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第4章 リュート君誘拐事件!?
10話 ほのぼのお茶会
しおりを挟む王様や父様達と別れた俺は、オズ様達のいる部屋へ案内してもらった。
オズ様やエド様達とはルーベンスの事件以来ずっと会っていないので、こうして会うのは久し振りだ。
「お久し振りです、オズ様、エド様」
「あぁ、久し振りだな。ルーベンスの件は、レイから話を聞いている。ご苦労だったな」
「大活躍だと聞きました! 凄いです!」
俺の姿を認めるとオズ様は労いを、エド様は目を輝かせて誉めてくれた。
「僕だけの功績じゃないです。ユーリや兄様、沢山の人達の尽力あってこそですよ」
俺だけでは決してなし得ない。
強いて言うのなら、皆の勝利だ。
「ふっ、謙虚だな」
「そんなに謙遜しなくて良いですよ!」
「いえいえ、事実ですよ」
2人とのやり取りも久々だ。
平穏な日常が戻ってきたのだなと、改めて思う。
そうして、久し振りのお茶会が幕をあけた。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「へー、クレイシスの固有魔法ですか! 僕はまだ見たことないです! どんな感じでしたか?」
俺がルーベンスで見たユーリの魔法の事を話すと、エド様は興味深そうに目を輝かせた。
「クレイシスの……あれか……」
エド様とは反対に、オズ様は見たことがあるのか苦笑いだ。
「兄上は見たことがあるんですか?」
「あぁ、2回あるな」
「へぇ、どんな感じでしたか!?」
エド様は興味津々なようで、オズ様に食い気味に質問した。
「俺が見たのは5歳と……最近、8歳の時だな……凄いファンシーだった」
エド様の反応を見る限り、魔眼持ちとは子供にとってある種のヒーローのようなものだ。
オズ様の想像とは食い違っていたのかもしれない。
「5歳と8歳……では見え方が変わったんじゃないですか?」
ユーリの固有魔法は精神の在り方に依存する。
ふと、子供の5歳と8歳ではかなり差が出てくるのではないだろうかとオズ様に質問を投げ掛けた。
それにしてもユーリは5歳の時には、既に固有魔法を使えたのか……凄いな。
「そうだな……確かに2回目見たときの方が、より精巧になってた気がするな……」
「やっぱりそうなんですね……」
少し見てみたかったな。
ユーリが5歳の時のだから、もっとファンシーになっているのだろうか?
「2人だけ見たことがあるなんてずるいなぁ。僕も見てみたい」
俺達だけ見たことがあることに拗ねて、エド様は頬を膨らませた。
こういった所がユーリと一緒で子供らしい。
「そう拗ねるな。魔法の用途的には、見たことがない方がいいのだから……」
オズ様は少し呆れ気味に弟を宥めた。
確かに欠損を修復出来る回復魔法なんて、見たことがない方が平和だろう。
「確かにそうですが……」
「まぁ、いつか機会がありましたら見る事が出来ますよ」
まだ納得の行かない様子のエド様に俺は励ました。
非常時でなくとも、ユーリに魔力の余裕がある時があれば頼んでみるのもありだろう。
「そうだぞ、エド。それよりリュート、折角久し振りに会ったんだ。他の話も聞かせろ」
「あっ、じゃあその後でまた一緒に演奏しようよ!」
「はい。では話し終わった後、また一緒に演奏しましょう」
俺は請われるがまま2人に、回復魔法の魔導具の事やお祖父様達と新しい従者達の事を話した。
オズ様は特に回復魔法の魔導具の事を質問を交えながら、興味深そうに聞いていた。
将来、国のトップになるにあたり興味があるのだろう。
逆にエド様は新しい従者達の話に関心をもっており、今度紹介して欲しいと言った。
エド様はリリスのせいでボッチを余儀なくされているので、きっと交友関係を増やしたいのだろう……少し哀れだ。
機会があったら、エド様には2人を紹介しようと俺は心に決めた。
そして、あらかた話終えると約束通りエド様と2人でまた曲を奏でた。
オズ様も最初は聞いているだけだったが、途中から参加して3人での演奏になった。
オズ様は普段あまり弾かないらしいがかなり上手かった。
それこそ、リリスよりもずっと。
……流石、乙ゲー攻略対象者スペック。
兄様やオズ様なんかは、本当に壊れ性能だろう。
帰り際、以前用意していたプラネタリウムの魔導具を渡し、俺は迎えに来た父様と帰路についた。
プレゼントはとても喜んで貰えた。
今夜、早速使ってみてくれるそうだ。
喜んでもらえて、俺も何よりだ。
こうして、今日のお茶会は実に平和に終った。
本当に平和でよかった。
……いつものはどっかの誰かが乱入してくるから。
ほのぼの最高ー!!
次もこうだといいな。
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