもなく……それこそ、海賊が秘宝を見つけ出すように。俺の秘宝は、もう言わなくても良いだろう? 油断があったのは認めるが、ほんの僅かなヒントの所為で、自分の母親に見つけられてしまった。
気持ちの悪い汗が流れる。
俺は「うううっ」と唸りながらも、真面目な顔で「これ」の言い訳を考えた。
「母ちゃん、あの」
「うん?」
の声がマジで怖い。鋭い剣が胸に突き刺さるが如く! 好奇心が怒りに勝った声は、どんな怒声よりも鋭く、そして、尖っていた。
母ちゃんは、今の状況を楽しんでいる。女と寝ていた息子が、どんな言い訳をするのか。それを心の底から楽しんでいた。
俺はその態度に苛立ったが、下手な嘘を付いても仕方ない。ここは本当の事を言って、「それ」を信じて貰うほかなかった。
隣の少女を起さぬよう、ベッドの上から静かに起き上がる。
俺は部屋の外に母ちゃんを連れだし、その耳元に「今まで起った事」を話した。
「実は」
母ちゃんは楽しげな顔で、その話に「うんうん」とうなずいた。
「買ってきたオモチャが、人間になった?」
「ああ」と、うなずく俺。「信じられないかも知れないけど」
俺は部屋の中に戻り、いまだ夢の中にいるラミアを指差した。
「人間が作りだす流行の力? ってヤツが集まって」
「それが擬人化したのね?」
「ああ」
俺はベッドの前に行き、彼女の身体を揺らした。
「ラミア、起きろ。朝だ」
「う、ううう」
彼女は俺の声に応えて、その瞼をゆっくりと開けた。
「時任、君?」
と言った瞬間、彼女の顔が変わった。たぶん、母ちゃんの姿を見つけて。
彼女は床の毛布を掴むと、(隠れるように)その毛布を被って、母ちゃんの目から逃げようとした。
だが、時すでにおそし。母ちゃんにその毛布を剥ぎ取られてしまった。
見つめ合う二人の女。
二人は互いの顔をしばらく見合うと、一方はその視線に脅えるように、もう一方は嬉しそうに「ニコッ」と笑った。
母ちゃんは、彼女に頭を下げた。
「初めまして、智の母です」
ラミアも、その挨拶に恐る恐る応えた。
「ラミアです。初めまして、お母さん」
母ちゃんの目が輝いた。母ちゃんは満面の笑みで、彼女の身体に抱きついた。
「可愛い! お人形さんみたい!」
「ふぇ?」と、驚いたのは俺。
俺は、母ちゃんの反応にポカンとした。
「あ、あの? 母ちゃん」
「ん?」と応えたものの、母ちゃんの視線は彼女に向けられたままだった。
母ちゃんは彼女の身体を放し、穏やかな顔で彼女に微笑んだ。
「智から、話は聞いたわ」
ラミアは、俺の顔をチラッと見た。
「お母さん」
「ん?」
「私は、人間です。彼のベッドで寝ていたのは」
「大丈夫よ」
「え?」
「あたし、『そう言う話』は大好きだから。無理に隠さなくても良い」
ラミアは母ちゃんの言葉に戸惑ったが、母ちゃんに「元の姿に戻ってみて?」と言われると、不安な顔で俺の顔を見つめてからすぐ、「分かりました」とうなずいた。
「見ても驚かないで下さい」
彼女は元の姿、キューブの形に戻った。
母ちゃんは、その現象に手を叩いて喜んだ。
「凄い! 凄い! 智、これは本当に凄いよ!」
「あ、ああ」と、応えるしかない俺。「本当に凄いな」
俺は母ちゃんの無邪気さに呆れつつ、これからの事に不安を抱きはじめた。
これから一体、どうなるのだろう?
彼女の事も母ちゃんにバレてしまったし、今までのように隠れて付き合うわけにはいかない。うーん。
俺は頭を悩ませたが、母ちゃんの方は至って冷静だった。
「そっか。ラミアちゃんって言うんだね?」
「はい」
「それで、擬人化した物の総称がモノフルと?」
「はい。擬人化に必要なのは、それと上手く関われる事。つまりは、タイミングです。流行の力が『それ』に注がれて。その意味では、彼は選ばれた人間です」
「へぇ」
母ちゃんは、俺の背中を叩いた。
「あんた、凄いじゃない! こんなに可愛い事を引き当てるなんて」
「あ、ああ、まあ。本当に偶然だけど」
俺は、自分の幸運に(ほんのちょっぴり)酔い痴れた。
母ちゃんは、彼女の前から離れた。
「さて、もう一人分の朝ごはんを作らなくちゃね」
「え?」
ラミアは、母ちゃんを呼び止めた。
「待って下さい」
「ん?」
「私の分は、大丈夫です」
母ちゃんは、その言葉に微笑んだ。
「ダメよ、ちゃんと食べなきゃ。食事は、心の栄養剤だからね」
「でも!」と拒んだラミアだったが、最後は「ありがとうございます」とうなずいた。
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