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【第1章 理不尽賢者ローズマリーの誕生】
【本当に夢なのか?】
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街ではあたしを見る全ての人がドン引きしていた。まあ仕方ないよね。特攻服なんて着てたら怖いよね。でも夢の中まで特攻服で冒険するなんてあたしは相当狼図魔龍鰔ローズマリーに強い思いがあるんだな。
さっき別れたケロットとか言う領主が言った順路で道を進むとマグナギアと書かれた。看板が見えた。看板はいかにも古めかしく重厚な趣があった。あー早く旅の仲間見つけて魔王ぶっ殺して夢から醒めたい。
「こんちはー」明るく大きな声で挨拶をしながらギルドに入った。しかし誰も挨拶を返してこない。しばらくするとひそひそ話(ばっちり聞こえる)をし始めた。
「な、なんだ?あの珍妙な服は?冒険者舐めてるのかな?」
「変人かな? 変人なのかな?」
「マスターさん、ここの品格が落ちるからああいう目立ちたがり屋はいれないでくださるとありがたいです」
「でも、もしかしたら遠い国から来た旅人かもしれません。お話くらいは聞いた方が良いかと……」
出た! エルフの剣士が数名いる。肌は人間のそれっぽいけど耳長だ。でもこのギルドにいる数十人全員は鉄拳制裁しないとな! あたしの夢とはいえ特攻服を馬鹿にするやつらは涙目で三つ指立てながら土下座させないと気が済まない。
「おい、姉ちゃん顔は良いけどその服はへん……グフ」話しかけてきた人間に杖の一撃を食らわせた。男は壁にめり込んだ。思わず得物を使ってしまった。あたしは身体一つで戦うのをモットーとしているのに。イケナイ、イケナイ。
「コイツもしや魔王軍の手先ではないのか?」
「あの珍妙な服にあの神速のエンデュミオンを一撃でのしてしまう威力……化け物だ!」珍妙?イラッとするな。
「皆気を引き締めろ」全員で攻撃だ。
「「「サンダーボルト!」」」魔法使いと思しき集団が声を合わせて電撃を放ってきた。
「やったか!」年長の人間が言った。
流石にピリッとして痛かった。特攻服は……焦げていないな。よし殺やるか……。
「駄目だ!傷一つついていない! おそらく魔法耐性が高いんだ。戦士たちで追いつめるしかないぞ、魔法が使える者は戦士の体力回復に専念しろ!」スキンヘッドの精悍な男が言った。
「おりゃ!いくぞ! ぶげぇ」
「怯むな、ダメージは入っている筈だ。囲め! 囲め! 殺せ! 殺っちまえ」
それから数十分するとギルドの中は滅茶苦茶になり特攻服を馬鹿にしなかったギルドマスターと思われる若く可愛らしい人間を除いて冒険者たちは瀕死のまま放置された。あれ? なんでこんな流れになってしまったのだろう? 普通なら仲間ができる筈じゃあ……。
「あっ、あのー、す、すみません。魔王軍の幹部の方ですよね。この街はあなたの傘下に入るのでしょうからこれ以上人を傷づけるのはやめてください。このギルドの方たちのことは殺さないでください。代わりに私が死にますから」銀髪のお姉さんは涙を湛えてお願いしてきた。
「あのーこれって夢ですよね」
「……寝ぼけてらしたんですか?」
「いや……これは私の夢ですよね」
「魔王軍幹部ならばマグナギアを壊滅させることは夢かもしれませんね」
「あ……もう良いです」まったくセオリー通りに進まない夢だなー飽きてきた。
カランカランとドアを開ける音がした。
「あっゲゲルさん、逃げてください、その人は魔王軍幹部の方です」
ゲゲルさんと呼ばれた高齢なエルフを見ると視界の端にスキル鑑定士という文字が浮かんだ。
「ゲゲルとか言うエルフの人、あなたはスキル鑑定士という職業なのですか?」
エルフの老婆は目を見開いて驚いた。
「ミリアちゃんや、この方は大賢者様だよ。シンダリア帝国で予言されていた伝説の賢者様さ」
