家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました

朔夜

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1章

魔力測定の日──運命の始まり

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アイラが十歳になった春、王国の子どもたちが必ず受ける行事──
魔力測定の季節が訪れた。
 これは、その子がどの程度の魔力を持っているか、
そしてどんな属性に適性があるかを測る重要な儀式。
魔法学院への推薦、将来の職業、家の評価──
どれもこの“結果”に大きく左右される。
 アイラの家にも、不思議な緊張感が漂っていた。
「ねえアイラ、今日は早めに起きたのね」
母ライラが微笑むが、その顔はどこか固い。
「うん。なんか……胸がどきどきするの」
 アイラが素直に言うと、父ガルドはぎこちなく笑った。
「そりゃそうだ。誰だって緊張する。だがな、怖がる必要はない。
結果がどうであれ、お前は俺たちの娘だ」
 姉のミリアは、アイラの髪を結びながら囁く。
「アイラはね、特別なの。可愛くて優しくて……魔力量なんて関係ないわ」
 兄のルーグも、頭を撫でて励ました。
「ほら、いつもの笑顔見せろよ。大丈夫、俺がついてる」
 家族の言葉にアイラは胸をなで下ろした。
 それでも──胸奥の不安は消えない。
 王都の中央に建つ“測定の塔”は、今日だけは多くの人で賑わっていた。
行列を作る親子、緊張で蒼白な子供、勝ち気に胸を張る者。
どの家族も、期待と不安を抱えてやって来る。
 アイラたちも順番を待ちながら、周囲を眺めていた。
「アイラ、手、冷たいよ」
姉ミリアがそっと手を握る。
「……ねえ、もし私の魔力が……変だったらどうしよう」
 アイラが小さく呟くと、父ガルドが即座に言った。
「変でいい。どんな結果でも、お前はお前だ」
 しかし、その横顔はどこか曇っていた。
 アイラは気づかないふりをした。
 やがて、アイラの名前が呼ばれた。
「アストリア家、アイラ様。測定室へどうぞ」
 広い測定室には、巨大な魔力結晶が置かれている。
 近づくだけで、魔力が吸い寄せられそうな圧迫感がある。
 アイラは緊張で喉が詰まりながらも、
結晶にそっと両手を触れた。
──その瞬間。
 結晶が、破裂するように光を放った。
「……っ!?」
「な、なんだ!?」
「光が……強すぎる!!」
 眩い金色が部屋中を満たし、測定士が後ずさる。
 風が渦巻き、衣服を揺らし、魔力が空気を震わせる。
 結晶は軋み、まるで悲鳴をあげるように震えた。
「ま……魔力量、計測不能……!?
こんな数値、見たことがない……!」
 測定士は青ざめながら叫ぶ。
周囲の補助士たちが慌てて距離を取る。
「この子……危険だ! 異常値だぞ!」
「ありえない……国史に残るレベルだ……!」
 アイラは何が起きているかわからず、ただ立ち尽くす。
「わ、私……どうすれば……?」
 金色の光の中心で、アイラの瞳は揺れた。
 家族は測定室の外で待っていたが──
扉が開いた瞬間、測定士たちが恐怖に震えながら告げた。
「アストリア家の娘アイラ……
魔力量“測定不能”。
王国基準を大幅に超えています。
……これは、異常です」
 その言葉を聞いた家族の表情は──
アイラには、まだ見えなかった。
だがこの“結果”こそが、
アイラの人生を狂わせていく始まりだった。
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