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【第3章 理不尽賢者ローズマリーと魔法科学国オルケイア】
【理不尽賢者と大砂漠Ⅱ】
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「やはりモンスターかな?」とローズマリー。
「灼熱で頭までバカになっちまったんじゃねえか」
「相棒よ、その言い方はひどいだろう」とルーンベルトがエンデュミオンをたしなめた。
「でももしかしたらまだ生き残っている上位の魔族がいるのかもよ」とセレーナ。
「取り敢えず各自バラバラに情報収集に徹した方が良いわ」セレーナが4人の中で指揮をとった。
「エンデュミオンあなたは酒場に、ルーンベルトは食べ物屋に、私とローズマリーは村長に話を聞きに行くわ」
ローズマリーはセレーナと麻衣を重ねて見ていた。いつも一緒に喧嘩に行き共に戦ったマブダチだ。外見も考え方もまったく違うが側にいてくれるだけで安心感を与えてくれる。敵にするとちょっと怖いが味方でいてくれると頼もしい。何か似ているところがある。
そんなことを考えているとセレーナが「ローズマリー何ぼーっとしているの?」と言ってきた。
「あ、何でもない。何か前の世界のダチ公とセレーナが似ているなって思っただけ」
「そう……寂しいわよね、仲間を残してこっちの世界に来たのだから……」
「いや、寂しいなんて思ったことないよ。モンスターと戦うのは楽しいし、帰るには北にいる魔王をぶち殺せばいいだけなんだから」
「魔王をぶち殺す……ね。良いローズマリー? あなたは確かにドン引きするくらい強いわ。でもね、魔王はここ数千年ずっと健在なのよ。この世界で初めてこの大陸をほぼ統一し魔法文明が最盛期を迎えたシンダリア帝国でさえ結果的には自爆だけど、魔王を倒すには至らなかったのよ。あなたは確かに異常者のように強いわ、私がこれまで見た何者よりもね。でもね、過信は禁物よ」
「う……ん、過信している訳じゃないけれど……もっと南の国の方の気配の方が強そうな気がするんだよね。それに比べると魔王は足元にも及ばないんじゃないかな?」
「南で強い気配ってことは魔導皇国グリムズガーデンのことかしら」
「多分そうだと思う。あとリガイアにもほんのちょっぴり強い奴が山の方にいた気がする」
「多分リガイア共和国が神として崇めているカイザードラゴンじゃないかしら。でも、ちょっと待って! あなたちょっぴり強いって言った? エンシェントドラゴンよりも遥かに格上の存在よ! 人間が相手にできる類のものではないわ!」
「そ、そうか、少し気を付ける」
「少しじゃ駄目よ。もっと恐ろしい存在だと認識しなきゃダメよ」って言われても弱いんだから仕方ないよなとローズマリーは思いつつ返事をした。
「分かった、ちゃんと気を付けるよ」
「なら良いわ、今度から向う見ずに戦わないでね。私たちはあなたに比べれば赤子同然だけれど心配はしているのだから」
「うん、皆に心配かけないようにするよ」
村長の家に行くと刺激臭がした。あのジャイアントワームと同じにおいだ。
「この匂いがするってことは……」
「うん、そうね。敵がいるかもしれないわ」
セレーナとローズマリーは武器を構えた。そして質素な日干し煉瓦で作られた家に入った。
独特の刺激臭がまた強くなった。ジャイアントワーム以上の匂いだ。
「おや? 旅の方ですかな……」迎に出たのは尊重と思わしき白髪のヒュームだった。
「あんたがこのレビの村の長かい?」
「はいその通りでございます。皆様方には食料品と地図を用意しましたので明日出発なさってください」
えらく早く準備をしてきたな。しかも厄介者のように扱ってくる。何かあるのは間違いない。
「おい、爺さん。この匂いは何なの? ジャイアントワームよりひどい匂いなんだけれど?」
