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嫉妬、激情のままに R18
しおりを挟む昼の営業が終わり、勝色が料理長の使いで町へと仕入れに出かけた。
町を歩いていると、見知った後姿を見つけ、とっさに声をかけようとした。
しかし、それは叶わなかった。
剛が店屋から出てきた若い女と仲良く話をしている姿を捉えたからであった。そればかりではない。その女がべたべたと剛にさわり、その店を離れた後も、ちらほらと剛に視線を送る周りの女たちの視線が勝色を余計に苛立たせた。
勝色がその店に行くと、そこは飾りを売る店であった。
勝色が品定めするようにかんざしや、櫛、指輪を眺めた。
「いらっしゃい」
先ほど剛に触っていた女が奥から出てきたのを良いことに、それとなく勝色が女に探りを入れた。
「さっき、えらく大柄な風貌の旦那がいたね」
「えっ?ああ、剛さんのことだね」
女は都合よく聞いてもいない事をぺらぺらと話し始めた。
「剛さんはあの堀の向こうにある女郎屋の用心棒をしている人でね、前は目つきが鋭くてどこか取っ付きにくい雰囲気だったんだ。それが最近になってなんだか『ふんわり』っていう感じにやわらかくなってさ、たまに笑うようにもなったんだよ。
それがまた、『花が綻ぶような』っての?ふわって笑うんだよ。ふわって。
しかも元は整った顔立ちだろ?
あたい、それ見たとき『あたいの大本命だ』って運命感じちゃったのさ。
しかもさっき初めてこの店覗いてくれて、あたい嬉しくてっさ。
つい抜け駆けしちまったんだ」
「へええ、ずいぶん人気者なんだ」
顔が引きつりそうになるのを必死に堪えながら、勝色が女から情報を引き出そうとする。
「あたいは前々から剛さんのこと気に入ってたんだけど、このごろは恋敵が増えて困ってるんだ。あたいが知ってるだけでも両手の数くらいは狙ってる女がいるよ。
あ、でもお兄さんもやたら綺麗な顔だよね。
お兄さんもあたい好み」
ぺらぺらとしゃべり続ける女をよそに、「今度ゆっくり見に来るよ」と勝色が慌てるようにその場を離れた。
(じょうだんじゃない、少なくても十人の女が狙っているだと)
勝色の嫉妬の炎がメラメラと燃えさかった。
前を呑気に歩く剛に走って追いついた勝色が、手を握って神社の境内にある太い木の陰に連れ込んだ。
勝色に気づいた剛が、驚きと喜びの顔をしたが、勝色が気づく事は無かった。
「剛は俺のもんだ」
勝色が嫉妬に駆られて、剛の鎖骨付近の目立つところに激情のままに噛み付いた。
訳もわからず剛が痛みに眉根を寄せた。
次々と噛み付こうとする勝色の目は血走っていて、我を忘れているようだった。
危機感を感じた剛がとっさに近くにあったお堂の中に連れ込んで一括りに両手を押さえ込み、慌しく勝色の下穿きをずらすと、他に大人しくさせる手段が思いつかず一気に後ろから貫いた。
「あうっっ」
衝撃で勝色が呻いたが、昨日も体を繋げていた勝色の体は、すんなりと『ゴウ』自身を受け入れた。
「ああっ、ああっ」
両手を押さえつけられ勝色が剛に揺さぶられるままに声を上げた。
「何があった、カツ」
突き上げながら剛が勝色に覆いかぶさった。
「あ、あっ」
剛の声にも感じている勝色の口からは嬌声のみが零れ落ちた。
「言わなくちゃずっとこのまま啼くことになるだけだぞ、カツ。
そろそろ俺に触って欲しくて堪らないところがあるだろ」
「お願い剛、前触って」
「駄目だ、何があった」
勝色が自分で触ろうと剛につかまれた手に力を込めるが、剛が許すはずも無かった。
「悪い子だな、カツ」
カツの両手を一纏めに拘束したまま、剛がガツガツと勢いのままに突いた。
勝色が前への刺激の物足りなさから、涙を滲ませた。
「腰、揺れてるぞ。我慢できねえんだろ?
