流行りのオモチャを買わされたら、そのオモチャが擬人化しました!

読み方は自由

文字の大きさ
53 / 61
第一章 日常ラブコメ編

第50話 アイツ、俺の何処に惚れたんだろう?

しおりを挟む
 結局、彼女の言葉は現実になった。学校が新学期になっても……「それ」を見た時は、俺も流石に驚いてしまった。俺達はまた、同じクラスになった。まるで運命の悪戯のように……なんて言い方は、大袈裟か? 

 第一、俺と彼女は、そう言う仲じゃないし。今でこそ彼女の告白に驚いている俺だが、その時は何も思っていなかったし、何より「お、おす」と話し掛ける事もなかった。彼女の周りにはもう、新しい仲間ができている。

 元々、大人しい感じの(と言うか、常識人な?)性格だったので、周りに敵ができるわけがなく、社交的な黒内に誘われた事もあって、ラミアとの一件があるまでは、教室でもほとんど話さなかった。一年の時は、あんなに話したのに。

 新学期が始まった当初は、「おはよう」の挨拶こそあるが、それ以上の会話は皆無、たまたま話す機会があっても、短い会話になるだけで(彼女が恋バナが苦手な事も知らなかった)、仲良く話すどころか、「それ」をする事すらもできなかった。二人の距離がどんどん離れて行く。
 
 俺は、彼女に告白されるまで……。

「はあっ」と、胸が痛くなった。「アイツ、俺の何処に惚れたんだろう?」

 俺には、惚れる要素なんて無いのに。アイツが惚れるべきは、学校一のイケメンか、趣味の合う文学少年なのだ。それなら俺も納得だし、周りの奴らも「そうだな」とうなずくだろう。アイツは(自分では意識していないだろうが)、それ程までの美少女なのだ。

 俺は、文芸部の部室に戻った。部室の中では、ラミアが俺の帰りを待っていた。横目で俺の顔をチラチラ見ている藤岡も、俺が机の椅子を引いた時に「どうだった?」と聞いてきた。

 俺は椅子に座り、二人の顔を見渡した。

「別に。ただ、相談に乗っただけだ」

「ふうん」と、うなずく藤岡。「そう。なら良いけど」

 藤岡は訝しげな目で俺を睨み、パソコンの画面にまた視線を戻した。

 ラミアは、俺の手を握った。

「彼女に告白されたのかと思った」

 ラミアさん。あなたはどうして、そんなに鋭いの? 
 その言葉に思わずドキッとしてしまったじゃねぇか?

「なわけねぇだろう? まったく。ラミアは、変に心配しすぎだ」

 本当は、その通りだけど。今はそう言って、誤魔化した。

 俺は鞄の中からノートを出し、昨日の夜に書いたプロットをもう一度確かめた。

 ラミアはその様子をしばらく見ていたが、俺が彼女の顔をチラッと見ると、その目から視線を逸らして、部室の本棚から文集を取り出し、真面目な顔でその頁を捲りはじめた。

 俺は、ノートのプロットに視線を戻した。

 それから二時間後。 
 部活の時間が終わったので、鞄の中にノートを仕舞い、椅子の上から立ち上がった。ラミアもそれに倣ったが、藤岡が「また、今度」と言うと、それに「ええ、また今度」と応えて、キューブの形に姿を変えた。

 俺は鞄の中に「それ」を入れ、部長の藤岡に挨拶した。

「じゃあな。また明日」

「ええ。また、明日」
 
 彼女は「ニコッ」と笑って、俺の事を見送った。
 
 俺は学校の昇降口に行き、そこで自分の靴に履き替えると、いつもの自転車置き場に行って、自転車の鍵を外し、その自転車を押して、敷地の中から出て行った。
 敷地の中から出た後は、鞄の中から彼女を取りだし、彼女に「大丈夫だぞ?」と言って、その擬人化を促した。

「学校から結構離れたし」

 俺は、掌の彼女に笑いかけた。

 彼女は俺の掌から離れ、人目のつかない場所に行って、その身体を擬人化させた。

「終了」

 俺は彼女の隣に並んで、その場からまた歩き出した。彼女も、それに続いた。俺が自転車のブレーキを握った時は、それに合わせて自分の脚を止める。その反対に俺がまた自転車を押しはじめた時は、それに続いてスッと歩き出した。
 
 彼女はどんな時も、俺の歩調、速さ、調子に合わせつづけた。

「文芸部、楽しかった。部室の文集が読めて。みんな、面白い文章を書いていた」

「そ、そうか」と、応えるしかない俺。「それは、良かったな」

 俺は複雑な顔で、自分の正面に向き直った。

「俺は、ぜんぜん読んだ事がないけど」

「そう」

 彼女は、町の空を見上げた。

「もったいない」

 の言葉が突き刺さったが、顔には「それ」を出さなかった。

「まあ。俺は、文章が苦手だし。苦手な事は、わざわざしなくても良いだろう?」

 に、何も反応しないラミア。彼女は淋しげな顔で、俺の目を見つめた。

「でも、今は……プロットを作っている」

「まあ、な。部長様の」

「それは、何度も聞いている」

「……んっ」

 俺は、彼女の言葉に俯いた。

「これを書いたら、終わるかな?」

「え?」と、彼女にはどうやら聞こえなかったようだ。「なに?」

「何でもない」

 俺は「ニコッ」と笑って、自分の自転車をまた押しはじめた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

処理中です...