乙女ゲームに転生したようだが、俺には関係ないはずだよね?

皐月乃 彩月

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第3章 敬虔なる暴食

06話 勉強は大切です②

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「リュート様、お茶を準備致しました。少しはお休みになられないといけませんよ」

ふと鼻に香ったいい香りに目を向けると、セルバさんがお茶を用意して立っていた。
そろそろ休憩を挟めということだろう。

「ありがとうございます。もうそんなに時間が経ちましたか?」 

「えぇ、お昼からですから3時間以上は本を読み続けていましたね」

セルバさんは少し困ったように言った。
気をつかわせてしまったようだ。
申し訳ない。

「それはすみません。集中し過ぎたみたいです」

俺は本を閉じて、ティーポットが用意されたテーブルに座る。

「……お勉強は順調ですかな?」

「はい、この家には沢山の本があるので、とても面白いです」

紅茶の香りに包まれ一息つく。
まだまだ大丈夫だと思っていたが、体は少し疲れていたようだ。

「また新しい本をお持ちいたしましょう。何が宜しいですかな?」

「では……魔物や悪魔についてのものを、お願いします」

これからの為にも、悪魔についてもっと情報が欲しい。
ゲームには、悪魔が出てきていた。

「ほう、悪魔ですか? 童話や昔話によく出てきますな。後でお持ちいたしましょう。ただし、きちんと休憩を挟まないといけませんよ?」

「これからは気を付けます。本の件、お願いしますね」

セルバさんは俺が熱中しすぎるのを心配してるようなので、今後は気を付けることにする。
俺も今の自分の体が6歳児のものであることを、自覚しなければならない。
前世と同じ感覚を引き摺ってはいけない。

……童話や昔話か。
フィクションの話だと思われているんだな。
だが、ゲームにあったように実在する可能性が今のところ非常に高い。
俗説とかが多そうだし、精査する必要もあるだろう。

俺はティーカップを傾け、紅茶を飲み干す。
休憩はこれくらいで十分だろう。

「ご馳走さまです、セルバさん。僕はこれからはまた読書をします」

「程々になさいませ。では失礼いたします」

セルバはティーポットを片付けて、部屋から退室した。

「……さてと。魔法の検証でもするかな」

セルバさんが居なくなったのを確認し、席を立つ。
空間魔法について、試したいことがあったのだ。

まず、部屋の端にマーキングの魔法陣を設置する。
そして10メートル位離れて、詠唱する。

「“テレポート”」

その言葉と共に、一瞬でマーキングした場所に移動する。
ここまでは通常通りだ。
今度はマーキングなしに魔法を発動する。

「“テレポート”」

そして、一瞬でまた部屋の端に移動した。
ただし今度は、移動はしているが先程より手前の位置だった。

ふむ……マーキングなしで実際に座標を計算してテレポートしてみたが……少しずれたな。
でもこれで、マーキング無しで使えることが分かった。
何回も繰り返せば、もっと正確に移動できるだろう。
そうすれば行ったことのない土地にも、行けるようになるかも知れない。

その日俺はセルバさんが夕食を呼びに来るまで、延々と空間魔法の練習を続けた。

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