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一章
10.狙われた瞳と不気味な新人メイド
王都の片隅にある、怪しげな骨董店。
その地下室で、二人の男が密談をしていた。
「……裏は取れたのか?」
黒いローブの男が問うと、向かいの男がニヤリと笑って頷いた。
「ああ。ネタ元は、最近結婚して実家の田舎領地に戻った元メイドだ。地元の茶会で、泣きそうな顔で相談していたらしい。『お仕えしていた坊ちゃんの目の色がどんどん抜けていく、心配だ』ってな」
男は続ける。
「ただの心配話だったが、そのメイドが勤めていたのは『アッシュフォールド公爵家』だ。さらに調べると、公爵家の三男坊が『原因不明の奇病』とかで、人目を避けて別邸に隔離されているらしい。表向きじゃあ『静養』だが、護衛の騎士すらつけていない。目立つのを避けている証拠だ」
ローブの男は、杖を強く握りしめた。
公爵家は、息子が病気だと思っている。だから隠している。だが、彼らのような裏社会の魔法研究者にはわかる。
「色素が抜け落ち、真っ白になる瞳」
……それは病気などではない。
「『魔力断絶アンチ・マギア』の瞳だ」
伝説上の突然変異。
あらゆる魔力を無効化し、吸収してしまう眼球。
もしそれを加工して「盾」や「兵器」にすれば、魔法使いを殺す最強の武器になる。歴史上に存在した伝説の武器だ。
「公爵家は宝の持ち腐れをしている。……我々が有効活用してやるべきだ」
「くくっ、違いねぇ。別邸にいるのは、古株のメイドや使用人。最近入ったのも、可愛いメイド一人だけだそうです」
「素人や女子供ばかりか。ザルだな。赤子の手をひねるようなものだ」
男たちは、下卑た笑い声をあげた。
彼らは知らない。
その「可愛いメイド」こそが、この王国で最も怒らせてはいけない最強であることを。
♢
別邸では、小さな異変が起きていた。
「ねえ、見た?」
「ええ……最近、廊下の曲がり角で一瞬だけ『女装した大男』が見えるのよ」
「でも目をこすると、いつものリゼルちゃんなのよね。私たち、疲れてるのかしら?」
メイドたちのそんなひそひそ話を、リゼルは壁の裏で聞いていた。
その顔は神妙だ。
(……マズい)
魔道具の出力が不安定になっている。
ヴェンキンスの奴、試作品だとは言っていたが、耐久性に問題があったか。
このままでは、衆人環視の中で魔法が解け、ラヴィエル様の目の前で「ピチピチのメイド服を着た姿」を晒すことになってしまう。
(修理に行かねば。……今すぐに)
だが、ヴェンキンスがいる王宮までは、馬車を使うと片道半日はかかる。
往復すれば夜になってしまう。ラヴィエル様をそんなに長く一人にはしておけない。
リゼルは決断した。
己の脚力で本気で走れば、往復でも二時間かからないはずだ。
「……申し訳ございません、ラヴィエル様。すぐに戻りますので」
リゼルは眉を下げ、この世の終わりのような顔でラヴィエルに告げた。
「街に『幻の茶葉』が入荷したとの情報が入りまして。どうしても私が直接目利きせねばならないのです」
もちろん嘘だ。だが、「魔道具を直しに行く」とは言えない。
「リゼルがそこまで言うなら、すごいお茶なんだね。行ってらっしゃい」
ラヴィエルは快く送り出してくれた。
リゼルは何度も何度も振り返りながら、屋敷を出た瞬間に──音速で消えた。
(待っていてくださいラヴィエル様! )
王宮に到着したリゼルに、ヴェンキンスは渋い顔をした。
『ヒビが入ってるね。完全に直すには3日かかるよ』
『ふざけるな。今すぐ直せ』
『無理だよ。……仕方ない、応急処置をしてあげる。ただし、激しく動くとパリーンといくから気をつけてね』
そのあと有名紅茶店で、リゼルは「幻の茶葉」をひったくるように、しっかり購入すると、応急処置された魔道具を胸に、再び別邸へと爆走した。
♢
リゼルがいなくなり、屋敷はいつもより寂しく感じた。
ラヴィエルは公爵家の図書室で本を読もうと、廊下を歩き出した。
──その時だった。
パリンッ……。
どこか遠くで、ガラスの割れるような音がした。
続いて、ドサッ、という重い音。
「……誰かいるの?」
返事がない。
屋敷の中が、急に静まり返ったような不気味な空気に包まれる。
(おかしい)
ラヴィエルの背筋に冷たいものが走る。
ラヴィエルはとっさに近くのクローゼットの影に身を潜めた。
コツ、コツ、コツ。
複数の足音が近づいてくる。使用人のものではない、革靴の重い音だ。
「おい、使用人どもは全員眠らせたな?」
「ああ。睡眠の魔道具を使った。朝まで起きねぇよ」
「ガキはどこだ。……2階か?」
(誰……!?)
