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第一章 日常ラブコメ編
第33話 私でない私は、私の形をしていないから
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対象年齢が上がらずに済んだのは、良いものの。そう言う話はやっぱり、「NG」なようだった。男子連中は間違いなく、今夜のオカズにする筈だし。それを聞いていた女子達も(詳しくは分からないが)、何らかの行為に、自分を慰める行為に及ぶかも知れない。本当、一瞬の油断が命取りになる。
ラミアは行動や態度がストレートなのは良いが、それがストレートすぎて、今のような状況を生み出してしまうのが難点……いや、それもある意味では長所かも知れない。こんなに可愛い子から、こんなにエロい表現を聞けたら。
聴く者にとっては、文字通りの天国かも知れなかった。現に俺も、彼女の話には(話の主人公なだけあって)かなり興奮してしまったし、うーん。まあ、今回は良いだろう。たぶん、これから先もあるだろうし。
俺は苦笑交じりで、彼女の表面を撫でた。
「そう言う話は、二人だけの時にしよう?」
「分かった。でも」
「な、なんだよ?」
「いつかは、一線を越えて欲しい」
また、微妙な空気になった。岸谷なんか、今にも泣き出しそうになっているし。周りの女子達も真っ赤、男子からは(や、止めて)殺気が伝わってくる。「お前だけ大人になるなんて許さないぞ?」と。嫉妬のナイフを持って、俺の事を突き刺そうとしていた。
俺は、そのナイフに震え上がった。
「わ、分かったから。それは……その、然るべき時に」
「ええ」と納得したのは、彼女だけだった。「然るべき時に、いつか」
男子達は、その言葉に発狂した。
「ああ、畜生!」
「なんで、アイツばっか!」
いつもは「モテ男」を自称している男子も、この時ばかりは仔犬のように「わんわん」と泣いていた。お前は、モテているなんだから別に良いだろう? と、そんな事は、言える雰囲気ではなく。
教室を騒がせた彼女の発言集は、その余波を残して、彼らの心に強く残りつづけるのであった。それを見ていた俺が、「勘弁してくれ」と嘆くくらいに。
俺は憂鬱な顔で、自分の運命を呪った。
そんな事があってから数時間後。教室の空気がやっと落ち着いた所で、弁当を食い終えた俺は、自分の席から立ち上がって、黒内からキューブを受け取り(ラミア曰く、「昼休みは俺と過ごしたい」との事)、教室の中から出て、学校の中をぶらぶらと歩きはじめた。
ラミアは、(俺の掌)から学校の様子を眺めた。
「何度も見ているけど、やっぱり良い学校」
「そうか? 俺としては、普通の高校にしか見えないけど」
「それが当たり前になっているから、そう思う。私には、新鮮」
「ふうん。ま、そんなもんか」
俺は、廊下の角を曲がった。
「どっか行きたい所はあるか?」
「別に」が彼女の答えだった。「あなたの意思に任せる」
「了解」
俺は彼女の意思を汲んで、学校の屋上に行った。
学校の屋上には基本、人がいない。不良達が時々溜まり場にしているが、神崎の事があって以降、それも最近では少なくなっていた。
お陰で、一種のラッキースポットになっている。他の生徒に邪魔されない。運が良ければ、自分だけの空間を味わう事もできる。
俺は、その空間を味わおうとした。今日のアレに疲れて。だから屋上の中に入った時は、その静けさに思わずホッとしてしまった。
俺は屋上の地面に座り、その隣に彼女を置いた。
「誰もいないから。ラミア」
「ん?」
「人間になっても良いぞ?」
「分かった」と言ってからすぐ、彼女の姿が変わった。「すぅ」
彼女は俺の隣に座り、その肩に頭を乗せた。
俺は、その感触にドキッとした。彼女の髪から匂う甘い香りも、そして、その髪から伝わるサラサラの感触も。俺の胸を高鳴らせるには、十分すぎる程の威力があった。
俺は不安な手つきで、彼女の頭を撫でた。
ラミアは、それに喜んだ。
「ん、んん、気持ちいい」
の言葉が嬉しかった。
「あなたの撫で方、とても優しい」
俺は、彼女の頭をしばらく撫でつづけた。
「お前の順番になったら、ここに来よう」
「ええ」
俺達は揃って、頭上の空を眺めた。
「今日の帰りも寄るんでしょう?」
「ああ、全種類集めなきゃならないからな。我が部長様の命令で」
俺は、隣の彼女に向き直った。
「ダブった物も擬人化するのかな?」
「基本、モノフルは一種類しか擬人化しない。だから、同じ物を当てても」
「なるほど。『ラミアが二人になる』って事はねぇのか」
彼女の顔が一瞬、曇った。
「ええ。でも、別の人が、あなたと同じ資格を持った人が当てた場合……そのキューブが『私ではない私』として擬人化する可能性はある」
「なっ! それじゃ、まるで」
「ゲームとは、違う。私ではない私は、私の形をしていないから」
