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12-3.
しおりを挟む全て計算のうちだったと思うと、目の前の男が憎たらしくてたまらない。
それなのに。
そのはずなのに。
「まぁ、タッタリアのことは予測外でしたけど」
そこで一度腰の動きを止めて。
「本当はあの時、貴方が私を怖がって拒絶したら、諦めようと思ったんです」
タッタリアに攫われて、今まで平和で安穏とした鳥かごの中守られるように過ごしていたフィンリーにとっては、衝撃を受けるほどの悪意に晒された。心を壊したって、おかしくない汚物にまみれた欲望をぶつけられて。
けれどそれでもなお、フィンリーは
「俺を呼んだ」
「……っ」
変わった口調と、言葉に、目を見開く。
それはきっと、レストにとって本心からの言葉だからだ。レストは縫い付けるようにフィンリーの手のひらに自分のそれを重ねて、止めた腰をまたぎしぎしと寝台が鳴る強さで動かす。
「その目の奥に、バーガンディーの色が浮かぶのを見て、手放すのが惜しくなった」
「……ぁ……っ」
「最初はただ、大精霊が夢中になる宝石姫とやらに興味を持っただけだったが……、いつの間にか、お前を手放すという選択肢は俺の中で消えていた」
誰でもいいわけじゃない、と気づいたのはどこのタイミングだったのか。
散々喘がされて、もう自分の中はレストの形になってしまっているのではないかと思えるくらい、全身気持ちがいい。
切っ先を突き入れられる度、腹が喜びに波打つ。
「ぁ……あん……っ」
艶めいた声が、再び唇から漏れるのに、レストが口角を持ち上げる。
「フィンリー」
響く声は、有無を言わせぬ力が含まれていた。
重ね合わせた手の指先を絡め合って、ぎゅう、と力を入れる。
少しずつ速度があがって、水音が大きくなっていく。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、とリズムよく音が響き、フィンリーの快感を押し上げる。
「……ぁっん……っん……っ」
「俺の子を孕め」
やけに頭に響き、浸透してくる言葉に、フィンリーは迷いなく、しっかりと、頷いた。
自分をこうまでして求めてくれる彼が、心から愛おしい
愛情の示し方は、少し特殊かもしれないけれど、自分が逃げないように画策していたのだと思うと、それはひどく可愛らしく見えた。
ばちゅっばちゅっばちゅっ
打ち付けが激しくなり、それ以上はもう言葉を紡げなかった。ただひたすら嬌声を上げるフィンリーの奥に、欲望を叩きつけるように怒張がさらに膨らんでいく。
まだ大きくなるのか、と思わせるほどみっちりと膨張した肉棒がフィンリーの感じる内壁も、子宮口も全てを余すところなく犯す。
ばちゅっばちゅっばちゅっ
「あ……っあ……っぁん……っ」
身体が逃げないようにレストは体重をかけきて、今までにないほど膨らんだ快感が、全身を巡る。
快感だけを追わされて、視野が狭窄し、自分というものがもうレストから与えられる悦楽を受け取るだけの器になったような錯覚を起こしながら。
どちゅん、とひと際深く突き入れられた衝撃に、全てが弾けた。
「ぁああああ……っ」
「……っ」
絶頂と共に、強く内壁がレストの陰茎を絞った感覚がして、直後、腹の中に熱くて濃い精液が叩きつけるように放たれたのがわかった。
レストは、さらに奥へと注ぎ込むように腰をぐ、ぐ、と押し込める。
熱い奔流がフィンリーの全身の体温を上げて、肌が空気に触れるだけで感じるような錯覚を覚える。
おそらく、先ほど言っていた催淫効果だ。そう認識した途端、先ほど達したはずの子宮がどくん、と痙攣して、再び大きく波打った。
「んぁ……っ」
