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55 夢で会えたら
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「はぁー、・・・」
気持ちをゆっくり整理したいのに、魔法が解けてからも元のミハイルと関わっているので、一日を1人で過ごしたとこがない。お風呂の時と寝る時ぐらいが私の時間だ。
私はお湯に浸かると、涙を拭ってもらった優しい指先を思い出した。
魔法にかかったミハイルとの日常を経験したいと言われ、甘い夫婦の時間以外のことは伝えた。
きっと彼は察しているんだろう。深くは聞いてこなかったが、とても傷付いた顔をしていた。
そんな彼に私がミハイルに恋に落ちた時の話も、出来ないでいた。
元に戻ってから一緒にいる時間が長くなってしまった分、見た目が同じ彼をどうしてもミハイルと重ねてしまう。
私はまた、彼の苦しそうな表情を見ることしか出来なっかった。
罪悪感を感じながらも、私は愛おしい彼を思う。
(ミハイル・・・)
彼に開けてもらったピアス穴に触れる。
(夢の中でもいいから1度だけ会えたらいいのに・・・)
ミハイルとの甘い思い出を振り返っていると、長く浸かり過ぎたらしく、お風呂から出た所で私の意識がなくなった。
「・・・ール、マール・・・」
優しく抱きかかえられて、私は共有スペースのソファーにいるみたいだ。
2人の甘い時間の時はこうして座っている。
ぼんやりと見上げると、そこには私の顔を覗くミハイルがいた。
私は夢に見ていた彼に会えてポロリと涙を流す。
「やっと、会えたね」
ミハイルがそこにいることを確かめたくて顔に手を添えて頬を撫でるが、ミハイルは私の表情に固まっている。
「ふふっ、いつもみたいに泣きボクロにキスしてくれないの?」
夢だからなのか愛おしい彼は動かない。
「もう一度、貴方に会いたいって思ってた・・・」
「諦めて・・・くれ」
朦朧としながら、弱い力で彼の手を取ると頬を擦り寄せる。触れる肌からは懐かしいあたたかさを感じた。
目の前にいる彼に自分の気持ちを伝える。
「ミハイル、愛してる」
私の弱い鎖は解かれず、彼の手の温もりを抱きかかえて涙を流す。私を見下ろす紫の瞳は甘いのに、酷く悲しそうに潤んで見えた。
夫婦の時間を過ごす時のように甘く見つめ合っていると、ミハイルが動き出す。
「マール」
夢にまで見ていた名前を呼ばれ、蕩けるように微笑む。
その夢から切り離すかのように、今にも涙が零れ落ちてしまいそうな彼の唇から冷たい水が流し込まれる。
愛おしい唇を受け入れるようにそのまま飲み込み、まだミハイルと会っていたい私は眠りについた。
目が覚めると、夫婦の寝室でひとり寝ていた。
(あれ・・・私、どうしてここに)
起き上がると下には何も着用しておらず、ミハイルの匂いがするシャツを着ていた。
「えっ!?・・・っ」
ズキンッーーー
(頭が、痛い・・・・)
「起きたのか」
声がする方を確認すると、ミハイルが部屋に入ってくるのが見えた。
「昨日風呂で倒れていたんだ。勝手に鍵のかかった君の部屋に入って着替えさせる訳にもいかなかったから、嫌だろうが僕の服を着せている。その・・・なにも、見ていない!」
彼は顔を真っ赤にしながら目が泳いでいる。
「あ・・・ありがとう」
恥ずかしさよりも、頭の痛さが勝つ。
のぼせて倒れたからなのか、ズキンズキンと痛みが頭に響くが、今日も仕事があるためなんとかベットから立ち上がる。
「おい、そんなフラフラでっ」
倒れそうになったミハイルに力強く抱き留められると、その近さから思わず彼を思い出しそうになる。
「んっ・・・」
「無理、するな」
なぜか抱きしめたまま頭を優しく撫でられる。
「ほら、こっちを向いて」
まるでミハイルのような甘い声に驚き見上げると、額に唇が触れた。
優しく唇が離れると、頭の痛みが消えていた。きっと回復魔法を使ってくれたのだろう。彼の腕の中でお礼を伝える。
「あの、ありがとう・・・」
シャツ一枚しか着ていないので、ミハイルから抱きしめられいる体温に反応してしまいそうになる。
「もう、大丈夫だから離して」
「妻にこうすることは、いけないことなのか」