俺は一瞬、頭が混乱したが、その意味をすぐに理解した。
「つまりは『まったくの別人として、銀色のキューブが擬人化するかも知れない』って事か?」
「そう。しかもそれは、男性かも知れない」
俺はその事実に驚きながらも、改めて今回の現象を不思議に思った。
ラミアは行動や態度がストレートなのは良いが、それがストレートすぎて、今のような状況を生み出してしまうのが難点……いや、それもある意味では長所かも知れない。こんなに可愛い子から、こんなにエロい表現を聞けたら。
聴く者にとっては、文字通りの天国かも知れなかった。現に俺も、彼女の話には(話の主人公なだけあって)かなり興奮してしまったし、うーん。まあ、今回は良いだろう。たぶん、これから先もあるだろうし。
俺は苦笑交じりで、彼女の表面を撫でた。
「そう言う話は、二人だけの時にしよう?」
「分かった。でも」
「な、なんだよ?」
「いつかは、一線を越えて欲しい」
また、微妙な空気になった。岸谷なんか、今にも泣き出しそうになっているし。周りの女子達も真っ赤、男子からは(や、止めて)殺気が伝わってくる。「お前だけ大人になるなんて許さないぞ?」と。嫉妬のナイフを持って、俺の事を突き刺そうとしていた。
俺は、そのナイフに震え上がった。
「わ、分かったから。それは……その、然るべき時に」
「ええ」と納得したのは、彼女だけだった。「然るべき時に、いつか」
男子達は、その言葉に発狂した。
「ああ、畜生!」
「なんで、アイツばっか!」
いつもは「モテ男」を自称している男子も、この時ばかりは仔犬のように「わんわん」と泣いていた。お前は、モテているなんだから別に良いだろう? と、そんな事は、言える雰囲気ではなく。
教室を騒がせた彼女の発言集は、その余波を残して、彼らの心に強く残りつづけるのであった。それを見ていた俺が、「勘弁してくれ」と嘆くくらいに。
俺は憂鬱な顔で、自分の運命を呪った。
そんな事があってから数時間後。教室の空気がやっと落ち着いた所で、弁当を食い終えた俺は、自分の席から立ち上がって、黒内からキューブを受け取り(ラミア曰く、「昼休みは俺と過ごしたい」との事)、教室の中から出て、学校の中をぶらぶらと歩きはじめた。
ラミアは、(俺の掌)から学校の様子を眺めた。
「何度も見ているけど、やっぱり良い学校」
「そうか? 俺としては、普通の高校にしか見えないけど」
「それが当たり前になっているから、そう思う。私には、新鮮」
「ふうん。ま、そんなもんか」
俺は、廊下の角を曲がった。
「どっか行きたい所はあるか?」
「別に」が彼女の答えだった。「あなたの意思に任せる」
「了解」
俺は彼女の意思を汲んで、学校の屋上に行った。
学校の屋上には基本、人がいない。不良達が時々溜まり場にしているが、神崎の事があって以降、それも最近では少なくなっていた。
お陰で、一種のラッキースポットになっている。他の生徒に邪魔されない。運が良ければ、自分だけの空間を味わう事もできる。
俺は、その空間を味わおうとした。今日のアレに疲れて。だから屋上の中に入った時は、その静けさに思わずホッとしてしまった。
俺は屋上の地面に座り、その隣に彼女を置いた。
「誰もいないから。ラミア」
「ん?」
「人間になっても良いぞ?」
「分かった」と言ってからすぐ、彼女の姿が変わった。「すぅ」
彼女は俺の隣に座り、その肩に頭を乗せた。
俺は、その感触にドキッとした。彼女の髪から匂う甘い香りも、そして、その髪から伝わるサラサラの感触も。俺の胸を高鳴らせるには、十分すぎる程の威力があった。
俺は不安な手つきで、彼女の頭を撫でた。
ラミアは、それに喜んだ。
「ん、んん、気持ちいい」
の言葉が嬉しかった。
「あなたの撫で方、とても優しい」
俺は、彼女の頭をしばらく撫でつづけた。
「お前の順番になったら、ここに来よう」
「ええ」
俺達は揃って、頭上の空を眺めた。
「今日の帰りも寄るんでしょう?」
「ああ、全種類集めなきゃならないからな。我が部長様の命令で」
俺は、隣の彼女に向き直った。
「ダブった物も擬人化するのかな?」
「基本、モノフルは一種類しか擬人化しない。だから、同じ物を当てても」
「なるほど。『ラミアが二人になる』って事はねぇのか」
彼女の顔が一瞬、曇った。
「ええ。でも、別の人が、あなたと同じ資格を持った人が当てた場合……そのキューブが『私ではない私』として擬人化する可能性はある」
「なっ! それじゃ、まるで」
「ゲームとは、違う。私ではない私は、私の形をしていないから」
俺は一瞬、頭が混乱したが、その意味をすぐに理解した。
「つまりは『まったくの別人として、銀色のキューブが擬人化するかも知れない』って事か?」
「そう。しかもそれは、男性かも知れない」
俺はその事実に驚きながらも、改めて今回の現象を不思議に思った。
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