恐ろしいほど神経の集まった箇所へ一気に刺激が伝わり、ほぼレストが腰を動かさずとも、快感が腹に溜まり、弾けるを繰り返す。言うなれば、性感帯を全て同時に攻められる感覚が定期的に襲ってくるのだ。
「ぁあ……っ」
びくんびくん、と何度目の絶頂かわからないまま、膣が激しく蠢く。まだまだ出せるだろう、とレストの陰茎に絡みついて、精を受け入れようとする。
レストも熱く浅い息を繰り返しながら、射精が終わっていない陰茎をずりずりと内壁に擦るように動かしてくる。
今まで余裕そうな顔をしていたのに、綺麗な眉が寄せられて、少し苦しそうに見えるのが、妙な色気が漂っていて、フィンリーは襲い来る絶頂の中、それは反則だろう、と思った。
頭が馬鹿になりそうな激しい快感の荒波の中、それでもまたレストを好きになってしまう自分が本当に愚かだと思う。
「んぁ……っ」
「もう……少しだから、頑張ってくださいね」
口調が戻っていることに一抹の寂しさを感じて。だけど、この口調のレストのことも、自分はきっと好きなのだ。
「せん……せ……っ」
喘ぎ声の間に、どうにか声を絞り出して。
「……ん…っ、なんです……?」
レストの艶めいた吐息と、浅い呼吸が、ようやっと彼から余裕を奪えた気がして、なんだか誇らしかった。
「レスト……大好き」
「……っ」
囁いた言葉に、レストが目を見開いて。同時に陰茎が一気に膨らむと、少し落ち着き始めていた射精がまたどぴゅり、と勢いよく溢れたのを感じた。
「……あぁああああっ」
熱の飛沫に絶頂した子宮が、最後の一滴まで搾り取ろうと蠢いて、レストの精を勢いよく放ち続ける肉棒を奥へ奥へと誘った。
そうして、精液の放出が終わっても、痙攣を続ける胎の中で、ようやっと、それは形を柔らかくした。
レストは肩で息をしながら絶頂と共に気を失ったフィンリーを見下ろす。
「……っ、本当に……」
ずるり、と仕事を終えた陰茎を引き抜くと、膣口から受け止めきれなかった白濁の液体がこぼれ出てきてシーツを汚した。
「貴方には敵いませんね……」
結局、レストが宣言した通り、初夜とやらは三日三晩続いた。
そもそも、まだ結婚もしていないのに初夜ってなんだ?とフィンリーが首を傾げたが、いつもの口八丁でレストに丸め込まれた。
四日目のまだ空が白け始める前の時間、長い射精が終わって毎度のごとく気を失っていたフィンリーが目覚めてから、レストの腕枕でまどろみつつ疑問に思っていたことを問いかける。
「先生……その……先生は本当に僕でよかったの?」
「……何です?その質問」
心底わからない、という顔をされて、フィンリーが少し縮こまる。
「その……本当は、僕じゃなくて、クインがよかったんじゃ……」
そう言ってちらりと視線を送ると、見たこともないくらい絶望した顔をしたレストがいた。本当にこの三日間で、レストは様々な表情を見せてくれるようになった。それが嬉しくて、くすぐったい。
けれど、フィンリーにとってずっと心のうちに巣くっていた不安を、解消しておきたかった。
「貴方、これだけ私に愛されて、まだそういうこと言うんですか」
「あ、愛……。でも、先生、クインには優しい顔するし……」
少し頬を染めながらも、僕も見たことない顔だった、と居心地悪そうに唇を尖らせると、レストが心底嫌そうな顔でため息をついた。
「その答えは、どうせ後でわかりますよ」
「どういう意味……?」
けれどもう、それ以上答える気がないのか、レストは身体を横にすると、空いた手でフィンリーのお尻をやわやわ揉み始め、尾てい骨をすりすりと撫で上げる。
「そういうこと言い出す生徒には、教育的指導しないとですね」
「……っ」
しまった、と思った時にはすでに遅く、レストの目がにんまりと三日月になったのだった。
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