流行りのオモチャを買わされたら、そのオモチャが擬人化しました!

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第一章 日常ラブコメ編

第32話 「それ以上は、『ストップ』でお願いします」

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 草食獣の群れにいきなり肉食獣が入ってきたら。大抵の草食獣は、それに警戒するだろう。間違っても、その肉食獣を追っ払ってやる(バッファローとかは追い出すかもしれないが)とか、それに立ち向かおうとはしない筈だ。自分の家族が襲われでもしない限り。彼らは基本、仲間を捨てて、自分を助けるタイプ……なんだろうけど、うーん。

 今の状況は、それとは正に正反対だった。肉食獣の群れに草食獣が混ざり込んでいる状態。草食獣は四方八方、何処にも逃げ場がなく、あらゆる方向から自分の身体を噛まれ、引き千切られ、そして、「ごくん」と飲み込まれる。
 残るのは、「そこに草食獣がいた」と言う気配と、肉食獣が残した僅かながらの血液だけだ。それ以外は、何も残らない。ましてや、俺が「あ、うっ」と怯んだ声も。
 
 俺は憂鬱な顔で女子達の声を聞き、そして、男子達の視線を受けつづけた。

「はぁ」と、溜め息を一つ。

 俺は、その溜め息に「ううっ」と項垂れた。

 ラミアは、その態度に驚いた。

「どうしたの?」

「あ、いや!」と、慌てて誤魔化す。「何でもない」

「そう」

 ラミアは机の上(黒内の机だ)から浮かんで、俺の頬にゆっくりと触れた。

「私は、あなたと話せて楽しい」

「そ、そうか。それは、良かったな。俺も、ラミアと話せて楽しいよ」

 女子達は、その言葉に黄色い声を上げた。

「おう! おう! お熱いね、お二人さん」

「まるで新婚みたいだよ」

 女子達は「新婚」のワードに「キャッキャ」と言いつつ、ラミアに「彼の何処が好きなの?」とか、「アレはもう体験した」とか訊いた。

 俺はそれらの質問に赤くなったが、ラミアは平然として「それ」に答えた。

「好きな所は、全部。夜の営みは、彼が『それ』を許してくれない」

 男子達の敵意が一瞬、消えた気がした。
 
 女子達は今の答えが面白くなかったらしく、俺の事を「根性無し」と罵りつつも、つまらなそうな顔で「それじゃ」と言い、彼女に「実際、『それ』になったら、どんな風にする?」と聞きはじめた。
 
 俺は本気で、その答えを止めようとした。だが、時すでにおそし。俺が彼女に手を伸ばした所で、彼女が『それ』を悠々と語りはじめてしまった。

「場所はもちろん、ホテル。学生でも安心な、安いホテルを選ぶ。時任君の負担も考えて。高いホテルには、時任君が大人になってから行く」

「ほうほう。ラミアちゃんは、良い彼女になりそうだね。それで? ホテルに入ったらどうするの?」

「私から先にシャワーを浴びる。そうすれば、時任君に私の裸を見せられるから。私は彼の前でバスローブを脱ぎ、その裸を見せた後で、彼にシャワーを浴びてもらい」

「そ、それから?」

「行為に及ぶ。最初は優しく、指と舌だけを使って。彼の快楽を満たし、それから私自身の快楽も満たす。彼の指や舌をそこに誘いながら。彼は夢中で、私の蜜を啜る。子どもが甘いお菓子を舐めるように。彼は私の身体を弄び、その情欲を、内側に溜まった欲望を、弾丸のように発射する。私は『それ』を受け止め」

「るな! 色んな問題が起る!」

 の言葉は、見事なまでに無視された。

「更なる快楽を得る。気持ちの方は、正しく昇天。頭の中が真っ白よりも真っ白になる。自分が今、何処を彷徨っているのかも分からないくらいに。分かっているのは、『彼が私を愛し、私も彼を愛している』と言う事。私は今の快楽が忘れられず、更に『欲しい』と欲求する。『あなたの分身が欲しい』と、心の底から愛を求める。彼はその愛に答え、賢くなった分身を愚かにし、また私の中を満たしに掛かる。そして」

「あ、あ、あああ!」

 俺は、彼女の話を何とか遮った。

 男子達はみんな、黙っている。アレだけ騒いでいた女子達も。みんな、親にエロ本がバレた中学生の如く、ある者は自分の股間を押さえ、またある者は(照れ臭そうに)互いの顔を見合っている。
 その光景を見ていた俺も、本気で「それ」を想像してしまい、彼女が「賢くなった分身」と語った時には、元気になりつつあった我が分身を必死の思いで押さえ込んでいた。

 俺は、彼女に頭を下げた。

「ラミアさん」

「なに?」

「それ以上は、『ストップ』でお願いします。話の対象年齢が上がってしまうので」

 何が対象年齢なのかは分からないが、とにかく倫理的な意味で、彼女の暴走にストップを掛けた。

 彼女は「それ」に不服そうだったが、周りの女子達が「そ、そうだね」、「それはちょっと、刺激が強いかも」と言い出したので、仕方なく「分かった」とうなずいた。

「これは、私だけで妄想する」

「う、うん。そうしてくれると」

「あたしらも、助かるかな?」

 女子達は「アハハ」と笑い、岸谷も顔を真っ赤にして、それぞれの興奮を何とか抑え込んだ。
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