ナイショの妖精さん

くまの広珠

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6 ヨウちゃんの気持ち・あたしの気持ち

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 ヨウちゃんにケータイをさしだしたら、ヨウちゃん、耳にケータイをつけて、息をすぅ~。


「ふざけんな、誠っ!!  勝手に人を巻き込むなっ!! 」


 きゃ~っ!!


 とつぜんの大声に、あたしの耳までキーン!

 そばで、鵤さんが苦笑いしてる。踊っていた妖精たちも、上空で目をパチパチさせている。


「うわ~、うるっさいな~。耳がつぶれたらどうすんだよ。なんだよ、葉児もそこにいたの~?」


「おまえ、もうインフルエンザ治ってんだろっ!?  なんで学校出て来ないんだよっ!? 」


「あはは~。残念ながら、ただ今、外出禁止期間中です~。インフルエンザは人にうつったらたいへんだからね。熱が下がってから二日たたなきゃ、学校に行けない決まりなんだよ~だ」


 ホントに。ヨウちゃんの耳から、誠の大きな声、ダダもれ。


「いいじゃん、葉児。デートだよ?」


「……え?」


 ヨウちゃんの目がしばたいた。


「オレのかわりに、和泉とイチャイチャしてきなよ」


 う……。


 ヨウちゃんが横目であたしを見てくる。

 あたしが、目をそらしてうつむくと、ヨウちゃんは自分の首後ろに手を置いた。


「……そんなの。おまえに言われなくても、じゅ~ぶんイチャイチャしてんだよ……」





 って。……なんか、気まずい……。


 ヒースの茂みに妖精たちをのこして。

 鵤さんと手をふって、わかれて。ふたりきりになった、浅山からの帰り道。


 登山道を歩くあたしたちの手は、つながれないまま、宙ぶらりんでゆれている。


 だって……。ママに「人前でイチャつくな」って言われてるし……。


 でも……だれも歩いてない山道って、「人前」? 「人前じゃない」?

 誠にあんなエラそうなことを言っておきながら、ヨウちゃんだって、あたしの目を見ずに知らんぷり。


 なによ……ちっともイチャイチャしてないじゃん……。


 登山道の出口が見えてきた。

 ここからは、アスファルトのくねくね道。くだっていくと、ヨウちゃんちのある、高台の住宅街に出る。


 あ~あ。「人とすれちがわない、ふたりきりの道」終わっちゃったぁ。


「はぁ」って息をはきだして、あたし、アスファルトで立ちどまった。


「……あのね、ヨウちゃん。あたしって、運動オンチでしょ?」


「……は?」


 先を歩き出していたヨウちゃんが、あたしをふり返る。


「勉強もできないし、音痴だし、なんの才能もなくて。アホっ子で、ドジばっかり」


「綾……? もう、やめろって。そういう自分をおとしめるようなこと言うの……」


「だからね、あたし、羽が大事なの」

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