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私が魔法少女を続ける理由①
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本日は魔法少女会。
つまり、魔法少女どうしで個人的に甘いものでも食べておしゃべりしよう会です。
発案者は島津八郎さん。
参加者は私ともう一人、ミルキーローズさん。
合計3人です。
ミルキーローズさんは本名NGで魔法少女ネームで呼んでいます。
発案者は島津八郎さんですが今日のお店を決めたのはミルキーローズさん。
表参道にあるパンケーキ屋さんに来ました。
ちらりと島津さんを見ると少し居心地がわるそう。
「こういうところ、初めてですか?」
「はい」
「スイーツ以外にも軽食もあるみたいなんで好きなものを頼んでください」
島津さんは今回の食費を出すといったが流石に毎回はと断った。
ミルキーローズさんは私と同じかもう少し若いぐらい。
彼女は服が大好きで、魔法少女のコスチュームも複数作成していた。
本日の服は自分の自作だという。
黒いシックなワンピースでレースが効果的に使われている。
実年齢より落ち着いて見えるような大人の雰囲気のゴシックな装いだった。
私は彼女と会うといつもじっくりと服装を見てしまう。
美しいものって目に優しいよね。
ゆったりとしたデニムのパンツに無地のシャツワンピの私と今日もスーツの島津さん。
中々の統一感のなさ。
魔法少女のコミュニティは、いわゆるネットで知り合った趣味仲間と似ているかもしれない。
「わぁ美味しそうですわ。いただきます!」
いつも丁寧な言葉でクールな装いのミルキーローズさんは甘いものが大好きで、彼女と会うときはいつも東京のスイーツが有名なお店だ。
しかも彼女はスレンダーなのに大食漢。
一通り頼んだものを口にすると島津さんが口を開いた。
「この度はお集まりいただきありがとうございます」
「いえいえ。何か悩み事ですか?」
「…怪人のことなのですが…」
島津さんの悩みは正義感の強く真面目な魔法少女が一度は立ち止まる壁だったりします。
つまり、怪人を倒すことでちゃんと世間に貢献しているのか否かという問題です。
怪人を倒して良くなるのは正月病が軽減されたり、オレオレ詐欺の売り子になるのを少々思いとどまらせたり、微々たるものです。
もちろん、正月病が軽減されれば気持ちもよくなるし、売り子が少し減れば被害にあう人も少なくなる。
魔法少女はちゃんと社会貢献してる。
でも、魔法少女は街を自由に動けるように一般人には見ることはできない。
いくら怪人を倒してもお礼の手紙が届くこともないしテレビで人気者にもなったりしないんですよね。
いくら頑張っても時給は1,200円だし。
そこでふと考えるのです。
魔法少女って意味あるのかな、と。
「ああ、私もそこ悩みました。みほりちゃんは、その悩みはどうなさいました?」
「…私、そこで止まったことないです」
1200円もらえるの十分楽しいので。
「ふふ、みほりちゃんらしいですわ。ちなみに私は怪人を倒した数によってご褒美コスチューム制作に課金してモチベーション保ってます」
「はやり、自分へのご褒美ですか」
しかし島津さんは腑に落ちていないご様子。
営業部長をやっているし、島津さんが魔法少女に求めているのは私と違ってお金ではないのでしょう。
「今の仕事のやりがいは何ですか?」
「それは大きな仕事が取れた時でしょうか。それが営業部のミッションですし」
「つまり、ミッションが何かわかってそれが達成できたらいいのかな。魔法少女のミッションって何だろうね」
「そりゃ怪人を倒して、世界をちょっとだけよくすることでしょうか?」
「そのちょっとっていうのがピンとこないんですよね。もっと具体的に怪人を倒せば何パーセント犯罪が減るとかいくら株価が上がるとか具体的な指標が欲しくて」
怪人倒して株価が上がれば確かにうれしいな。
でも残念ながらそんな話は聞いたことがない。
その時、3人のスマホが一斉に鳴った。
緊急アラームだ。
怪人は世界の悪意や感情の澱がたまると発生することが多いく育ってくるとマモライザーが監視を始める。
しかしたまに急に発生する怪人がいて、近くの魔法少女に通知が来るのだ。
数は少ないが急に発生した怪人の方がやっかいだ。
「どうしましょう?一番近いの私たちですわ」
