私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

文字の大きさ
93 / 99
おまけぇ……

笑って、笑って、疲れたね

しおりを挟む
 そんな暗闇の中で一つの声が聞こえた

「「偽善者」」

 そう言われ、私は嘘つきの仮面を割られたような気分になった。

 いや、正確には心が壊れていった。



 あの後、私達は元の場所に帰れた。森の中、変わらぬ場所。

 どうやら、時間はさほどたっていないようだ。
 不幸中の幸いだというべきだろうか。

 でもきっと、みんなは知らない。

 私が苦しんでいたのも、人に好かれようと頑張っていたのも。
 みんなは知らないだろう。もし、知ってしまったら拒絶され、みんなが消えていく。

 暖かい居場所、きっと私には似合わない。

 みんなに迷惑をかけるにつれて、私という存在が真っ黒に染まっていく。
 嘘をつくたび、笑えなくなった。

 私のお母さんは言った「人から好かれている」と、けどもそれはまやかしだ。

 私が好かれているのは、嘘をはいてる偽物の自分であり、本来の私は好かれていない。

 これで、いい……はずだ。笑うのも疲れたし、嘘をつく自分が嫌になる。

 偽善者といわれたのは正論であり、真実だ。
なぜその言葉が聞こえたのかはわからないが、真実の事に反論するつもりはない。

      *テクディア視点*

「リリアナ、ここ最近仕事を手伝ってくれるのは助かるが、疲れてるぞ」

「え~、そうなん??大丈夫よ、私は元気だからな」

 にこっと軽く笑ってまた誤魔化す。この繰り返し。
 ここ最近、仕事を手伝ってくれるのは良いが、リリアナ自身相当なストレスと疲れが溜まっているのではないかと思う。

 また、気持ち悪い嘘の笑みを浮かべるようになった。

「リリアナ、僕は気づいてないかと思うか?」

「何を?頭打ったんか変人」

 少しだけくすりと笑いながら、また見たくもない笑みを浮かべた。
 気持ち悪い、その笑みをうかべないでくれ。普通に笑っていてくれ。

「違う、ここ最近のその笑みやめろ」

「………善処はしてるで?」

「してないだろ」

 してないのがまる見えだ。
 いや、しようとしてると言ったほうがいいのかもしれない。

「今日は休め」

「えぇ~、しゃーないなぁ……どっかの他の仕事手伝ってくる」

 残念そうにへらへらと笑っていた。
 その表情を見て、僕はとうとうキレてしまった。

「だから!!!」

「へ」

「休め!!心の方だ!!!確かに、あの家庭に生まれたからっていうのはあるとは思う…だから、言おうとはしなかった。でも、今のお前は苦しいと心が叫んでるように見えるんだ…っ!」

 それは本心。大声で、きっと耳がきーんっと響くような耳鳴りがするくらいの大声だっただろう。

「………人の役に立てればそれでえーよ」

「なら、死ねと言ったら?」

「死ぬさ」

「生きろと言ったら?」

「生きるさ」

「その笑顔が不快だと言ったら?」

「死ぬさ……ってもういい?」

 呆れたようにこちらを見てきた。

「……今のお前は偽善者だな」

 酷い言い方だといえば言えばいい。むしろ、怒ってくれ。リリアナは途端に俯き、言葉を発さなくなった。
 けども、長い沈黙の後、リリアナの泣きそうな声が部屋に響き渡る。

「なら、どう笑えと?」

しおりを挟む
感想 237

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

処理中です...