魔王さまに抱かれるもふもふツンデレオオカミの僕

蒼井梨音

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13.手紙が届いた!

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戦線は荒れ、大きな魔物の咆哮と魔力がうねっている。
ゼファールは結界の中の天幕で、険しい顔をしながら、戦略図を見てる。

そこへ側近がやってくる。
「……魔王さま。アルドさまから“至急”とのことで連絡ですが……」

「至急だと? 何だ、報告か……」

「突然、結界内にこちらがふわりと飛んできました」
と、渡された封書を開けてみると、中には——

下手だけどひと目で自分とわかる似顔絵
拙い文字が書かれた手紙……。
――
ぜふぁ
けが しないでね
はやく かえってきて
りゅか
――
リュカが書いてくれたのか……!

ゼファールの表情が、ふっと緩んだ。
「……ふっ。なんだこの絵は……下手だな……
……なんて手紙だ、……かわいいじゃないか……」

周りの空気が一瞬静止する。
側近たちの背筋が凍る。
魔王さまが、かわいいと?

無敵の魔王が一瞬で溶けていくよう。

と、同時に、結界が跳ね上がった。

ゼファールが手紙を胸にしまうと同時に、周囲の魔力が一気に沸騰する。
側近が慌てる。
「ま、魔王さま!? 魔力が……!」

「……リュカが俺の名を……呼んでいる。
 帰りを待っているんだ!」

ゼファールは鼻を鳴らすかのように、息を吐いた。
ゼファールの魔力が戦場全体に一瞬で広がり、
敵軍を——
圧倒的な魔王の力で沈黙させた。

誰も手を振るう隙すら与えず。
側近は何が起きてるのか、よくわかってない。
「ま、待ってください! 敵軍の掃討はまだ終わって——」

「あとは任せた。俺は帰るぞ」
ゼファールはマントを翻している。

「ええええええ!? 魔王さまぁぁ!?
戦いの途中です!!」

「リュカが俺を呼んでるんだ。帰らない理由があるか?」

ゼファールは馬に乗ると、颯爽とかけていった。


「ゼファール陛下……」
側近が出ていったほうを見て、唖然としていると、

「おい、魔王さまに何があったんだ?」
前線に出ていた兵士たちが戻ってきた。

「……リュカ様からの手紙を読んで、帰られた……」
側近が答えると、前線の兵士たちは、なぜか楽しそうに笑っていた。

「急に、魔王さまの魔力に覆われて、一瞬で魔物の大部分が消えたんだ!」

「……魔物が消えた?」
側近が目を丸くしている。

「魔王さま、無敵だよ……」

「一撃で倒されたぞ」

「まぁ、あとは、部下に丸投げってことで、帰還されたんだな……」

側近や兵士たちはだんだん状況がのみこめてきた。
「まぁ帰還理由は、誰にも言えんな……」


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