ミハイルが魔法にかかってから初めて抱きしめられた時の言葉を思い出し、抵抗が出来なくなった私は、気が済むまで彼に抱きしめられていた。
気持ちをゆっくり整理したいのに、魔法が解けてからも元のミハイルと関わっているので、一日を1人で過ごしたとこがない。お風呂の時と寝る時ぐらいが私の時間だ。
私はお湯に浸かると、涙を拭ってもらった優しい指先を思い出した。
魔法にかかったミハイルとの日常を経験したいと言われ、甘い夫婦の時間以外のことは伝えた。
きっと彼は察しているんだろう。深くは聞いてこなかったが、とても傷付いた顔をしていた。
そんな彼に私がミハイルに恋に落ちた時の話も、出来ないでいた。
元に戻ってから一緒にいる時間が長くなってしまった分、見た目が同じ彼をどうしてもミハイルと重ねてしまう。
私はまた、彼の苦しそうな表情を見ることしか出来なっかった。
罪悪感を感じながらも、私は愛おしい彼を思う。
(ミハイル・・・)
彼に開けてもらったピアス穴に触れる。
(夢の中でもいいから1度だけ会えたらいいのに・・・)
ミハイルとの甘い思い出を振り返っていると、長く浸かり過ぎたらしく、お風呂から出た所で私の意識がなくなった。
「・・・ール、マール・・・」
優しく抱きかかえられて、私は共有スペースのソファーにいるみたいだ。
2人の甘い時間の時はこうして座っている。
ぼんやりと見上げると、そこには私の顔を覗くミハイルがいた。
私は夢に見ていた彼に会えてポロリと涙を流す。
「やっと、会えたね」
ミハイルがそこにいることを確かめたくて顔に手を添えて頬を撫でるが、ミハイルは私の表情に固まっている。
「ふふっ、いつもみたいに泣きボクロにキスしてくれないの?」
夢だからなのか愛おしい彼は動かない。
「もう一度、貴方に会いたいって思ってた・・・」
「諦めて・・・くれ」
朦朧としながら、弱い力で彼の手を取ると頬を擦り寄せる。触れる肌からは懐かしいあたたかさを感じた。
目の前にいる彼に自分の気持ちを伝える。
「ミハイル、愛してる」
私の弱い鎖は解かれず、彼の手の温もりを抱きかかえて涙を流す。私を見下ろす紫の瞳は甘いのに、酷く悲しそうに潤んで見えた。
夫婦の時間を過ごす時のように甘く見つめ合っていると、ミハイルが動き出す。
「マール」
夢にまで見ていた名前を呼ばれ、蕩けるように微笑む。
その夢から切り離すかのように、今にも涙が零れ落ちてしまいそうな彼の唇から冷たい水が流し込まれる。
愛おしい唇を受け入れるようにそのまま飲み込み、まだミハイルと会っていたい私は眠りについた。
目が覚めると、夫婦の寝室でひとり寝ていた。
(あれ・・・私、どうしてここに)
起き上がると下には何も着用しておらず、ミハイルの匂いがするシャツを着ていた。
「えっ!?・・・っ」
ズキンッーーー
(頭が、痛い・・・・)
「起きたのか」
声がする方を確認すると、ミハイルが部屋に入ってくるのが見えた。
「昨日風呂で倒れていたんだ。勝手に鍵のかかった君の部屋に入って着替えさせる訳にもいかなかったから、嫌だろうが僕の服を着せている。その・・・なにも、見ていない!」
彼は顔を真っ赤にしながら目が泳いでいる。
「あ・・・ありがとう」
恥ずかしさよりも、頭の痛さが勝つ。
のぼせて倒れたからなのか、ズキンズキンと痛みが頭に響くが、今日も仕事があるためなんとかベットから立ち上がる。
「おい、そんなフラフラでっ」
倒れそうになったミハイルに力強く抱き留められると、その近さから思わず彼を思い出しそうになる。
「んっ・・・」
「無理、するな」
なぜか抱きしめたまま頭を優しく撫でられる。
「ほら、こっちを向いて」
まるでミハイルのような甘い声に驚き見上げると、額に唇が触れた。
優しく唇が離れると、頭の痛みが消えていた。きっと回復魔法を使ってくれたのだろう。彼の腕の中でお礼を伝える。
「あの、ありがとう・・・」
シャツ一枚しか着ていないので、ミハイルから抱きしめられいる体温に反応してしまいそうになる。
「もう、大丈夫だから離して」
「妻にこうすることは、いけないことなのか」
ミハイルが魔法にかかってから初めて抱きしめられた時の言葉を思い出し、抵抗が出来なくなった私は、気が済むまで彼に抱きしめられていた。
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