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仕置きの輪の行方
しおりを挟む「剛、起きてる?」
朝食を持ってきた勝色が襖を開けた。
剛が目を開けたまま呆けていた。
寝ている剛の傍らに盆を置いた勝色が神妙な面持ちで静かに正座した。
「昨日はごめん。俺、剛のことになると我を忘れるんだ。
頭に直ぐ血が上ってどうにもならなくなるんだ。
あんなに怒った剛を見たの初めてで正直怖かったし、凄く後悔してるし反省してる。
「信じられない」って言ってごめん。
本心じゃないんだ、信じて欲しい」
「…少しは懲りたか?」
まだ少し声に凄みを感じながらも、勝色が話し続けた。
「反省した、凄く反省した。
だから、俺がどれだけ反省したのか知ってもらおうと思って…。
いくら口で言っても俺、俺たぶんまた暴走すると思う。だから、剛がお仕置きで付けたアレ、ずっと付けたままでいたいんだ。
その方が俺も今回の事、忘れないと思うし」
尻すぼみのように小声になりながら、勝色がもじもじと膝を摺り寄せた。
「…お前がそこまで言うならそれ付けたまましばらく反省しろ。
カツは俺の女なんだ。もう俺を疑う事、言うんじゃねえぞ。今度変にぶち切れたら、カツのちんちん、その輪っかの根元から切り落とすからな」
剛が最後にキツク釘を刺した。
その迫力に、身震いをした勝色が居住まいを正した。
「うん、ほんとにごめん」と、しおらしく答え、「じゃあ、俺、仕事があるから」と勝色がそそくさと部屋を出て行った。
1人残った剛が(なんか知らないが上手くいったな)とほくそ笑み、一方の勝色が、喜々とした顔で厨房へ戻った。
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