神楽みほり。23歳OL。副業で魔法少女やってます!

micoco

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島津八郎。50歳部長。魔法少女、デビュー。 ①

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「今日は新宿中央公園か」

今日は連休初日。
ちょっと稼ごうかと土曜出勤です。

今日の怪人はリアリティ星2(マイナス)ってところ。
二人でチームを作ってやっつけます。

チームを組むときは、アプリのチャットと魔法ペット同士のコミュニケーションを事前に行う必要があるの。
魔法ペットの謎のテレパシー能力で今回魔法少女デビューの新人さんだと把握済み。
慣れた者同士だと変身して集合が多いんだけど、今回は変身前に顔合わせ。
色々効きたいことがあるらしい。

「お名前はエイトマンさんか」

アプリのチャットは登録した魔法少女ネームでやるのが基本。
私は本名の「みほり」でやってる。

「エイトマンってどっいかっていうと戦隊ものっぽい」

今どき魔法少女は男性も多い。
性別がない人も。
今回現れたのは、スーツをビシッと着用したおじさまだった。
仕込まれた優雅な仕草で名刺を差し出してきた。

「はじめまして。○○商事営業本部長島津八郎です」
「はじめまして。しがないOLの神楽みほりです。あいにく今日は名刺を切らしておりまして…」

本名は名乗っても名乗らなくてもOK。
もちろん名刺を配りたければ配ればいい。

「この度は、魔法少女デビューと伺いましたが…」
「はい。いかんせん全てが初めてなもので…。変身するところからご教授いただきたく…!」
「まあ、私のやり方はあくまで一例なんですがーー」

魔法少女大量生産のこの時代、こういう事は日常茶飯事だ。
年上の後輩もいれば、年下の先輩もいるのは当たり前。
いずれにせよ大切なのは礼儀です。

変身のレクチャーを終えたらそれぞれ変身。変身中は同じ魔法少女の目があっても発動しない。
だからやり方をレクチャーしたら一旦お別れして変身後に集合する。

「赤い衣装!カッコいい系ですね」 
「私は戦隊ものも大好きで、そのニュアンスを取り入れてみました」

コスチュームももちろんカスタマイズでそれぞれ違う。
コスチュームと魔法の杖は凝る人が多くて、お金かけてる人はかけてるのだ。
中には10万や100万もざら。
魔法ペットと違って制限ないので。

ーー念のため言っておくけど、私たちの魔法少女は中身は変わらずコスチュームだけ変わる系です。

 「さて、敵はあそこです」

噴水の少し上に漂う黒い影。

「あれが、怪人」

島津八郎さん、いやエイトマンは息を飲む。
私も一番最初の闘いを思い出して、少しセンチメンタルな気持ちになる。

「行きましょうか」

エイトマンが力強く頷いた。
さあ、バトルの始まりです!
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