老人は慌てて言った。
「そのような厄介ごとに旅の御方をわずらわせるにはいけません。どうか、お引き取りください」
「灼熱で頭までバカになっちまったんじゃねえか」
「相棒よ、その言い方はひどいだろう」とルーンベルトがエンデュミオンをたしなめた。
「でももしかしたらまだ生き残っている上位の魔族がいるのかもよ」とセレーナ。
「取り敢えず各自バラバラに情報収集に徹した方が良いわ」セレーナが4人の中で指揮をとった。
「エンデュミオンあなたは酒場に、ルーンベルトは食べ物屋に、私とローズマリーは村長に話を聞きに行くわ」
ローズマリーはセレーナと麻衣を重ねて見ていた。いつも一緒に喧嘩に行き共に戦ったマブダチだ。外見も考え方もまったく違うが側にいてくれるだけで安心感を与えてくれる。敵にするとちょっと怖いが味方でいてくれると頼もしい。何か似ているところがある。
そんなことを考えているとセレーナが「ローズマリー何ぼーっとしているの?」と言ってきた。
「あ、何でもない。何か前の世界のダチ公とセレーナが似ているなって思っただけ」
「そう……寂しいわよね、仲間を残してこっちの世界に来たのだから……」
「いや、寂しいなんて思ったことないよ。モンスターと戦うのは楽しいし、帰るには北にいる魔王をぶち殺せばいいだけなんだから」
「魔王をぶち殺す……ね。良いローズマリー? あなたは確かにドン引きするくらい強いわ。でもね、魔王はここ数千年ずっと健在なのよ。この世界で初めてこの大陸をほぼ統一し魔法文明が最盛期を迎えたシンダリア帝国でさえ結果的には自爆だけど、魔王を倒すには至らなかったのよ。あなたは確かに異常者のように強いわ、私がこれまで見た何者よりもね。でもね、過信は禁物よ」
「う……ん、過信している訳じゃないけれど……もっと南の国の方の気配の方が強そうな気がするんだよね。それに比べると魔王は足元にも及ばないんじゃないかな?」
「南で強い気配ってことは魔導皇国グリムズガーデンのことかしら」
「多分そうだと思う。あとリガイアにもほんのちょっぴり強い奴が山の方にいた気がする」
「多分リガイア共和国が神として崇めているカイザードラゴンじゃないかしら。でも、ちょっと待って! あなたちょっぴり強いって言った? エンシェントドラゴンよりも遥かに格上の存在よ! 人間が相手にできる類のものではないわ!」
「そ、そうか、少し気を付ける」
「少しじゃ駄目よ。もっと恐ろしい存在だと認識しなきゃダメよ」って言われても弱いんだから仕方ないよなとローズマリーは思いつつ返事をした。
「分かった、ちゃんと気を付けるよ」
「なら良いわ、今度から向う見ずに戦わないでね。私たちはあなたに比べれば赤子同然だけれど心配はしているのだから」
「うん、皆に心配かけないようにするよ」
村長の家に行くと刺激臭がした。あのジャイアントワームと同じにおいだ。
「この匂いがするってことは……」
「うん、そうね。敵がいるかもしれないわ」
セレーナとローズマリーは武器を構えた。そして質素な日干し煉瓦で作られた家に入った。
独特の刺激臭がまた強くなった。ジャイアントワーム以上の匂いだ。
「おや? 旅の方ですかな……」迎に出たのは尊重と思わしき白髪のヒュームだった。
「あんたがこのレビの村の長かい?」
「はいその通りでございます。皆様方には食料品と地図を用意しましたので明日出発なさってください」
えらく早く準備をしてきたな。しかも厄介者のように扱ってくる。何かあるのは間違いない。
「おい、爺さん。この匂いは何なの? ジャイアントワームよりひどい匂いなんだけれど?」
老人は慌てて言った。
「そのような厄介ごとに旅の御方をわずらわせるにはいけません。どうか、お引き取りください」
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