魔物と共にこの過酷な世界を生きる。

やまたのおろち

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1章

砂漠の仲間と祖国の客人

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こうして、ワイバーンはついに倒れた。そしてそれと同時にキジクジャク、アルタイル、グリフォン。そして、ハリムとアリサは力尽きたのか倒れた。おかしいな、僕の計画だとここまで被害は出ないはずだったんだが。これが悪運覚醒ってやつか。

「とりあえずらワイバーンを仲間にしておこう」
飛行組と人間組は倒れたが陸上組はまだまだ元気だ。メアリがさっきからサソリサバクサイヘビオオトカゲを同時に相手してるが、まあ大丈夫だろ。

「って、オオトカゲとサバクサイ!?」

仲間にする目標の2体じゃないか、これはチャンスだ!

「メアリ、サソリとヘビはいいけどオオトカゲとサバクサイは戦闘不能状態で置いといてくれ!」

「ッッ!」
あ、そんなことはわかってる?
ごめんなさい、余計なお世話でした。

俺はグリフォン、アルタイル、キジクジャクを魔物杖にしまった。ちなみに、グリフォンにはベガと名前をつけることにした。
ハリムとアリサ、そしてワイバーンの護衛はファラクに任せ、俺はブライガーと共にメアリの助太刀に向かった。

「グャ!?」

オオトカゲの方は倒れた。あとはサバクサイだ。もっともサバクサイの方も満身創痍だが。

「ニャ!」

ブライガーがサバクサイに飛びかかり噛みついた。サバクサイはもはや抵抗する気力も無くなったようで戦闘不能になった。


「まさかこんなに仲間が増えるとは…」
本当はグリフォンだけのはずだったんだけど、何故かワイバーンとサバクサイとオオトカゲのおまけがついてきた。どーなってんの?

目標は達成したし、これ以上旅を続けるとハリムとアリサがまずいので街へと帰ることにした。まさかここまで大激闘になるとは思わなかったが、それに似合う収穫があった。ちなみにハリムとアリサはファラクの上に寝かせている。この前まで殺し合いしてたばっかなのに、ファラクは快く了承してくれた。

「やっぱり、性格が丸くなってる気がする」
なんか、野生のときは何者かに操られてたりすんのかな?


「で、無事に帰って来れたんやな。いやぁー、やっぱすごいわ。君」

「ハリムさんとアリサさんも凄かったよ。あの人たちがいなかったら、100%負けてたから」

俺は街へと帰ってきてアガスと話をしていた。ちなみに、ハリムとアリサは今は病院にいる。1時間寝たら回復した、と聞いたときは流石に驚いた。バケモンだろ。
俺たちがグリフォン討伐をしてるとき、アガスとサフンの2人はデスワーム討伐をしていたらしい。デスワームも陸上だとなかなか強い生物のはずだったが、それは気のせいかな?

「ガゥ!」

「お、これが仲間にしたっちゅうワイバーンやな。なんというか、ツヤがあってええなぁ」

ヴァイと名付けたワイバーンの体は緑色の鱗で守られており、結構ツヤがあって綺麗。
そして俺はアガスと雑談してもはやお得意となっている宿屋へと帰った。宿屋に毎回金を使うのはイヤなので、流石に拠点が欲しい。

あ、あと今回仲間にしたヴァイとベガの2人は騎乗することができた。
ヴァイは移動速度とかは高いけど乗り心地はあまり良くなくてベガは乗り心地はいいけど移動速度はヴァイやキジクジャクに劣る。

「ただ、どっちも戦闘能力はかなり高いんだよな」

そうなのだ。ワイバーンやグリフォンというレアな生き物であるためかかなり強い。空中戦じゃなくても活躍することは火を見るより明らかだ。

「それは今回別で仲間にしたサバクサイも同じだけどな」

バサと名付けたサバクサイだが、タンク能力がそれなりに高い。今はまだレベル26なのでアレだが、育てたらかなり使える優秀な仲間になるだろう。ちなみに、今回仲間にしたオオトカゲはサバクサイと違って戦闘はあまり得意ではない。しかし…