強盗だ。それも、貴重な魔道具を使う手練れの。
ラヴィエルは震える手で口元を押さえた。
リゼルはいない。ここには騎士もいない。
父たちが「目立たないように」と配慮したことが、完全に裏目に出てしまった。
「おーい、出てこいよ坊ちゃん。痛い目には合わせないからさぁ」
男たちの声が近づいてくる。
見つかる。このままでは見つかる。
(……逃げなきゃ)
ラヴィエルは靴を脱ぎ、音を殺して裏口へ向かおうとした。
だが、廊下の曲がり角で、黒いローブの男と鉢合わせた。
「──ビンゴ」
「ッ!!」
「見つけたぞ、目のガキだ!」
男が手を伸ばしてくる。
ラヴィエルは恐怖で足がすくみそうになったが、その瞬間、リゼルの言葉が脳裏をよぎった。
『まずは、重心を落とします』
ラヴィエルはとっさに腰を落とし、男の腕の下をくぐり抜けた。
「なっ!?」
「逃げたぞ……!」
昨日の特訓は無駄じゃなかった。
ラヴィエルは全力で走った。
だが、相手は何人もいる。前方の階段からも、別の男が現れた。
「逃がすかよ!」
「あ……」
挟み撃ちだ。
男の一人がラヴィエルの腕を掴み、乱暴にねじり上げた。
「いたっ……!」
「ちょこまかと動きやがって。……へえ、近くで見るとすげぇな。だけど、まだ真っ白じゃねーな、ちょうどいい」
男がラヴィエルの顔を覗き込み、気味の悪い笑みを浮かべる。
「こいつぁ高く売れるぞ。白くなったら目玉だけくり抜くか? それとも生きたまま連れて行くか?」
「やめて……離して!!」
「暴れるな!」
男の手が、ラヴィエルの頬を打った。
頬と鼻が熱くなり、視界が明滅する。
床に叩きつけられ、ラヴィエルは涙目で男たちを見上げた。初めて経験する暴力。口いっぱいに血の味がし、震えが止まらない。
(リゼル……助けて……)
心の中で叫んだ。
いつもなら、どんなに小さなピンチでも駆けつけてくれる「不気味なメイド」は、今はいない。
「さあ、まずは眠ってもらおうか」
男は懐から青い石がはめられた水晶のような球体を取り出すと、ラヴィエルの顔の目の前で起動させた。
ブワッ……。
球体から薄紫色の煙が一気に噴き出し、ラヴィエルの顔を包み込む。即効性の催眠ガスだ。
「んっ……!」
息を止めようとしたが、遅かった。
甘たるい匂いが鼻腔を突き抜け、瞬く間に思考が白く濁っていく。
(だめだ……意識が……)
手足の力が抜け、床に崩れ落ちる。
薄れゆく視界の中で、男たちがニヤニヤと笑っているのが見えた。
「へへっ、簡単な仕事だったな」
「おい、丁寧に運べよ。商品に傷がついたら値が下がる」
男の一人が、ラヴィエルを荷物のように担ぎ上げる。
抵抗したいのに、指一本動かせない。
(助けて……怖いよ……)
「さあ、ずらかるぞ!」
視界が暗転する。
ラヴィエルは、深い絶望の闇へと沈んでいった。
ラヴィエルの意識が途切れ連れ去られたその数分後に別邸の庭に、隕石が落下したような衝撃音が響いた。
土煙の中から現れたのは、息一つ乱していないリゼルだった。手には「幻の茶葉」が入った小さな高級包みを、まるで聖遺物のように大切に抱えている。
