昼の月

Aoto

文字の大きさ
上 下
2 / 3
第2章

八重歯

しおりを挟む
保健室に行き、授業をサボり家に帰ってきた私は、玄関で見知らぬ靴を見つけた。
その靴は土と血で汚れていて、無造作に履き捨てられていた。

(どうしてだろう。
この家には私しか住んでいないのに...)

水無月 絢は高校生にして一人暮らしだった。

理由は不明だが、親は小さい時に亡くしているらしい。

「誰か、いるの?」

「あや、絢」

(お母さん?)

「お母さんなの?」

「あや、絢なのね
     そうよ、あなたのお母さん」

私は、お母さんの声がする方へ駆け寄った。
でも、そこに居たのは血だらけの雌オオカミと、朝あった八重歯の男の子だった。

不思議と、怖くなかった。

違和感も何も感じなかった。

むしろ、本当の居場所を見つけた感じがした。

私は、八重歯の男の子に聞いてみた。

「ねえ、君は今日の朝あった男の子だよね?
            そのヒトは私のお母さんなの?」

意外と彼はすぐに答えてくれた。

「ああ、2つともイエスさ。
   君はやっぱり、昨日の夜にあの場所にいた子だったんだね。」

「あのね、私夜の記憶が無いの
     本当に昨日の夜に私に会っているのなら私のことについて教えて欲しいの。
       あと、君はなぜ私の家にいるの?」

「一気に聞かれると困るな~
     いいよ、君のこと教えてあげる
      その代わり、僕にも学校のこと教えてね。」

   「わかった、ありがとう」

  「まずひとつ、君は記憶が無いんじゃない。
君が記憶から逃げてるいだけだ。君が記憶を取り戻そうと思わないと何も始まらない。あと、僕がここに来た理由は君の記憶を取り戻すためだ。」

  「私の記憶?」

    「ああ、そうだよ。君の記憶だ。
じゃあ、行こっか記憶探しに。」


「うん?」

 (勢いでテキトーに答えてしまった。
ここから私たちの記憶探しの旅が始まった。)
しおりを挟む

処理中です...