「え! じゃあなんで私たちのギルドを壊滅状態に……」
「いや、服を馬鹿にされたから……つい……」
「「それだけで!」」二人はドン引きしたようだ。まったく夢が覚める気配がないなぁ……。
さっき別れたケロットとか言う領主が言った順路で道を進むとマグナギアと書かれた。看板が見えた。看板はいかにも古めかしく重厚な趣があった。あー早く旅の仲間見つけて魔王ぶっ殺して夢から醒めたい。
「こんちはー」明るく大きな声で挨拶をしながらギルドに入った。しかし誰も挨拶を返してこない。しばらくするとひそひそ話(ばっちり聞こえる)をし始めた。
「な、なんだ?あの珍妙な服は?冒険者舐めてるのかな?」
「変人かな? 変人なのかな?」
「マスターさん、ここの品格が落ちるからああいう目立ちたがり屋はいれないでくださるとありがたいです」
「でも、もしかしたら遠い国から来た旅人かもしれません。お話くらいは聞いた方が良いかと……」
出た! エルフの剣士が数名いる。肌は人間のそれっぽいけど耳長だ。でもこのギルドにいる数十人全員は鉄拳制裁しないとな! あたしの夢とはいえ特攻服を馬鹿にするやつらは涙目で三つ指立てながら土下座させないと気が済まない。
「おい、姉ちゃん顔は良いけどその服はへん……グフ」話しかけてきた人間に杖の一撃を食らわせた。男は壁にめり込んだ。思わず得物を使ってしまった。あたしは身体一つで戦うのをモットーとしているのに。イケナイ、イケナイ。
「コイツもしや魔王軍の手先ではないのか?」
「あの珍妙な服にあの神速のエンデュミオンを一撃でのしてしまう威力……化け物だ!」珍妙?イラッとするな。
「皆気を引き締めろ」全員で攻撃だ。
「「「サンダーボルト!」」」魔法使いと思しき集団が声を合わせて電撃を放ってきた。
「やったか!」年長の人間が言った。
流石にピリッとして痛かった。特攻服は……焦げていないな。よし殺やるか……。
「駄目だ!傷一つついていない! おそらく魔法耐性が高いんだ。戦士たちで追いつめるしかないぞ、魔法が使える者は戦士の体力回復に専念しろ!」スキンヘッドの精悍な男が言った。
「おりゃ!いくぞ! ぶげぇ」
「怯むな、ダメージは入っている筈だ。囲め! 囲め! 殺せ! 殺っちまえ」
それから数十分するとギルドの中は滅茶苦茶になり特攻服を馬鹿にしなかったギルドマスターと思われる若く可愛らしい人間を除いて冒険者たちは瀕死のまま放置された。あれ? なんでこんな流れになってしまったのだろう? 普通なら仲間ができる筈じゃあ……。
「あっ、あのー、す、すみません。魔王軍の幹部の方ですよね。この街はあなたの傘下に入るのでしょうからこれ以上人を傷づけるのはやめてください。このギルドの方たちのことは殺さないでください。代わりに私が死にますから」銀髪のお姉さんは涙を湛えてお願いしてきた。
「あのーこれって夢ですよね」
「……寝ぼけてらしたんですか?」
「いや……これは私の夢ですよね」
「魔王軍幹部ならばマグナギアを壊滅させることは夢かもしれませんね」
「あ……もう良いです」まったくセオリー通りに進まない夢だなー飽きてきた。
カランカランとドアを開ける音がした。
「あっゲゲルさん、逃げてください、その人は魔王軍幹部の方です」
ゲゲルさんと呼ばれた高齢なエルフを見ると視界の端にスキル鑑定士という文字が浮かんだ。
「ゲゲルとか言うエルフの人、あなたはスキル鑑定士という職業なのですか?」
エルフの老婆は目を見開いて驚いた。
「ミリアちゃんや、この方は大賢者様だよ。シンダリア帝国で予言されていた伝説の賢者様さ」
「え! じゃあなんで私たちのギルドを壊滅状態に……」
「いや、服を馬鹿にされたから……つい……」
「「それだけで!」」二人はドン引きしたようだ。まったく夢が覚める気配がないなぁ……。
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