「ただいま戻りました、ラヴィエル様! 奇跡的に最後のひと箱が……」
リゼルは満面の笑みで玄関の扉を開けた。
「……?」
静かだ。
あまりにも静かすぎる。
いつもなら、数は少ないが働くメイドや他の使用人たちの気配がするはずなのに今は全くしない。
リゼルの笑顔が、瞬時に凍りついた。
鼻をひくつかせる。
漂ってくるのは、紅茶の香りでも、厨房からの香りでもない。
安っぽい催眠ガスの残り香と、知らない男たちの体臭。
そして何より──この空間から、「神ラヴィエル」の匂いが消えている。
リゼルの視線が、床に落ちている小さなシミに釘付けになった。
玄関ホールの床に、点々と落ちる赤い液体。
血だ。
ラヴィエル様の、高貴で清らかな血の匂い。
「……あ?」
リゼルの喉から、人語とは思えない音が漏れた。
手の中で、高級茶葉の缶が「ぐしゃり」と握り潰され、粉々になる。
誰かが入った。
ラヴィエル様を連れ去った。
しかも、あろうことか、傷つけた。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
屋敷中の窓ガラスがビリビリと振動するほどの咆哮が轟いた。応急処置をしたばかりの魔道具が、胸元で悲鳴のようなきしみ声をあげるが、そんなことはもうどうでもよかった。
殺す。
全員、生きたまま肉を削いで肥料にしてやる。
リゼルは地面を蹴った。
痕跡を探す必要すらない。
自分の「命」を奪った万死に値する愚者の臭いなど、地獄の果てまで逃げようと逃しはしない。
その地下室で、二人の男が密談をしていた。
「……裏は取れたのか?」
黒いローブの男が問うと、向かいの男がニヤリと笑って頷いた。
「ああ。ネタ元は、最近結婚して実家の田舎領地に戻った元メイドだ。地元の茶会で、泣きそうな顔で相談していたらしい。『お仕えしていた坊ちゃんの目の色がどんどん抜けていく、心配だ』ってな」
男は続ける。
「ただの心配話だったが、そのメイドが勤めていたのは『アッシュフォールド公爵家』だ。さらに調べると、公爵家の三男坊が『原因不明の奇病』とかで、人目を避けて別邸に隔離されているらしい。表向きじゃあ『静養』だが、護衛の騎士すらつけていない。目立つのを避けている証拠だ」
ローブの男は、杖を強く握りしめた。
公爵家は、息子が病気だと思っている。だから隠している。だが、彼らのような裏社会の魔法研究者にはわかる。
「色素が抜け落ち、真っ白になる瞳」
……それは病気などではない。
「『魔力断絶アンチ・マギア』の瞳だ」
伝説上の突然変異。
あらゆる魔力を無効化し、吸収してしまう眼球。
もしそれを加工して「盾」や「兵器」にすれば、魔法使いを殺す最強の武器になる。歴史上に存在した伝説の武器だ。
「公爵家は宝の持ち腐れをしている。……我々が有効活用してやるべきだ」
「くくっ、違いねぇ。別邸にいるのは、古株のメイドや使用人。最近入ったのも、可愛いメイド一人だけだそうです」
