昼の月

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第3章

旅の支度

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「ねえ、旅ってどこに出かけるの?
何を持ってけばいい?」

旅に出ることになった私は、八重歯の男の子に問いかけた。

  「ん、なんにもいらないよ、どこにも出かけないし」

(え?なんにもいらない。しかも、どこにも行かない。どういうことなの?)

「じゃあ、具体的に旅ってどういうことするの?」

答えは、
    「あんたの監視」

       「え?え?!」

     「監視っていても、ビデオであんたの夜の行動を撮って後で見るだけだよ」

    (良かったー。
         びっくりしたわ)

     「今日から?」

     「うん、
      俺、トイレで夜中監視してるから安心して」

      「あ、わかった」

     (やばい、安心できない。むしろ緊張する)

      「ねね、君の名前なんて言うの?」

     彼女は不意に彼の名前を訪ねた

    「出雲 傑」

    「いずも  すぐる?」

    「ああ、」

     「私の名前は...」

     彼女が名前を言っている途中で傑が口をはさんだ。

     「水無月 絢 だろ?」

    「なんで知ってるの?私まだ、教えてないよね」

     「なんでだろーな、記憶を思い出したら分かるんじゃねーか?」

    傑は笑顔でそう答えた。

    「早く記憶取り戻せよ」

     「うん」

  (なんか、嬉しいや)



                                                                       続く
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