最強!最凶?理不尽賢者ローズマリーを夜露死苦!

日置弓弦

文字の大きさ
6 / 92
【第1章 理不尽賢者ローズマリーの誕生】

【本当に夢なのか?】

しおりを挟む
街ではあたしを見る全ての人がドン引きしていた。まあ仕方ないよね。特攻服なんて着てたら怖いよね。でも夢の中まで特攻服で冒険するなんてあたしは相当狼図魔龍鰔ローズマリーに強い思いがあるんだな。



 さっき別れたケロットとか言う領主が言った順路で道を進むとマグナギアと書かれた。看板が見えた。看板はいかにも古めかしく重厚な趣があった。あー早く旅の仲間見つけて魔王ぶっ殺して夢から醒めたい。



「こんちはー」明るく大きな声で挨拶をしながらギルドに入った。しかし誰も挨拶を返してこない。しばらくするとひそひそ話(ばっちり聞こえる)をし始めた。



「な、なんだ?あの珍妙な服は?冒険者舐めてるのかな?」

「変人かな? 変人なのかな?」

「マスターさん、ここの品格が落ちるからああいう目立ちたがり屋はいれないでくださるとありがたいです」

「でも、もしかしたら遠い国から来た旅人かもしれません。お話くらいは聞いた方が良いかと……」



出た! エルフの剣士が数名いる。肌は人間のそれっぽいけど耳長だ。でもこのギルドにいる数十人全員は鉄拳制裁しないとな! あたしの夢とはいえ特攻服を馬鹿にするやつらは涙目で三つ指立てながら土下座させないと気が済まない。



「おい、姉ちゃん顔は良いけどその服はへん……グフ」話しかけてきた人間に杖の一撃を食らわせた。男は壁にめり込んだ。思わず得物を使ってしまった。あたしは身体一つで戦うのをモットーとしているのに。イケナイ、イケナイ。

「コイツもしや魔王軍の手先ではないのか?」

「あの珍妙な服にあの神速のエンデュミオンを一撃でのしてしまう威力……化け物だ!」珍妙?イラッとするな。

「皆気を引き締めろ」全員で攻撃だ。

「「「サンダーボルト!」」」魔法使いと思しき集団が声を合わせて電撃を放ってきた。

「やったか!」年長の人間が言った。

流石にピリッとして痛かった。特攻服は……焦げていないな。よし殺やるか……。

「駄目だ!傷一つついていない! おそらく魔法耐性が高いんだ。戦士たちで追いつめるしかないぞ、魔法が使える者は戦士の体力回復に専念しろ!」スキンヘッドの精悍な男が言った。

「おりゃ!いくぞ! ぶげぇ」

「怯むな、ダメージは入っている筈だ。囲め! 囲め! 殺せ! 殺っちまえ」

それから数十分するとギルドの中は滅茶苦茶になり特攻服を馬鹿にしなかったギルドマスターと思われる若く可愛らしい人間を除いて冒険者たちは瀕死のまま放置された。あれ? なんでこんな流れになってしまったのだろう? 普通なら仲間ができる筈じゃあ……。



「あっ、あのー、す、すみません。魔王軍の幹部の方ですよね。この街はあなたの傘下に入るのでしょうからこれ以上人を傷づけるのはやめてください。このギルドの方たちのことは殺さないでください。代わりに私が死にますから」銀髪のお姉さんは涙を湛えてお願いしてきた。



「あのーこれって夢ですよね」

「……寝ぼけてらしたんですか?」

「いや……これは私の夢ですよね」

「魔王軍幹部ならばマグナギアを壊滅させることは夢かもしれませんね」

「あ……もう良いです」まったくセオリー通りに進まない夢だなー飽きてきた。

 カランカランとドアを開ける音がした。

「あっゲゲルさん、逃げてください、その人は魔王軍幹部の方です」

 ゲゲルさんと呼ばれた高齢なエルフを見ると視界の端にスキル鑑定士という文字が浮かんだ。

「ゲゲルとか言うエルフの人、あなたはスキル鑑定士という職業なのですか?」

 エルフの老婆は目を見開いて驚いた。

「ミリアちゃんや、この方は大賢者様だよ。シンダリア帝国で予言されていた伝説の賢者様さ」

「え! じゃあなんで私たちのギルドを壊滅状態に……」

「いや、服を馬鹿にされたから……つい……」

「「それだけで!」」二人はドン引きしたようだ。まったく夢が覚める気配がないなぁ……。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

草食系ヴァンパイアはどうしていいのか分からない!!

アキナヌカ
ファンタジー
ある時、ある場所、ある瞬間に、何故だか文字通りの草食系ヴァンパイアが誕生した。 思いつくのは草刈りとか、森林を枯らして開拓とか、それが実は俺の天職なのか!? 生まれてしまったものは仕方がない、俺が何をすればいいのかは分からない! なってしまった草食系とはいえヴァンパイア人生、楽しくいろいろやってみようか!! ◇以前に別名で連載していた『草食系ヴァンパイアは何をしていいのかわからない!!』の再連載となります。この度、完結いたしました!!ありがとうございます!!評価・感想などまだまだおまちしています。ピクシブ、カクヨム、小説家になろうにも投稿しています◇

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

処理中です...