「素人や女子供ばかりか。ザルだな。赤子の手をひねるようなものだ」
男たちは、下卑た笑い声をあげた。
彼らは知らない。
その「可愛いメイド」こそが、この王国で最も怒らせてはいけない最強であることを。
♢
別邸では、小さな異変が起きていた。
「ねえ、見た?」
「ええ……最近、廊下の曲がり角で一瞬だけ『女装した大男』が見えるのよ」
「でも目をこすると、いつものリゼルちゃんなのよね。私たち、疲れてるのかしら?」
メイドたちのそんなひそひそ話を、リゼルは壁の裏で聞いていた。
その顔は神妙だ。
(……マズい)
魔道具の出力が不安定になっている。
ヴェンキンスの奴、試作品だとは言っていたが、耐久性に問題があったか。
このままでは、衆人環視の中で魔法が解け、ラヴィエル様の目の前で「ピチピチのメイド服を着た姿」を晒すことになってしまう。
(修理に行かねば。……今すぐに)
だが、ヴェンキンスがいる王宮までは、馬車を使うと片道半日はかかる。
往復すれば夜になってしまう。ラヴィエル様をそんなに長く一人にはしておけない。
リゼルは決断した。
己の脚力で本気で走れば、往復でも二時間かからないはずだ。
「……申し訳ございません、ラヴィエル様。すぐに戻りますので」
リゼルは眉を下げ、この世の終わりのような顔でラヴィエルに告げた。
「街に『幻の茶葉』が入荷したとの情報が入りまして。どうしても私が直接目利きせねばならないのです」
もちろん嘘だ。だが、「魔道具を直しに行く」とは言えない。
「リゼルがそこまで言うなら、すごいお茶なんだね。行ってらっしゃい」
ラヴィエルは快く送り出してくれた。
リゼルは何度も何度も振り返りながら、屋敷を出た瞬間に──音速で消えた。
(待っていてくださいラヴィエル様! )
王宮に到着したリゼルに、ヴェンキンスは渋い顔をした。
『ヒビが入ってるね。完全に直すには3日かかるよ』
『ふざけるな。今すぐ直せ』
『無理だよ。……仕方ない、応急処置をしてあげる。ただし、激しく動くとパリーンといくから気をつけてね』
そのあと有名紅茶店で、リゼルは「幻の茶葉」をひったくるように、しっかり購入すると、応急処置された魔道具を胸に、再び別邸へと爆走した。
♢
リゼルがいなくなり、屋敷はいつもより寂しく感じた。
ラヴィエルは公爵家の図書室で本を読もうと、廊下を歩き出した。
──その時だった。
パリンッ……。
どこか遠くで、ガラスの割れるような音がした。
続いて、ドサッ、という重い音。
「……誰かいるの?」
返事がない。
屋敷の中が、急に静まり返ったような不気味な空気に包まれる。
(おかしい)
ラヴィエルの背筋に冷たいものが走る。
ラヴィエルはとっさに近くのクローゼットの影に身を潜めた。
コツ、コツ、コツ。
複数の足音が近づいてくる。使用人のものではない、革靴の重い音だ。
「おい、使用人どもは全員眠らせたな?」
「ああ。睡眠の魔道具を使った。朝まで起きねぇよ」
「ガキはどこだ。……2階か?」
(誰……!?)
