箱庭のユウ

空丘 みーね

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一日

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人は、同じ一日を書いても、文の長さが全く異なる。
その一日が長い人もいれば、短い人もいる。
短くても、響く文章もあれば、長くても空虚なこともある。
ユウは短くて美しい文章を書ける人だとアイは知っていた。
それなのに、自分の文章ときたら、のびた蕎麦のように、つかみどころなく、味がいまひとつだと感じてしまう。

アイには天賦の才がある。親友だ。
それなのに応援できない。

好きなものが同じという理由だけで、遠ざけていい訳がないのにね。

カフェでコーヒーを飲みながら、なんとなく二人はおしゃべりを続ける。

「アイちゃん!また書いてきたの。続き見てくれない。」

アイは小説の綴られた大学ノートに目を通す。生き生きとしたファンタジーがそこにはあった。
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