神楽みほり。23歳OL。副業で魔法少女やってます!

micoco

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島津八郎。50歳部長。魔法少女、デビュー。②

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「まずは敵の攻撃を避けつつ、攻撃のパターンを見破ります。まずは私が敵の周りを飛び回ります。エイトマンさんはここで観察して、何か気付いたら教えて下さい」
「はい。かしこまりました!」

地面を蹴り、そらを飛ぶ。
怪人に近づくとモジャオが解説を始める。

「今回の怪人はオレオレ詐欺したいだ!ほっとくとオレオレ詐偽の受け子志願者が増えちゃうぞ!」
「あ、それ結構ヤバイやつ」

怪人はほっといても問題無さそうなバカバカしいのから社会問題まで色々だ。

オレオレ詐偽怪人は背中にレーザーのような射出穴が三つあり、攻撃が複雑だ。
しかし、暫く飛ぶとやはり特徴が見えてくる。
暫くしてみほりは敵から離れて、エイトマンの所へと戻った。

「どうでした?」
「正直…、さっぱり分かりませんでした」

落ち込ん様子でエイトマンは項垂れた。

「最初ですから、私もパターン掴めるようになるの時間かかりました。それまではチーム指令で一緒の人に解説してもらって」
「解説、お願いします!」

今回の怪人は攻撃が上部に片寄っていた。
一人だと、姿勢を変えて常に魔法少女に射出穴が向くように動くのだろう。
なので今回は私が囮になって反対側からエイトマンに攻撃してもらう事となった。

「じゃ、行きますね!」

みほりが高く飛び上がり、ヒラヒラと敵を翻弄する。
充分に敵を引き付けたら手を降って合図を出す。

エイトマンが詠唱すると杖からビームのような光が怪人を貫いた。

怪人が崩れだしたのを確認して私はエイトマンの元に戻った。

「お疲れさまです!ナイスタイミングでした!」
「いやぁ、必殺打つとき爽快でした!」

満足そうなエイトマンにわたしも顔がほころぶ。
魔法少女デビューの魔法少女に、最初は必殺技を打って貰い経験を積ませるというのは、魔法少女界の教育のコツその一であります。

「あの、もし宜しければこのあと少しお時間をいただけますか!色々聞きたくて!」

私は快くOKした。
お腹もちょうど空いたので。

島津八郎と神楽みほりに戻った私たちは適当なお店に入った。
営業部長は部下でもない小娘にランチをご馳走してくれるという。
ありがたい。

ハンバーグ定食を食しながら、島津八郎さんの魔法少女きっかけを聞いていた。
50歳を越えて自分を見つめ直す瞬間。
定年後趣味を見つけるのに苦労していた先輩。
仕事を退職したあとの繋がりがなくなる恐怖。
仲違いして五年間顔を見てない息子さん。
そんなときに見つけた魔法少女募集のディスプレイ広告。
どれも私にはまだピンと来ない。
てか、いつの間に求人をWEB広告でも出すようになったんだ。

まぁ、島津八郎さんの悩みは分からなかったが、新人デビューのコーチングは良かったはず。
満足そうに島津八郎は我が家に帰っていき、私の懐もあったかい。

そう、新人のコーチングは魔法少女歴一年以上、単独・チーム指令各30回以上クリアという条件があって、コーチングを引き受けるとその分お給料が高くなるのだ。

ーー君も魔法少女にならないかい? 私が優しく教えてあげるよ。
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