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【忠臣】の告白
しおりを挟む「真朱、真朱や。何時になったら機嫌を直してくれるのじゃ」
放尿をしてしまった次の日から、真朱は忠臣を避けるようになった。
おろおろと、いつもの気弱な忠臣が、真朱の機嫌を取るのに必死であった。
「何でもお主の言うことを聞くぞ」
忠臣のこの言葉にすかさず真朱が「よろず屋に帰りたい」とこぼした。
「ダメじゃ、それだけはダメじゃ。
美味しいものも食わしてやるし、美しい羽織も買ってやる。贅沢したくばそれでもよい。だが、よろず屋に戻ることは許さん」
気弱な忠臣から一転して、睦言の最中のような荒々しい態度に急変した忠臣が、その態度からは想像もつかないほど優しく、愛しげに真朱を抱き寄せた。
「余は、お主に心の全てを奪われてしまったのじゃ。お主が愛しくて、堪らないのじゃ。
もはやお主の心に誰がいてもよい。その者を手打ちにするつもりもない。
だから余の傍にいて欲しいのじゃ。
これまでお主の気持ちを踏みにじって体を繋げたことも、手ひどく交わったことも、余は謝らぬ。
余はお主のいろいろな姿を見るのが、嬉しくて、楽しくて堪らないのじゃ。
頼むからよろず屋へ帰るなどとは申してくれるな。
余はお主でなければだめなのじゃ」
忠臣がいつもは齧る真朱のうなじに、そっと口付けた。毎日噛まれ熱を持った歯型の痕を、忠臣の舌がなぞってはまた口付ける。忠臣の告白に、真朱が微かに優越観に浸る顔を見せたが、忠臣には見る事は出来なかった。
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