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お守り R18
しおりを挟む茜が自室のすずりの中の奥に隠し置いてある文箱を開けた。
その中には文箱とは関係のないものも収められていた。
それを掴み、じっと見る茜の手の中にあるのは、小さな木箱であった。
『これは決して使ってはならないお守りだ』
茜がこの熊谷城に潜入するときに、紅に渡されたものだった。
紅は危険な仕事も任務も与えないが、想定外の何かが起こる危険性を懸念して、単独で潜入する男児にのみ与えていた。
知らぬ土地、気性の荒い城主のもとに一人で向かう茜の、まさに『最後のお守り』であった。
厳重な封印を解かれた木箱は二段に分かれており、それぞれ丸薬と指で潰して固めたような平たい物体が入っていた。
それぞれの箱のうち、大きい丸薬が入っているほうの平たい物体を左襟の袋状になっている所に隠すように縫い目に押し入れた。
右襟には小さい丸薬の箱にある平たい物体を同様に隠し入れた。
その後何食わぬ顔で違う衣に着替えた茜が、一豊のもとへと向かった。
茜の姿に、一豊が書を読んでいる手を止めて微笑んだ。
後ろ手に襖を閉めた茜が一豊の傍に座り、一豊の首に両腕を回して抱きつくと、唇を近づけた。
紫苑が行くへ知れずになってから、二人は体を交わらせてはいなかった。
まだ日は高かったが、口付けが次第に深くなり、二人の息も乱れ始めた頃。
「一豊様が欲しい」
茜が甘えた声で一豊に伝えると、再び口付けを深めていった。
茜が甘えたように一豊を欲しがったのは、床入り最終日の夜を除くと始めての事だった。この日は何度も抱かれる茜が、歓喜に涙を流しながら『もっともっと』と一豊を貪欲に求めた。
夜更けまで体を繋げ、いつものように一豊が意識のない茜の体を清め床についた。
翌朝目覚めた一豊が茜の笑顔に迎えられた。
「そんなに見つめられるとなんだか気恥ずかしくなるな」
珍しく照れた一豊に茜が口付けた。
口付けの好きな茜がそのまま一豊の袷を開いていく。そして望むものを探し当てると手で擦り始めた。
茜は徐々に体をずらしていき、自らの手に中にあるそれを迷うことなく口に含んだ。
「あか…ね?」
戸惑う一豊を尻目に、茜が一豊と口付けするように舌をうごめかせた。
一豊は時折、背中を逸らして腰を突き出した。そのたびに茜の口内には一豊の甘美な蜜が広がった。
一豊が無意識に両手で茜の頬を包んだ。
「茜、茜」
熱病にうなされる様に、一豊が何度もかすれた声で茜の名を呼んだ。
茜が上目遣いで一豊を見やると、熱い眼差しの一豊と目が合った。
『アカネ』自身も…既に熱を持っていた。
一豊の茜を見つめる眼差しにギラギラとしたものが混じる。
「受け止めろ、茜」
一豊が茜の口内で果てると、一豊の手を伝わって茜の喉がごくりと動いたのが一豊には分かった。茜はなおも一豊を含んだまま、また、深い口付けのように貪り始めた。
一豊が二度目を茜の口内に放つと、クタリと茜の体の力が抜けた。
一豊が慌てて茜の肩を掴んで体を起こすと、茜の膝元には茜の放った快楽の証があった。
「わしと共に果てたのか。可愛い奴め」
一豊がギラギラとした目で茜を見つめ抱きしめた。
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