流行りのオモチャを買わされたら、そのオモチャが擬人化しました!

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第一章 日常ラブコメ編

第51話 女子の友情も案外悪くねぇかもよ?

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 キューブの擬人化、同級生達の告白。本当に色んな事がある。あれ程嫌っていた文章も……今では、そのプロット作りに勤しんでいた。自分の体験した事を書き殴って、それを一つの作品にして行く。他の人間には、決して真似できない。
俺だけの体験を、俺だけの文章で書き表して行くのだ。

 それがどんなに下らなく、そして、つまらないモノであったとしても。その作業は、やり切らなきゃならない。憂鬱な気分になる。ベッドの上から起きるのも、億劫になるような。そんな倦怠感が俺を襲い、乱し、そして、苦しめる。はぁ……。

 鳥になれたら、どんなに幸せだろう。その両翼を羽ばたかせて、この地獄からサッと飛び立てたら。こんなに幸せな事はない。異性にモテる、作品のチャンスに恵まれる事は、決して幸せな事とは限らないのだ。

 溜め息をつきつつ、学校の制服に着替える。
 
 俺はいつも準備を済ませて、庭の自転車に跨がり、いつもの学校に行って、風紀委員の神崎に挨拶し、ついでに岸谷(かなり気まずかったが)にも挨拶して、黒内達の前にチャーウェイを置き、自分の席に行って、机の中に道具類を入れてからすぐ、机の上に突っ伏そうとしたが、黒内達に「時任君」と呼ばれてので、不本意ながらも彼女達の所に行った。
 
 彼女達は、近くの空席に俺を促した。
 
 俺は「それ」に従い、その空席に座った。
 
 彼女達は、自由に好きな事を話しはじめた。男子の俺には、とてもついていけない話題を。何の遠慮もなく、「ニコニコ」しながら話しつづける。
 昨日、岸谷が俺に告白した事など、まるで忘れたかのように……いや、チャーウェイがいるから、あえて話さないのか? 岸谷の事を思って。
 岸谷も俺の顔を時折見てくるが、それ以外の事はせず、女子達の話に「うん、うん」とうなずいているだけだった。
 
 俺はその光景に驚く一方、真面目な顔で彼女達の友情に感心した。
 
 母ちゃん。
 母ちゃんは「ああ」言っていたけど、女子の友情も案外悪くねぇかもよ? 
 男子の「それ」とは、違ってね。
 男子の友情は基本、自分と同じ仲間意識から始まるから。
 自分と同じ趣味を持っていたり、あるいは、自分の生き方と似た部分があったり。女子達の空気を読む、共感力から来る友情は、男子の「それ」を遙かに超えるようだった。
 
 俺は、その力に生唾を飲んだ。

「すげぇな、女子って」

 女子達は、俺の声に気づかなかった。

 黒内は(彼女は、俺の前に座っている)、俺にそっと耳打ちした。

「ねぇ、時任君」

「なに?」

「今日の放課後なんだけどさ。岸谷と一緒に帰ってくれない?」

「え?」と驚いた俺だったが、すぐに「どうして?」と聞きかえした。

「あの子、ほら? こう言うのが苦手だからさ。昨日の告白だって、あたしらが」

「で、でも、チャーウェイが。それに部活もあるし」

 黒内は、俺の言わんとした事を察した(らしい)。

「分かっている。部活は……そうだな。今日は、休んで。『急用が出来た』とか言ってさ。チャーウェイちゃんの方は、アタシらに任せてよ」

「ああ、うん」と言いながら戸惑う、俺。「分かった」とうなずいてしまう自分が悲しい。本当は断りたかったが、昨日の事もあったので、何となく断りにくかった。

 俺は藤岡のスマホに連絡し(一応、連絡先は知っている)、「今日は急用ができたから、部活を休む」と伝えた。

 相手は、その内容に「分かった」と返した。

 俺はその返事にホッとし、岸谷の顔に何気なく目をやった。

 岸谷と目があった。

 彼女は恥ずかしそうな、でも何処か嬉しそうな顔で、俺の目に笑いかえした。

 その笑みに思わず熱くなる。昨日の告白がフラッシュバックするように。心臓の方も、ドキドキしてしまった。

 俺は、必死の作り笑いを浮かべた。
 
 それから時間は流れて放課後。
 俺は約束通り(周りに気づかれないよう、俺が先に出て、岸谷がその後に続いた)、学校の校門前に行った。岸谷が来たのは、それから二分後(くらい)の事だった。
 
 俺達は気まずくも、何処か照れ臭そうに「ハハハッ」と笑い合った。

「そ、それじゃ」

「う、うん」

 俺達は、その場からぎこちなく歩き出した。

「か、帰りにさ」

「う、うん?」

「何処か寄りたい所は、ある?」

 彼女は、その答えをしばらく考えた。

「ブックカフェ」

「ブック」の文字に青ざめたが、すぐに「カフェ?」と持ち直した。「そんなカフェがあるか?」

 相手の答えは、「うん」だった。

「本を読みながら……あっ! まんがもあるよ! 自分の好きなドリンクを飲めるんだ」

「ふうん。そんな店があったのか?」

 彼女は不安げな顔で、俺の目を見つめた。

「い、行きたくない?」

 俺は、彼女の質問に首を振った。

「まんががあるなら大丈夫」

「そ、そう! なら」

 彼女は嬉しそうな顔で、その目をキラキラと輝かせた。
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