「この毒!毒が強いんだよなぁ!」

今までチュウトカゲの毒には何度も助けられてきたが、それはもうファラク戦で使い切ってしまった。なので、チュウトカゲの代わりにドクカゲと名付けたオオトカゲに毒を生み出してもらおうということである。だが…

「なんか……うん」

毎度の如く薬草が入っていた袋に毒を吐かせているのだが…なんか光景が

「エチケット袋に吐瀉物吐いてる人みたい」

「キュー!キュー!!」

「ごめんって」

ドクカゲが自分の巨体を揺らしながら心外だと言ってくる。チュウトカゲはコモドドラゴンより一回り小さいくらいの大きさなのだが、オオトカゲは逆にコモドドラゴンより一回り大きいくらいの大きさである。ちなみに、前世の世界にいたオオトカゲとこの世界のオオトカゲは名前が同じだけで全く異なる存在だ。

「確かオオトカゲとチュウトカゲは同一個体だって説もあるんだったっけ」

チュウトカゲはオオトカゲの幼少期個体なのではないかという説がある。実際、チュウトカゲは生後しばらくすると少しずつ砂漠の方へと向かっていくらしい。まあ…大半は他の魔物に食べられてしまうのだが。砂漠へと辿り着くトカゲの数はかなり少ないからオオトカゲはレアなのだ。

「まあ、わからんけどな」

魔物使いなら聞けばわかるじゃんと思うかもしれない。そう!実際ドクカゲに聞いてみたんだよ。でも、その問いの答えは「昔のことは忘れちゃった、もう覚えてない」だった。

「まあ、俺だって赤ちゃんのときとか覚えてないもんな…」

まあまあそれはともかく。このオオトカゲの毒、中々優秀なのだ。チュウトカゲの毒は微力なものであったがオオトカゲは別。そこそこ強い毒液を持っているのだ。
チュウトカゲとオオトカゲの両方と戦ったことのあるメアリ曰く、オークとブラッドタイガーくらい毒の強さに差があるらしい。
だがその毒もこの銅の剣は溶かすことはできない。なので銅の剣に毒を塗って戦う戦術も問題なくできる。

「なんか俺って銅の剣から全然卒業できないな…」

基本戦闘は仲間に任せて自分は指揮をしているからな。自分も直接攻撃をすることはあるが、それも仲間のサポートが目的なのでわざわざ高くて強い剣を買う必要は俺にはない。その枠はオリオンに譲った。

「オリオンは人型だからいいよな」

この前もベガに乗ってヴァイにとどめ刺してたし。かっけぇ。

「さて、そんなことより。もうこんな時間だし明日に備えて寝よう」

今は…夜の12時くらいだろうか?寝るのは大事だ、俺は寝る。




「気持ちのいい朝だ、おまえたちもそう思わないか?」

「ツクツク!」
「シュルシュル!」

俺はアオやキジクジャクたちと呑気に散歩をしている。もうこの街でやることは特にないからな。そろそろカリヨネッタに行ってもいいころかな?

「あーでも、マンティコアとか仲間にしにいっていいかも」

マンティコアは陸上と飛行の両方の戦力がないと倒せない魔物だからな。陸上も飛行も戦力が整ってきたし、そろそろ挑んでもいい頃だ。理由は…今は言う時間はないようだ。


「貴様、カトウミナトだな?」

突然、金髪の…少年?青年?怪しいところだが…まあ、俺と同い年くらいの男が話しかけてきた。

「お!君、俺のことを知っているのか?まいったな、とうとう俺も人気者か。あ、サインとかいる?」

「ああ、知っているさ。当然だとも…俺は貴様を捕縛しにきたのだからな!」

は?

「俺はラグナロクの剣聖、ゼアトだ。大人しくついてこい、でなければ力づくだ」

は?

「は?嫌だが?」

なあ、亡命ってそんなに悪いことだったっけ?
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