ミルキーローズさんの言葉に力強く頷いたのは島津さんだった。
「行きましょう!」
つまり、魔法少女どうしで個人的に甘いものでも食べておしゃべりしよう会です。
発案者は島津八郎さん。
参加者は私ともう一人、ミルキーローズさん。
合計3人です。
ミルキーローズさんは本名NGで魔法少女ネームで呼んでいます。
発案者は島津八郎さんですが今日のお店を決めたのはミルキーローズさん。
表参道にあるパンケーキ屋さんに来ました。
ちらりと島津さんを見ると少し居心地がわるそう。
「こういうところ、初めてですか?」
「はい」
「スイーツ以外にも軽食もあるみたいなんで好きなものを頼んでください」
島津さんは今回の食費を出すといったが流石に毎回はと断った。
ミルキーローズさんは私と同じかもう少し若いぐらい。
彼女は服が大好きで、魔法少女のコスチュームも複数作成していた。
本日の服は自分の自作だという。
黒いシックなワンピースでレースが効果的に使われている。
実年齢より落ち着いて見えるような大人の雰囲気のゴシックな装いだった。
私は彼女と会うといつもじっくりと服装を見てしまう。
美しいものって目に優しいよね。
ゆったりとしたデニムのパンツに無地のシャツワンピの私と今日もスーツの島津さん。
中々の統一感のなさ。
魔法少女のコミュニティは、いわゆるネットで知り合った趣味仲間と似ているかもしれない。
「わぁ美味しそうですわ。いただきます!」
いつも丁寧な言葉でクールな装いのミルキーローズさんは甘いものが大好きで、彼女と会うときはいつも東京のスイーツが有名なお店だ。
しかも彼女はスレンダーなのに大食漢。
一通り頼んだものを口にすると島津さんが口を開いた。
「この度はお集まりいただきありがとうございます」
「いえいえ。何か悩み事ですか?」
「…怪人のことなのですが…」
島津さんの悩みは正義感の強く真面目な魔法少女が一度は立ち止まる壁だったりします。
つまり、怪人を倒すことでちゃんと世間に貢献しているのか否かという問題です。
怪人を倒して良くなるのは正月病が軽減されたり、オレオレ詐欺の売り子になるのを少々思いとどまらせたり、微々たるものです。
もちろん、正月病が軽減されれば気持ちもよくなるし、売り子が少し減れば被害にあう人も少なくなる。
魔法少女はちゃんと社会貢献してる。
でも、魔法少女は街を自由に動けるように一般人には見ることはできない。
いくら怪人を倒してもお礼の手紙が届くこともないしテレビで人気者にもなったりしないんですよね。
いくら頑張っても時給は1,200円だし。
そこでふと考えるのです。
魔法少女って意味あるのかな、と。
「ああ、私もそこ悩みました。みほりちゃんは、その悩みはどうなさいました?」
「…私、そこで止まったことないです」
1200円もらえるの十分楽しいので。
「ふふ、みほりちゃんらしいですわ。ちなみに私は怪人を倒した数によってご褒美コスチューム制作に課金してモチベーション保ってます」
「はやり、自分へのご褒美ですか」
しかし島津さんは腑に落ちていないご様子。
営業部長をやっているし、島津さんが魔法少女に求めているのは私と違ってお金ではないのでしょう。
「今の仕事のやりがいは何ですか?」
「それは大きな仕事が取れた時でしょうか。それが営業部のミッションですし」
「つまり、ミッションが何かわかってそれが達成できたらいいのかな。魔法少女のミッションって何だろうね」
「そりゃ怪人を倒して、世界をちょっとだけよくすることでしょうか?」
「そのちょっとっていうのがピンとこないんですよね。もっと具体的に怪人を倒せば何パーセント犯罪が減るとかいくら株価が上がるとか具体的な指標が欲しくて」
怪人倒して株価が上がれば確かにうれしいな。
でも残念ながらそんな話は聞いたことがない。
その時、3人のスマホが一斉に鳴った。
緊急アラームだ。
怪人は世界の悪意や感情の澱がたまると発生することが多いく育ってくるとマモライザーが監視を始める。
しかしたまに急に発生する怪人がいて、近くの魔法少女に通知が来るのだ。
数は少ないが急に発生した怪人の方がやっかいだ。
「どうしましょう?一番近いの私たちですわ」
ミルキーローズさんの言葉に力強く頷いたのは島津さんだった。
「行きましょう!」
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