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8話
しおりを挟む騎士が言い終わるよりも早く、ふわり、とエレノアの身体が浮いた。
「いい、僕がお連れする。触れる不敬をお許しください、殿下」
魔術師のくせにしっかりとエレノアを横抱きで持ち上げて、リアンがそう言った。騎士は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに姿勢を正して頭を下げた。
そのまま、振り返ることなくリアンは歩き出す。
「んん……っ」
リアンの胸に顔を埋めながら、エレノアは喘ぎ声をなんとか我慢しようと息を殺している。膣の中にある魔道具は振動を段々強くしていっているようで、横抱きにされたせいでお腹が圧迫されて、よりその存在を感じることになり、エレノアの息があがる。
駄目だ……昨夜必死に過去の魔術基礎学のおさらいをしたのに、この状況では解除するための術式など編み出せない……。
術式を組むというのは、慣れない者にとっては集中力が必要不可欠だ。
「ふ……ぅ……っ」
当然ながらエレノアを抱きかかえたリアンは目立ち、注目を浴びてしまっていた。何事か、と心配してメイドが近づいてこようとするのを、一定距離になるとリアンがにこやかに牽制してくれているので、なんとか自分の痴態に気づかれずにすんではいるが……。
こんなところが見つかったら変態姫の名を欲しいままにしてしまう。
恥ずかしさと、身体の内側を暴れまわる快感の波に、全身が粟立ち、胎と、リアンが触れている箇所が熱くてたまらない。
ぎゅう、とリアンの片側マントを掴んで刺激と襲い来る快感に耐えていると。
ようやく勉強室にたどり着き、扉がリアンの背後で閉まった瞬間。
「んんっ」
頭が真っ白になり、びくんっとエレノアはとうとうリアンの腕の中で達してしまった。
荒い呼吸をしながら意識が朦朧としていると、リアンは勉強室内に置いてある三人掛けのソファへエレノアを横たえさせる。
そのまま、視線を合わせて絶頂の余韻で浅い呼吸を繰り返すエレノアを見つめた。紺碧の瞳がじっと見つめてくるのが居た堪れなくて、エレノアは両手で顔を隠した。
だって、こんな達した後の姿なんて、本来なら夫となる男にしか見せてはいけないはずだ。けれど、顔を隠したエレノアの腕を掴んで、強引にソファに縫い付けてくる。
「……っ、もう……気が済んだのではなくて……?!」
涙声で訴えるエレノアに、リアンは目を細めて応えた。
「僕は一年耐えたんだ。貴方にも最低でも一年は耐えていただかないと」
「い……一年……っ」
こんな責め苦をあと一年も受け続けなければいけないのか。己の所業のせいだとしても、眩暈がした。
リアンが早く満足するか、エレノアが解除を覚えるのが早いかの勝負なのだ。
「……その……どう……して快楽……責めなの……」
聞きたくて今まで聞けなかったことを尋ねると、リアンはエレノアの首にぶら下がっているエメラルドグリーンの宝石を指でとん、と触れた。
「この魔道具、あなたが痛い思いをすると自動発動するように作られていまして。痛みなどは与えた場合すぐ発動するのですが、快楽だと検知されないんです」
「……えぇ……っ」
衝撃の事実にショックを受けていると、リアンはくすり、と笑うとスカートの中に手を入れてきて、膝を開かせるためにとんとんと軽く叩いてくる。
「……なぁに?」
また何かするつもりなのか、と警戒して力を入れたエレノアに。
「魔道具を取り出しますから足をあげてください」
そう言われれば否やはない。早くこの中の異物をとってほしくて、大人しく片足をあげると、リアンの手がそこへ伸び、ぐちゅ、と卑猥な音が思ったより大きく響いた。
「……っ」
達したばかりのそこに指を入れられ、掻き出すように魔道具を出される刺激に、また肌が粟立つ。
スカートから出てきたリアンの手と魔道具が自分の愛液で濡れてテラテラと光っており、視界に入れるのも忍びなくなる。
「そのペンダント」
リアンは魔道具をそのまま自分の胸ポケットにしまうと、立ち上がった。
「僕が作ったものですから」
爆弾発言を落として、エレノアが口をぱくぱくさせている間に、リアンは本日の授業はこれで終わりとばかりに勉強室を出てしまった。
エレノアは自分のつけたペンダントを見て、頭を抱える。これを国王から下賜されたのはいつだったか。確か十か十一の頃だ。
つまり……?リアンは在学中に魔道具を作り上げたということだ。
天才ではないか?
国に留めておかねばならぬほどの知識と技術を持ち、あの美貌。いくら世間に疎いエレノアでもわかる。リアンはこの国に必要な人材だ。
その貴重な人材に対して私は……なんてことを……
だがそんなこと十歳の自分に察しろというのは酷である。幼少期の若気の至りとしてどうか許してくれないだろうか、と思うけれど。
リアンはおそらく勤勉であるが故の頑固さを持ち得ているのではないか、と数々の言動を顧みて予測していた。
そうなると、やっぱり彼が満足するか自分が解除を覚えるかである。だが、このままでは解除を覚える前に淫乱姫の出来上がりではないだろうか!?
どうにか手立てを……と考えた時にふっと気づいた。毎回、解除を申し付けられる魔道具はリアンが決めている。
それを、こちらから指定すればどうだろう。
安全かつ、快楽責めに関係ない魔道具を選びさえすれば、切り抜けられるかもしれない……!
エレノアはそう決意して、その日の授業を終えた。
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