魔力を持つ人間は30歳までに結婚しないといけないらしい

ここりす

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40 甘いデートの続き

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カフェは薄いブルーのオシャレなガラス張りの建物で、店内は白でまとめられていて可愛い。ショーケースにはケーキが豊富に並び、焼き菓子の種類も充実している。

「素敵・・・どれもほし」

(危ない・・・ミハイルにまた全部買い占められてしまう所だった)

「来れてよかったね。どれが食べたいの?」

「ずっとミハイルに出して貰ってばっかりだし、ここは私がご馳走するよ」

「マールが気になってるもの選びなよ」

その言葉頷くと焼き菓子の棚をじっくり眺める。

(とりあえず全種類1個ずつ買って、職場にも買おう)

隣りでカゴを持つミハイルにどんどん渡す。

(ユリアさんは4人家族で、ミリアとクラリスは結婚したから2人で、あとは・・・)

「いつもより沢山カゴに入れているけど、誰かにプレゼントするの?」

「職場でお世話になってる人達にね」

「男?」

「みんな女性だよ、ご家族の分も含めてね」

「マールは優しいね」

「ミハイルは気になってる商品ない?」

「マールが全部一口くれるんでしょ?」

「ふふっ、バレた?」

美味しい物は共有したいため、仲のいい人にはすぐに「一口食べる?」と聞いてしまうところがある。


焼き菓子のラッピングを頼むと、後払い制のため私はケーキと飲み物、ミハイルは飲み物だけを選び席に案内される。ケーキが来るまで、紅茶を飲んでひと息ついた。


「今日はたくさん付き合って貰っちゃってごめんね」

「楽しかったよ。外でゆっくりデートするのも悪くないね」

「ミハイルはデートで行きたい場所はないの?」

「あるよ、暖かくなったら行きたい場所なんだ」

ミハイルの言葉に黙り込む。

(暖かくなる頃までだと、ギリギリ魔法が解けるか分からない時期だ・・・)

私の気持ちを悟ったのか、安心させるように机にある私の手の上にあたたかい手が重ねられる。



「大丈夫、必ず一緒に行くよ」

(・・・ミハイル)



見つめ合っていたら、ケーキが届いた。
大きなお皿にケーキが乗っており、周りにフルーツとソースが添えられていて見た目も華やかで可愛い。

「かわいい!噂には聞いてたけど、こんなに見事なケーキ初めて!」

ミハイルもニコニコと私を眺めている。

「こんなに綺麗でもったいないけど・・・食べよう」

パクリと口に入れると、優しい甘みと新鮮なフルーツの味が広がり感動する。

「こんなに美味しいケーキ初めて・・・・・「一口食べる?」」

ミハイルに同じ言葉を被せられる。

「ふっ、絶対言うと思った」

「ねえ、ミハイルも食べて!感動するよ!」

ミハイルは向かいで口を開けて待っている。

私はできる限り美味しいところを食べて欲しいので、フォークにたくさんケーキを乗せてミハイルの口に突っ込む。

「んん・・・美味しい」

クリームを口の周りに付けるミハイルはとても可愛かった。

「ふふっミハイル可愛いね」

ペロリと舌で舐めとるミハイルに艶めかしさを感じ、ケーキに視線を移した。

「マール、家に帰ったら沢山お返しするからね」

ミハイルの熱の篭った声に家に帰るのが怖くなり、ケーキを堪能することに集中した。



帰る前にミハイルからリップを直すことを勧められたので、化粧室へ行きメイクを直す。

席に戻ると焼き菓子のラッピングが済んだのか、紙袋が置かれていた。

ミハイルは私が戻ってきたのを確認すると紙袋を持ち、私の手を握る。会計を素通りするミハイルを慌てて止めるがそのまま店を出て店員さんに見送られる。

「ミハイル!もしかして・・・」

「ああ、僕は君に払わせるつもりは無いよ。これからもね」

「甘やかし過ぎだよ」

「愛する妻を甘やかして何が悪いの?」

「私も、愛する・・・夫を甘やかしたいの!」

繋いでいた手が離れたかと思うと腰に腕を回され強く引き寄せられる。

耳へ触れるように低い声で囁かれた。


「愛する夫をベットで甘やかして」





家の扉が閉まると、玄関で深く長い口付けをされる。先ほどケーキを食べたからか、いつもより甘い口付けに、溶けてしまいそうになる。

「んんっ・・・ミハ、イル」

「んっ、ずっと、こうしたいって、はあっ・・・思ってた」

息が上手く出来なくて、甘いキスから離れるが、すぐに捕まり逃げられないように両手で顔を包み込まれ舌が絡み合う。

溢れる唾液を飲み込み、彼の舌に応える。

んちゅ・・・ちゅっ・・・

顔を掴んでいた手が下に降り、いやらしく服の上からミハイルの指が動く。

「ああっ、ここじゃ、だめっ」

「待てない」

今にも崩れ落ちそうになりながら、必死にミハイルの首に腕をまわした。


「愛する夫を、ベットで甘やかしたいの」



バァンッーーーー

強い力で夫婦の寝室の扉が開く。
ミハイルは一心不乱にベットまで抱きかかえて運ぶと、押し倒された。

「はあ、はあっ・・・君は僕を操るのが上手いね」

愛おしい彼の髪にさらりと指を通す。

「ふふっ」

「さあ、僕の妻はどんな風に甘やかしてくれるの」



******



翌朝目覚めると、隣には寝ているミハイルの綺麗な顔があった。

耳には私のモチーフのピアスさがれてる。

チャリ・・・

自分の耳に触れると、同じ形のピアスの手触りがあり、きっと彼モチーフのピアスをしているんだと想像する。

「ふふっ」

お互いの所有物かのようなピアスに恥ずかしさを感じつつ、満たされた気持ちになる。



(貴方はいつまで、私のものなんだろう)



未来への不安を感じつつ、今は彼の寝顔をそっと眺めることにした。
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