何があったのか言え」
「ああっ、剛が…剛を狙ってる女が十人以上いるって聞いて、嫉妬、した。
…もう出したい」
「ったく。俺が好いてるのはカツだけだって、あれほど言ってるだろ。
俺を信じられないのか。本当に悪い子だな、カツは」
剛が再び腰を激しく打ち付ける。
「あ、あっ」
剛に突かれるたびに勝色が啼き続けた。
「悪い子にはお仕置きが必要だ。此度は前、触ってやらねえよ」
剛に後ろから両方の膝裏を掬われ、勝色の腹部にまわした両手をしっかりと抱きつくように固定され、勝色の体は拘束された。そしてそのまま持ち上げるように膝立ちされると勝色の体の重みで、より深く奥へとゴウがめり込んだ。
「ん、ああっ」
まるで小さな子におしっこをさせるような格好に、勝色は首を振っていやいやをした。
ついには腹部に回された剛の腕にしがみ付いて、泣きはじめた。
「やだ、ごめん、剛。ごめん」
剛が大きく勝色の体ごと突き上げた。
圧迫された体内で凶器的に大きなゴウが暴れ始めると、揺さぶられるたび今度は勝色が狂喜に啼きはじめた。
「俺にはカツだけだ、今までも、これからも」
勝色はいつしか「前に触って」とは言わなくなった。
「俺が好いているのは、カツだけだ。
言っても駄目なら体に教えるだけだ。
俺をこんな風に駆り立たせるのはお前だけだ。
よーく、覚えておけ」
「ああ、ああーーっ」
渾身の一撃を喰らったかのように勝色が体を硬直させてブルブルと震えた。
剛も勝色に抱きつきながらそのまま果てた。
いつもより激しく蠢く勝色の胎内に、剛も腰が砕けそうになっていた。
カクンと膝が折れ、座り込んだ。
果てしなく長く感じられる余韻を剛が甘受した後、勝色の体がゆっくりと弛緩した。
「剛、凄かった。今までで一番、気持ちよかった」
頬を紅潮させ、呂律が回らないままで勝色が熱っぽく語った。
だらりとした勝色の脚の拘束を解くと、下肢の中心で上を向いたままのカツイロが硬さを保ったまま震えてた。
「カツ、出さずに極めたのか」
慌てた剛がカツイロを擦り始めると、たらたらと少しずつ勝色が快楽の証を垂れ流した。
この日カツが、初めて胎内だけで極めたのだった。
その後カツの熱が引けるまで、剛がカツを膝に乗せて後ろから抱きしめていた。
「何がそんなにカツを不安にさせたんだ?」
「剛の雰囲気が前と変わってきてるのは俺も知ってた。笑うようになったのも。そしたらさっき、店屋の女が剛を狙ってる女が十人はいる、て言うからどうしようって思ったら焦って、頭に血が上って。ごめん、痛かったろ」
勝色が赤黒くなりつつある歯形を、痛々しそうに見た。
「俺を変えたのはカツ、お前だろ。それに俺は前に言った筈だ、カツに捨てられても傍にいるって。だから安心してくれ」
「だったら、何で宝飾の店なんか…」
剛があごの辺りをぽりぽりと掻いた。
「カツに俺とそろいの何かを買ってやりたくて。
カツは仕事柄、指輪は出来ないしと思って、何か良いものはないか見てたんだ」
勝色の顔がパーーっと明るくなった。
「明日の昼、仕事が終わったら一緒に見に行かないか」
剛が耳まで赤くなっていた。
「剛、好き。大好き」
「もう一人で煮詰まるなよ」
二人は時間を忘れて甘い世界に浸っていた。
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