捨てないで(仮)

星屑

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男の正体

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あのイケメンが来るまでに作戦を考えなくては。とりあえずセルと小声で話す。

「セル、当たり障りのないことを言って一旦帰ろう。」

「え?イヤだ。鬱陶しいんだ。」

「セルぅー」

お願いだからもうちょっと考えてあげて。さすがにかわいそう。

「それに私はお前以外と親しくなれん。必然的に仲間もお前しかおらん。」

「確かに。」

あーセルの事情って複雑なんだよな。それなら今後絡まれないようにした方がいいか。でもなぁ人間関係がなぁ。

「君たちさっきからこそこそと何をしゃべっているのだい?」

あ、イケメン来たわ。終わったわ。

あのセルリアンさん?何で俺と腕組んでるんですかね?何で寄り掛かってきてるんですかね?嫌な予感しかしないのですが。

「グラハル、こいつは私の………旦那だ。」

「「え?」」

見事にイケメンとセリフがかぶった。

このイケメンはグラハルというのか。なんかかっこいいね。そしてさなんか旦那とかなんとか聞こえたんだけど聞き間違いだよね?そうだよね?

「セルリアン旦那とはどういうことだ?結婚していたのか?」

「ああ。2年前にな。最近やっと長期の仕事から戻って来たのでなパーティー申請をしようと来たのだ。」

セルゥーー死んだよ!俺!この周りの空気がわかる?お前が言葉を発するごとに増えていく殺気が!そして2年前に結婚なんてした!?書類とか書いた覚えないよ?

「そうだったのか。知らなかったよ。だが君はAランクだろ?そちらの人のランクはいくつなんだい?」

俺?今度は俺?いいけど。

その前にセルを離してっと。残念そうな顔をするな。また殺気が増えたから。

「あー自己紹介でいいか?リオンという。ランクはSで魔術師だ。最近まで他の仕事で冒険者は休止していたんだ。よろしく。」

全然よろしくって雰囲気じゃないけどね。あと、ランクを言っても殺気が減らないのは驚いてるよ。セルの人気ってすごかったんだね。

「グラハルだ。ランクはAで剣士。緑龍の森というSランクパーティーのリーダーだ。…………待てSランクと言ったか?」

「あぁ言ったが?」

お願いします。Sランクと聞いただけで殺気を減らしてください。今は争いたくないです。精神的に疲れたからやりたくない。

意外にもグラハル強かったんだな。Sランクパーティーと言うのに悪意を感じるが。

「嘘を言うな。個人でSランクなど世界でも片手で数えられるほどしかいないのだぞ?つくならもっとましな嘘をつけ。」

あ、嘘って思われましたか。そうですか。イヤだなぁ。真っ向から否定するなんて。

「本当だ。冒険者カードでも見るか?それともギルドマスターに確認するか?」

「いや、模擬戦にしよう。セルを騙すなんて許せないからね。」

そしてセルに向かってウィンクか。セル、あからさまに嫌そうな顔しないの。かわいそうでしょ?

「キサマにその呼び方を許した覚えはない。それはリオだけが呼んでいいものだ。」

セル。お願いだからもう黙って。


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