強盗だ。それも、貴重な魔道具を使う手練れの。
ラヴィエルは震える手で口元を押さえた。
リゼルはいない。ここには騎士もいない。
父たちが「目立たないように」と配慮したことが、完全に裏目に出てしまった。
「おーい、出てこいよ坊ちゃん。痛い目には合わせないからさぁ」
男たちの声が近づいてくる。
見つかる。このままでは見つかる。
(……逃げなきゃ)
ラヴィエルは靴を脱ぎ、音を殺して裏口へ向かおうとした。
だが、廊下の曲がり角で、黒いローブの男と鉢合わせた。
「──ビンゴ」
「ッ!!」
「見つけたぞ、目のガキだ!」
男が手を伸ばしてくる。
ラヴィエルは恐怖で足がすくみそうになったが、その瞬間、リゼルの言葉が脳裏をよぎった。
『まずは、重心を落とします』
ラヴィエルはとっさに腰を落とし、男の腕の下をくぐり抜けた。
「なっ!?」
「逃げたぞ……!」
昨日の特訓は無駄じゃなかった。
ラヴィエルは全力で走った。
だが、相手は何人もいる。前方の階段からも、別の男が現れた。
「逃がすかよ!」
「あ……」
挟み撃ちだ。
男の一人がラヴィエルの腕を掴み、乱暴にねじり上げた。
「いたっ……!」
「ちょこまかと動きやがって。……へえ、近くで見るとすげぇな。だけど、まだ真っ白じゃねーな、ちょうどいい」
男がラヴィエルの顔を覗き込み、気味の悪い笑みを浮かべる。
「こいつぁ高く売れるぞ。白くなったら目玉だけくり抜くか? それとも生きたまま連れて行くか?」
「やめて……離して!!」
「暴れるな!」
男の手が、ラヴィエルの頬を打った。
頬と鼻が熱くなり、視界が明滅する。
床に叩きつけられ、ラヴィエルは涙目で男たちを見上げた。初めて経験する暴力。口いっぱいに血の味がし、震えが止まらない。
(リゼル……助けて……)
心の中で叫んだ。
いつもなら、どんなに小さなピンチでも駆けつけてくれる「不気味なメイド」は、今はいない。
「さあ、まずは眠ってもらおうか」
男は懐から青い石がはめられた水晶のような球体を取り出すと、ラヴィエルの顔の目の前で起動させた。
ブワッ……。
球体から薄紫色の煙が一気に噴き出し、ラヴィエルの顔を包み込む。即効性の催眠ガスだ。
「んっ……!」
息を止めようとしたが、遅かった。
甘たるい匂いが鼻腔を突き抜け、瞬く間に思考が白く濁っていく。
(だめだ……意識が……)
手足の力が抜け、床に崩れ落ちる。
薄れゆく視界の中で、男たちがニヤニヤと笑っているのが見えた。
「へへっ、簡単な仕事だったな」
「おい、丁寧に運べよ。商品に傷がついたら値が下がる」
男の一人が、ラヴィエルを荷物のように担ぎ上げる。
抵抗したいのに、指一本動かせない。
(助けて……怖いよ……)
「さあ、ずらかるぞ!」
視界が暗転する。
ラヴィエルは、深い絶望の闇へと沈んでいった。
ラヴィエルの意識が途切れ連れ去られたその数分後に別邸の庭に、隕石が落下したような衝撃音が響いた。
土煙の中から現れたのは、息一つ乱していないリゼルだった。手には「幻の茶葉」が入った小さな高級包みを、まるで聖遺物のように大切に抱えている。
「ただいま戻りました、ラヴィエル様! 奇跡的に最後のひと箱が……」
リゼルは満面の笑みで玄関の扉を開けた。
「……?」
静かだ。
あまりにも静かすぎる。
いつもなら、数は少ないが働くメイドや他の使用人たちの気配がするはずなのに今は全くしない。
リゼルの笑顔が、瞬時に凍りついた。
鼻をひくつかせる。
漂ってくるのは、紅茶の香りでも、厨房からの香りでもない。
安っぽい催眠ガスの残り香と、知らない男たちの体臭。
そして何より──この空間から、「神ラヴィエル」の匂いが消えている。
リゼルの視線が、床に落ちている小さなシミに釘付けになった。
玄関ホールの床に、点々と落ちる赤い液体。
血だ。
ラヴィエル様の、高貴で清らかな血の匂い。
「……あ?」
リゼルの喉から、人語とは思えない音が漏れた。
手の中で、高級茶葉の缶が「ぐしゃり」と握り潰され、粉々になる。
誰かが入った。
ラヴィエル様を連れ去った。
しかも、あろうことか、傷つけた。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
屋敷中の窓ガラスがビリビリと振動するほどの咆哮が轟いた。応急処置をしたばかりの魔道具が、胸元で悲鳴のようなきしみ声をあげるが、そんなことはもうどうでもよかった。
殺す。
全員、生きたまま肉を削いで肥料にしてやる。
リゼルは地面を蹴った。
痕跡を探す必要すらない。
自分の「命」を奪った万死に値する愚者の臭いなど、地獄の果てまで逃げようと逃しはしない。
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