赤髪のお姫様は髪を切る

さくらもち

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一話

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「お前がナーサを殺そうとしたんだろ…!!」

 王族や地位の高い人達が集まるパーティーの中でたった一言、そう放たれた。

 いや、殺してないけど

 もちろん、デタラメであり、一応婚約者でもある。
 最初は良かったのだが、段々幼馴染のナーサに奪われていき、こうなった。

「お前は赤髪だ!ナーサを殺せるはず!!たった一人の幼馴染なのになんて酷いことをするんだ!」

「殺してませんってば。殺そうとも」

 急いで誤解をとこうとした。
 赤髪、私の髪は赤だ。この国は赤を象徴としてあり、赤髪は貴重な存在とされている。
 その見た目は容姿だけでもなく、高い魔力を持っているからだ。

 けど、ほんとクソだなこいつ

 殺そうともしてないし、周りがそろそろざわつき始めているのでやめてほしい。

「なぁ!ナーサ!!こいつに殺されそうになったんだろ!」

 大声でそういうと、人混みの中から横からひょこっと豪華なドレスを着たナーサがでてきた。

「えぇ!全て本当なのよ!!」

 知ってた

 ちょっとだけ、ナーサはまともの希望を持っていたが、それも儚く砕け散った。

「と、いうことだ!お前は魔界森へと追放する!!死刑にしなかっただけ良かったな!!」

「馬鹿かな」

「ほざけ!負け犬が!!」

 待って、この人逮捕していい?

 魔界森とは、魔界と人間界の境界線にある森。そこには、魔物が沢山いるため人間がいけば即死だと言われている。

 そんな事を考えていると、扉からあのクソ婚約者の手の者であろう人達がぞろぞろとでてきた。
 いろんな人たちが騒ぎ出している。

「おい、殺人未遂でお前を追放する」

 私の腕をぐいっと引っ張られ、強く握られた。そして、どこかへと連れ去られる。

 私は最後の抵抗として、テーブルに置かれてある食べる用のナイフを手にとった。
 綺麗な髪、長髪の赤く輝いている髪を、私はそのナイフで切った。

「さぁ、これで私はもういいかな?」

 ぱさりと髪が落ちる。

 実は赤髪の持ち主は、国を守るため魔法をかけなくてはいけない。
 あの魔界森の境界線を守るためのものでもある。
 しかも、赤髪の持ち主は十数年間しないと生まれないし、私が死なないと生まれないのだ。

「どうぞ、連れて行ってください」

 だから、私がいなくなったら………ね?
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