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第3章 敬虔なる暴食
07話 勉強は大切です③
しおりを挟む翌日もセルバさんが、新たに持ってきてくれた本を読んで過ごした。
前の日に悪魔や魔物の本を頼んでいたので、一部絵本や子供向けの本が今日は混じっている。
積み上げられた本から、一冊を抜き取った。
タイトルは──
“馬鹿でも分かる魔物の生態①”
…………。
魔物関連の知識はないに等しいからありがたい、ありがたいけれど、セルバさんが俺のことをどう思っているか切実に聞きたくなった。
……他意はないよね?
俺のことを馬鹿だとか思ってないよね?
俺は引っ掛かりを覚えながらも、ページを開いた。
最初の項目は“魔物とは何か”であった。
魔物とは自然発生する魔力溜まりに多く生息し、非常に攻撃性の高い生物である。
また発生については、魔力過多な地域に長いこと生息していた生物が突然変異したものとされている。
危険度はF~Sでランク付けされており、Sが最も危険度が高い。
またCランク以上の魔物には、魔法を使用するものも存在する。
そして魔物には核(コア)と呼ばれる部分があり、その核(コア)は魔石として主にアクセサリーや武器、魔導具などに加工される事もある。
最初の項目はこんな感じの内容だった。
俺は家から出たことがほぼないのでまだ見たことがないが、田舎や町外れの森など魔力溜まりのある場所では多く見られるらしい。
その内、実物を見に行きたいな。
魔石も興味深いし。
魔導具やアクセサリーを自分で作るのも面白そうだ。
俺は次のページをめくる。
次の項目からはより詳しい生態についてだった。
魔物は主に夜行性のものが多く、日が沈むと力を増す。
魔物の中には肉食系のものが大半で、そういった魔物は人や家畜を襲い多大な被害を出している。
そういった被害を防ぐために冒険者ギルドがあり、依頼で魔物討伐を行う。
また魔物の中には、人間の女を孕ませる種も存在するようだ。
俺は最後のページまでめくり終えた。
魔物は前世のRPGに出てくるような設定だな。
冒険者ギルドなるものまで存在するようし、魔物はこの世界では害獣扱いだ。
俺は読み終わった本を端に置き、新たな本に手を伸ばす。
次の本のタイトルは──
“聖女伝説”
お伽噺の絵本みたいだ。
早速、本を開いた。
“むかし むかしの こと
とても へいわな くにが ありました
みんな なかよく くらして いました
しかし わるい こころを もった ひとたちが あらわれた のです
そのひとたちは それぞれ あくまと けいやくし ほかの ひとたちを くるしめ ました
ごうまん ふんぬ たいだ ごうよく しっと ぼうしょく しきよく
と なづけられた あくまたちは けいやくしゃの ありとあらゆる のぞみを すべて かなえ ひとびとに やくさいを もたらし ました
そんなとき くるしむ ひとびとを みかねた めがみさまが ひとりの こころ やさしい しょうじょに いいました
『あなたに ちからを あたえます
この ちからで ひとびとを すくい なさい』
ちからを あたえられた しょうじょは あくまを たおし おおくのひとびとを すくい ました
しょうじょは ひとびとから せいじょと よばれ みなに あいされ ました おしまい”
俺はすぐに読み終わり、本を閉じた。
何かゲームの内容と酷似してるな。
というか、まんまに近い。
あの女が言っていたゲームの概要と同じだ。
他の本も読んでみても、同じ様な感じだった。
そして、予想通り魔物は一般的に確認されているが、悪魔はお伽噺の存在の域を出ていない。
だがこれだけ酷似している以上、過去に実在していた可能性が高い。
元ネタが存在する筈だ。
悪魔は1度滅ぼされ、時間が経って今復活したということなのか?
……まぁ何にせよ数百年以上は前のことなので、これ以上詳しい情報は何処にも残っていない。
他の本も似たり寄ったりで、新たな情報はない。
せめて能力や弱点、攻略方法が分かればよかったんだが……
《コンコンコンッ》
ドアがノックされ、思考を中断した。
「リュー? 僕だよ、入っていいかな?」
「どうぞ、兄様」
ノックしたのは兄様だったようだ。
俺は兄様を部屋に招き入れた。
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